社会保険労務士試験【国民年金法】<令和4年第10問>

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国民年金法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

国民年金法 令和4年第10問 A

被保険者である妻が死亡し、その夫が、1人の子と生計を同じくして、遺族基礎年金を受給している場合において、当該子が18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したときに、障害等級に該当する障害の状態にない場合は、夫の有する当該遺族基礎年金の受給権は消滅する。

解答の根拠

法第39条第3項

根拠条文を確認します。

第三十九条
 配偶者に支給する遺族基礎年金については、第一項に規定する子が二人以上ある場合であつて、その子のうち一人を除いた子の一人又は二人以上が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、その該当するに至つた日の属する月の翌月から、その該当するに至つた子の数に応じて、年金額を改定する。
 死亡したとき。
 婚姻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。以下同じ。)をしたとき。
 配偶者以外の者の養子(届出をしていないが、事実上養子縁組関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)となつたとき。
 離縁によつて、死亡した被保険者又は被保険者であつた者の子でなくなつたとき。
 配偶者と生計を同じくしなくなつたとき。
六 十八歳に達した日以後の最初の三月三十一日が終了したとき。ただし、障害等級に該当する障害の状態にあるときを除く。
 障害等級に該当する障害の状態にある子について、その事情がやんだとき。ただし、その子が十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあるときを除く。
 二十歳に達したとき。

国民年金法

本肢は、「配偶者の遺族基礎年金の失権事由」に関する問題です。

配偶者に支給する遺族基礎年金の失権事由については、上記根拠条文(法第39条第1項)に規定されています。

どれも重要なのでしっかりと覚えておきましょう。

今回の問題文のケースは、上記黄色マーカー部分(第6号)に該当します。

本肢は○です。

国民年金法 令和4年第10問 B

保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である55歳の第1号被保険者が死亡したとき、当該死亡日の前日において、当該死亡日の属する月の前々月までの1年間に保険料が未納である月があった場合は、遺族基礎年金を受けることができる要件を満たす配偶者と子がいる場合であっても、遺族基礎年金は支給されない。

解答の根拠

法第37条第1項第4号

根拠条文を確認します。

(支給要件)
第三十七条 遺族基礎年金は、被保険者又は被保険者であつた者が次の各号のいずれかに該当する場合に、その者の配偶者又は子に支給する。ただし、第一号又は第二号に該当する場合にあつては、死亡した者につき、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までに被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の三分の二に満たないときは、この限りでない。
 被保険者が、死亡したとき。
 被保険者であつた者であつて、日本国内に住所を有し、かつ、六十歳以上六十五歳未満であるものが、死亡したとき。
 老齢基礎年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が二十五年以上である者に限る。)が、死亡したとき。
四 保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が二十五年以上である者が、死亡したとき。

国民年金法

本肢は、「遺族基礎年金の支給要件」に関する問題です。

上記根拠条文(法第37条)には、遺族基礎年金の支給要件が規定されています。

その第4号として「保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者が死亡したとき」とあります。

この規定のとおりであり、問題文にあるような「死亡日直前1年間の保険料納付状況」が問われるような規定はありません。

そのため問題文のケースでは、保険料納付要件を問われずに、他の要件を満たす配偶者と子がいる場合に遺族基礎年金が支給されることとなります。

本肢は×となり、本問の正解となります。

国民年金法 令和4年第10問 C

障害基礎年金は、傷病の初診日から起算して1年6か月を経過した日である障害認定日において、その傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときに支給される(当該障害基礎年金に係る保険料納付要件は満たしているものとする。)が、初診日から起算して1年6か月を経過した日前にその傷病が治った場合は、その治った日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至った日を含む。)を障害認定日とする。

解答の根拠

法第30条第1項

根拠条文を確認します。

(支給要件)
第三十条 障害基礎年金は、疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において次の各号のいずれかに該当した者が、当該初診日から起算して一年六月を経過した日(その期間内にその傷病が治つた場合においては、その治つた日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至つた日を含む。)とし、以下「障害認定日」という。)において、その傷病により次項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときに、その者に支給する。ただし、当該傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の三分の二に満たないときは、この限りでない。
 被保険者であること。
 被保険者であつた者であつて、日本国内に住所を有し、かつ、六十歳以上六十五歳未満であること。

国民年金法

本肢は、「障害基礎年金の支給要件」に関する問題です。

上記根拠条文のとおり、障害基礎年金における「障害認定日」とは、
・初診日から起算して1年6月を経過した日
・その期間内にその傷病が治った場合においては、その治った日
(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至った日を含む。)
とされています。

つまり…
・治っていなくても1年6月を過ぎる
・治った場合(症状が固定しそれいじょう治らない状態も含む)

に該当した日が「障害認定日」とされるわけですね。

問題文は上記根拠条文のとおりであり、そのまま「障害認定日」の定義として確認できる肢になりますので、しっかりとおさえておきましょう。

本肢は○です。

国民年金法 令和4年第10問 D

障害基礎年金の額は、受給権者によって生計を維持している18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子及び20歳未満であって障害等級に該当する障害の状態にある子があるときは、その子の数に応じた加算額が加算されるが、老齢基礎年金の額には、子の加算額が加算されない。

解答の根拠

法第27条 / 法第33条の2

根拠条文を確認します。

(年金額)
第二十七条 老齢基礎年金の額は、七十八万九百円に改定率(次条第一項の規定により設定し、同条(第一項を除く。)から第二十七条の五までの規定により改定した率をいう。以下同じ。)を乗じて得た額(その額に五十円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十円以上百円未満の端数が生じたときは、これを百円に切り上げるものとする。)とする。ただし、保険料納付済期間の月数が四百八十に満たない者に支給する場合は、当該額に、次の各号に掲げる月数を合算した月数(四百八十を限度とする。)を四百八十で除して得た数を乗じて得た額とする。

第三十三条の二 障害基礎年金の額は、受給権者によつて生計を維持しているその者の子(十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある子及び二十歳未満であつて障害等級に該当する障害の状態にある子に限る。)があるときは、前条の規定にかかわらず、同条に定める額にその子一人につきそれぞれ七万四千九百円に改定率(第二十七条の三及び第二十七条の五の規定の適用がないものとして改定した改定率とする。以下この項において同じ。)を乗じて得た額(そのうち二人までについては、それぞれ二十二万四千七百円に改定率を乗じて得た額とし、それらの額に五十円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十円以上百円未満の端数が生じたときは、これを百円に切り上げるものとする。)を加算した額とする。

本肢は、「子の加算」に関する問題です。

本肢は、老齢基礎年金と障害基礎年金の「子の加算」について違いを理解できているかが問われています。

整理すると、以下のようになります。

●子の加算
・障害基礎年金⇒第33条の2 子の加算に関する規定あり
・老齢基礎年金⇒第27条 子の加算に関する規定なし

混同しやすいポイントなので、しっかりとおさえておきましょう。

本肢は○です。

国民年金法 令和4年第10問 E

第1号被保険者の保険料は、被保険者本人分のみならず、世帯主はその世帯に属する第1号被保険者の保険料を連帯して納付する義務を負い、配偶者の一方は、第1号被保険者である他方の保険料を連帯して納付する義務を負う。

解答の根拠

法第88条

根拠条文を確認します。

(保険料の納付義務)
第八十八条 被保険者は、保険料を納付しなければならない。
 世帯主は、その世帯に属する被保険者の保険料を連帯して納付する義務を負う。
 配偶者の一方は、被保険者たる他方の保険料を連帯して納付する義務を負う。

国民年金法

本肢は「保険料の納付義務」に関する問題です。

本肢は、上記根拠条文(第88条)をコンパクトに一言でまとめた問題ですね。

そのまま知識としておさえておきましょう。

被保険者本人に納付義務があるのは当然ですが、本人が保険料を納付するのが困難な時に、社会的に考えてサポートする立場の人間…世帯主や配偶者にも納付義務がある、となります。

本肢は○です。

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