国民年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
国民年金法 令和4年第5問 A
障害基礎年金の受給権者が更に障害基礎年金の受給権を取得した場合において、新たに取得した障害基礎年金が国民年金法第36条第1項(障害補償による支給停止)の規定により6年間その支給を停止すべきものであるときは、その停止すべき期間、その者に対し同法第31条第1項(併合認定)の規定により前後の障害を併合した障害の程度による障害基礎年金を支給する。
法第32条第2項 / 法第36条第1項
根拠条文を確認します。
第三十二条
2 障害基礎年金の受給権者が更に障害基礎年金の受給権を取得した場合において、新たに取得した障害基礎年金が第三十六条第一項の規定によりその支給を停止すべきものであるときは、前条第二項の規定にかかわらず、その停止すべき期間、その者に対して従前の障害基礎年金を支給する。(支給停止)
国民年金法
第三十六条 障害基礎年金は、その受給権者が当該傷病による障害について、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)の規定による障害補償を受けることができるときは、六年間、その支給を停止する。
本肢は、「障害基礎年金」に関する問題です。
障害基礎年金の受給権者が更に障害基礎年金の受給権を取得した場合で、かつその新たな障害基礎年金が支給停止の場合、どのように調整するのでしょうか。
単純に考えれば、「新しく受給権を取得したとしても、支給停止の状態であればもらえない。なので、今まで通り、従前の障害基礎年金のみ受給する」と考え得られると思います。
上記根拠条文でも、そのような規定となっています。
本肢は×です。
国民年金法 令和4年第5問 B
障害基礎年金の受給権者が、その権利を取得した日の翌日以後にその者によって生計を維持している65歳未満の配偶者を有するに至ったときは、当該配偶者を有するに至った日の属する月の翌月から、当該障害基礎年金に当該配偶者に係る加算額が加算される。
法第33条の2第2項
根拠条文を確認します。
第三十三条の二
国民年金法
2 受給権者がその権利を取得した日の翌日以後にその者によつて生計を維持しているその者の子(十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある子及び二十歳未満であつて障害等級に該当する障害の状態にある子に限る。)を有するに至つたことにより、前項の規定によりその額を加算することとなつたときは、当該子を有するに至つた日の属する月の翌月から、障害基礎年金の額を改定する。
本肢は、「加算」に関する問題です。
加算については、
・配偶者 or 子
・障害基礎年金 or 障害厚生年金
でしっかりと整理しておきましょう。
●障害年金の加算
①障害基礎年金…子の加算のみ(配偶者の加算なし)
②障害厚生年金…配偶者の加算のみ(子の加算なし)
イメージで覚えましょう。
国年と厚年はよく2階建ての図で表されることが多いですよね。
その場合、国年が1階部分・厚年が2階部分と描かれると思います。
なので、2階部分(上の方)が背が高い親(配偶者)・1階部分(下の方)が背が低い子…のようなイメージを持つと、忘れないと思います。
本肢は×です。
国民年金法 令和4年第5問 C
保険料納付済期間又は保険料免除期間(学生納付特例及び納付猶予の規定により納付することを要しないものとされた保険料に係るものを除く。)を合算した期間を23年有している者が、合算対象期間を3年有している場合、遺族基礎年金の支給要件の規定の適用については、「保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上であるもの」とみなされる。
法第37条第1項第4号 / 法附則第9条第1項
根拠条文を確認します。
(支給要件)
国民年金法
第三十七条 遺族基礎年金は、被保険者又は被保険者であつた者が次の各号のいずれかに該当する場合に、その者の配偶者又は子に支給する。ただし、第一号又は第二号に該当する場合にあつては、死亡した者につき、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までに被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の三分の二に満たないときは、この限りでない。
一~三(略)
四 保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が二十五年以上である者が、死亡したとき。
(老齢基礎年金等の支給要件の特例)
国民年金法附則
第九条 (略)保険料納付済期間等を有する者のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が二十五年に満たない者であつて保険料納付済期間、保険料免除期間及び合算対象期間を合算した期間が二十五年以上であるものは、第三十七条(第三号及び第四号に限る。)の規定の適用については、保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が二十五年以上であるものとみなす。
本肢は、「合算対象期間」に関する問題です。
問題文を整理すると…
・保険料納付済期間等を有する者で保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年に満たない者
⇒保険料納付済期間、保険料免除期間及び合算対象期間を合算した期間が25年以上である場合
の話だと読み取れます。
その場合は、上記根拠条文(附則第9条)のとおり、「法37条(第3号及び第4号に限る。)の規定の適用については、保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上であるものとみなす」
とされています。
なお、合算対象期間はあくまでも本体(保険料納付済期間)を補足する「オマケ・救済措置」です、
したがって、合算対象期間のみ25年以上有している場合は要件を満たさないこととなりますので、注意しましょう。
本肢は○となり、本問の正解となります。
国民年金法 令和4年第5問 D
厚生労働大臣から滞納処分等その他の処分の権限を委任された財務大臣は、その委任された権限を国税庁長官に委任し、国税庁長官はその権限の全部を納付義務者の住所地を管轄する税務署長に委任する。
法第109条の5第5項・第6項
根拠条文を確認します。
(財務大臣への権限の委任)
国民年金法
第百九条の五 厚生労働大臣は、前条第三項の規定により滞納処分等及び同条第一項第二十三号に掲げる権限の全部又は一部を自らが行うこととした場合におけるこれらの権限並びに同号に規定する厚生労働省令で定める権限のうち厚生労働省令で定めるもの(以下この条において「滞納処分等その他の処分」という。)に係る納付義務者が滞納処分等その他の処分の執行を免れる目的でその財産について隠ぺいしているおそれがあることその他の政令で定める事情があるため保険料その他この法律の規定による徴収金の効果的な徴収を行う上で必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、財務大臣に、当該納付義務者に関する情報その他必要な情報を提供するとともに、当該納付義務者に係る滞納処分等その他の処分の権限の全部又は一部を委任することができる。
2~4
5 財務大臣は、第一項の規定により委任された権限、第二項の規定による権限及び第三項において準用する前条第五項の規定による権限を国税庁長官に委任する。
6 国税庁長官は、政令で定めるところにより、前項の規定により委任された権限の全部又は一部を納付義務者の居住地を管轄する国税局長に委任することができる。
本肢は、「財務大臣への権限の委任」に関する問題です。
本問は滅多に見かけない論点ですので、ここまでおさえていた方は少ないかもしれません。
上記根拠条文のとおり、滞納処分等について
厚生労働大臣 ⇒ 財務大臣 ⇒ 国税庁長官 ⇒ 国税局長 ⇒ ((納付義務者の居住地を管轄する)税務署長)
と委任されます。
本肢は×です。
国民年金法 令和4年第5問 E
厚生年金保険の被保険者が19歳であって、その被扶養配偶者が18歳である場合において、その被扶養配偶者が第3号被保険者の資格を取得するのは当該被保険者が20歳に達したときである。
法第8条第1項第1号
根拠条文を確認します。
(資格取得の時期)
国民年金法
第八条 前条の規定による被保険者は、同条第一項第二号及び第三号のいずれにも該当しない者については第一号から第三号までのいずれかに該当するに至つた日に、二十歳未満の者又は六十歳以上の者については第四号に該当するに至つた日に、その他の者については同号又は第五号のいずれかに該当するに至つた日に、それぞれ被保険者の資格を取得する。
一 二十歳に達したとき。
本肢は「資格取得の時期」に関する問題です。
本問は、問題文をしっかり読まないとひっかかりそうな問題ですね。
問題文のケースは
①厚年の被保険者(19歳)
②その被扶養配偶者(18歳)
というのものです。
この場合、問題文では、①の厚年の被保険者が20になった際に、②の被扶養配偶者が19歳でも国年の第3号の被保険者資格を取得する、とあります。
しかし、国年の被保険者資格は20歳以上であることが大前提です。
そのため、上記根拠条文にあるとおり、①厚年被保険者の年齢にかかわらず、②が20歳になった時から被保険者資格を取得する、とされています。
本肢は×です。