加給年金額に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
厚生年金保険法 令和4年第6問 A
障害等級1級又は2級に該当する者に支給する障害厚生年金の額は、当該受給権者によって生計を維持しているその者の65歳未満の配偶者又は子(18歳に達する日以後最初の3月31日までの間にある子及び20歳未満で障害等級1級又は2級に該当する障害の状態にある子)があるときは、加給年金額が加算された額となる。
法第50条の2第1項
根拠条文を確認します。
第五十条の二 障害の程度が障害等級の一級又は二級に該当する者に支給する障害厚生年金の額は、受給権者によつて生計を維持しているその者の六十五歳未満の配偶者があるときは、前条の規定にかかわらず、同条に定める額に加給年金額を加算した額とする。
厚生年金保険法
本肢は、「加給年金額」に関する問題です。
本肢は、油断していると見事にひっかけにかかりそうな問題です。
上記根拠条文のとおり、障害厚生年金の加給年金の対象は「配偶者」のみであり、「子」は含みません。
本肢は×です。
厚生年金保険法 令和4年第6問 B
昭和9年4月2日以後に生まれた障害等級1級又は2級に該当する障害厚生年金の受給権者に支給される配偶者に係る加給年金額については、受給権者の生年月日に応じた特別加算が行われる
昭60法附則第60条第2項
根拠条文を確認します。
(老齢厚生年金の加給年金額等の特例)
厚生年金保険法昭60法附則
第六十条
2 次の表の上欄に掲げる者に支給する老齢厚生年金の配偶者に係る加給年金額については、(中略)、同法第四十四条第二項に定める額に、それぞれ同表の下欄に掲げる額(その額に五十円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十円以上百円未満の端数が生じたときは、これを百円に切り上げるものとする。)を加算した額とする。
(表略)
本肢は、「加給年金額」に関する問題です。
上記根拠条文のとおり、「老齢厚生年金」は、加給年金額等の特例があります。
一方、障害厚生年金には、同じような加給年金額等の特例は規定されていません。
本肢は×です。
厚生年金保険法 令和4年第6問 C
老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上であるものに限る。)の受給権者が、受給権を取得した以後に初めて婚姻し、新たに65歳未満の配偶者の生計を維持するようになった場合には、当該配偶者に係る加給年金額が加算される。
法第44条第1項
根拠条文を確認します。
(加給年金額)
厚生年金保険法
第四十四条 老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が二百四十以上であるものに限る。)の額は、受給権者がその権利を取得した当時(その権利を取得した当時、当該老齢厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が二百四十未満であつたときは、第四十三条第二項又は第三項の規定により当該月数が二百四十以上となるに至つた当時。第三項において同じ。)その者によつて生計を維持していたその者の六十五歳未満の配偶者又は子(十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にある子及び二十歳未満で第四十七条第二項に規定する障害等級(以下この条において単に「障害等級」という。)の一級若しくは二級に該当する障害の状態にある子に限る。)があるときは、第四十三条の規定にかかわらず、同条に定める額に加給年金額を加算した額とする。ただし、国民年金法第三十三条の二第一項の規定により加算が行われている子があるとき(当該子について加算する額に相当する部分の全額につき支給を停止されているときを除く。)は、その間、当該子について加算する額に相当する部分の支給を停止する。
本肢は、「加給年金額」に関する問題です。
老齢厚生年金の加給年金額は、生計を維持している配偶者・子がいる場合に加算されます。
この配偶者・子は、上記根拠条文のとおり、「受給者がその権利を取得した当時」に存在していることが条件です。
したがって、問題文にある通り「受給権を取得した以後に初めて婚姻」という状況は対象外となります。
本肢は×です。
厚生年金保険法 令和4年第6問 D
報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金の年金額には、加給年金額は加算されない。また、本来支給の老齢厚生年金の支給を繰り上げた場合でも、受給権者が65歳に達するまで加給年金額は加算されない。
法附則第9条 / 法附則第7条の3第6項
根拠条文を確認します。
(特例による老齢厚生年金の額の計算等の特例)
第九条 第四十三条第二項及び第四十四条の規定は、附則第八条の規定による老齢厚生年金の額については、適用しない。(老齢厚生年金の支給の繰上げ)
厚生年金保険法附則
第七条の三
6 第三項の規定による老齢厚生年金の額について、第四十四条及び平成二十五年改正法附則第八十六条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされた平成二十五年改正法第一条の規定による改正前の第四十四条の二の規定を適用する場合には、第四十四条第一項中「受給権者がその権利を取得した当時(その権利を取得した当時」とあるのは「附則第七条の三第三項の規定による老齢厚生年金の受給権者が六十五歳に達した当時(六十五歳に達した当時」と、「又は第三項」とあるのは「若しくは第三項又は附則第七条の三第五項」と、「第四十三条の規定にかかわらず、同条に定める額に加給年金額を加算した額とする」とあるのは「第四十三条第二項及び第三項並びに附則第七条の三第四項及び第五項の規定にかかわらず、これらの規定に定める額に加給年金額を加算するものとし、六十五歳に達した日の属する月の翌月又は第四十三条第二項若しくは第三項の規定により当該月数が二百四十以上となるに至つた月から、年金の額を改定する」と、同条第三項中「受給権者がその権利を取得した当時」とあるのは「附則第七条の三第三項の規定による老齢厚生年金の受給権者が六十五歳に達した当時」と、平成二十五年改正法附則第八十六条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされた平成二十五年改正法第一条の規定による改正前の第四十四条の二第一項中「第四十三条第一項」とあるのは「附則第七条の三第四項」と、「第百三十二条第二項」とあるのは「附則第七条の六第一項の規定により読み替えられた公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成二十五年法律第六十三号)附則第五条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされた同法第一条の規定による改正前の第百三十二条第二項」とする。
本肢は、「加給年金額」に関する問題です。
まず、前段の「報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金」については、上記根拠条文(法附則第9条)のとおり、加給年金額(法第44条)の規定は適用されません。
また、後段の「本来支給の老齢厚生年金の支給を繰り上げた場合」については、上記根拠条文(法附則第7条の3第6項)のとおり、「六十五歳に達した日の属する月の翌月から改定」とあることから、繰り上げし65歳よりも前の部分については、加給年金額は加算されません。
本肢は○となり、本問の正解となります。
厚生年金保険法 令和4年第6問 E
老齢厚生年金の加給年金額の対象となっている配偶者が、収入を増加させて、受給権者による生計維持の状態がやんだ場合であっても、当該老齢厚生年金の加給年金額は減額されない。
法第44条第4項第2号
根拠条文を確認します。
(加給年金額)
厚生年金保険法
第四十四条
4 第一項の規定によりその額が加算された老齢厚生年金については、配偶者又は子が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、同項の規定にかかわらず、その者に係る同項の加給年金額を加算しないものとし、次の各号のいずれかに該当するに至つた月の翌月から、年金の額を改定する。
二 受給権者による生計維持の状態がやんだとき。
本肢は「加給年金額」に関する問題です。
加給年金額の加算が終わるときの話になります。
上記根拠条文のとおり、配偶者又は子について、「受給権者による生計維持の状態がやんだとき」は、加給年金額を加算しないとされていますので、その状況に至った月の翌月から加算がストップします。
本肢は×です。