育児休業給付に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。なお、本問において「対象育児休業」とは、育児休業給付金の支給対象となる育児休業をいう。
A (アとイ)
B (アとウ)
C (イとエ)
D (ウとオ)
E (エとオ)
雇用保険法 令和4年第6問 ア
保育所等における保育が行われない等の理由により育児休業に係る子が1歳6か月に達した日後の期間について、休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合、延長後の対象育児休業の期間はその子が1歳9か月に達する日の前日までとする。
雇用保険に関する業務取扱要領59501/59503-2
根拠となる要領を確認します。
59501 (1)育児休業給付の受給資格
1歳(一定の要件(59631 参照。)を満たす場合は1歳2か月。以下同じ。)に満たない子を、保育所における保育の実施が行われない等の場合は1歳6か月又は2歳に満たない子を養育するための休業(以下、出生時育児休業と区別する場合は「本体育児休業」といい、出生時育児休業と本体育児休業を総称して「育児休業」という。)をした場合59503-2 (3-2)育児休業給付金の支給対象となる休業
雇用保険に関する業務取扱要領
イ 育児休業給付金の支給対象となる休業とは、被保険者からの申出(その初日及び末日とする
日を明らかにしてするものをいう。)に基づき事業主が取得を認めた本体育児休業であって、休業開始日から、当該休業に係る子が満1歳(一定の要件(59631 参照。)を満たす場合は1歳2か月)に達する日(満1歳(1歳2か月)の誕生日の前日)又は1歳6か月若しくは2歳に達する日の前日までにあるものをいう(以下「対象本体育児休業」という。)。
本肢は、「育児休業給付金の支給対象となる育児休業」に関する問題です。
まず育児休業は…
・原則:1歳(1歳2か月)まで
・例外:保育所における保育の実施が行われない場合は1歳6か月または2歳まで
とされています。
そして、育児休業給付金は、上記の育児休業期間中に対応しておりますので、同じ期間となります。
1歳9か月という中途半端な期間は見当たりません。
本肢は×です。
雇用保険法 令和4年第6問 イ
育児休業期間中に育児休業給付金の受給資格者が一時的に当該事業主の下で就労する場合、当該育児休業の終了予定日が到来しておらず、事業主がその休業の取得を引き続き認めていても、その後の育児休業は対象育児休業とならない。
雇用保険に関する業務取扱要領59503-2
根拠となる要領を確認します。
59503-2 (3-2)育児休業給付金の支給対象となる休業
雇用保険に関する業務取扱要領
なお、本体育児休業期間中に受給資格者が一時的に当該事業主の下で就労する場合は、当該育児休業の終了予定日が到来しておらず、事業主がその休業の取得を引き続き認めていれば、当該育児休業が終了したものと取り扱わない。
本肢は、「育児休業給付金の支給対象となる育児休業」に関する問題です。
育児休業期間中に受給資格者が一時的に働く場合は、育児休業そして給付金の取り扱いはどうなるのでしょうか。
要は、その時点で休業・給付金の支給は終了!となるのかならないのか…。
この点、上記根拠要領では、「当該育児休業の終了予定日が到来しておらず、事業主がその休業の取得を引き続き認めていれば、当該育児休業が終了したものと取り扱わない」としています。
一時的な就労であれば、休業・給付金の支給に影響しない…ということですね。
本肢は×です。
雇用保険法 令和4年第6問 ウ
産後6週間を経過した被保険者の請求により産後8週間を経過する前に産後休業を終了した場合、その後引き続き育児休業を取得したときには、当該産後休業終了の翌日から対象育児休業となる。
雇用保険に関する業務取扱要領59503-2
根拠となる要領を確認します。
59503-2 (3-2)育児休業給付金の支給対象となる休業
雇用保険に関する業務取扱要領
産後休業は対象本体育児休業には含まれない。また、産後6週間を経過した場合であって、当該被保険者の請求により、8週間を経過する前に産後休業を終了した場合であっても、産後8週間を経過するまでは、産後休業とみなされるので留意すること。
本肢は、「育児休業給付金の支給対象となる育児休業」に関する問題です。
産後休業は…
・原則8週間
・例外的に、本人が請求+医師がOKした場合は6週間
となりますね(復習)
本肢は、その例外的な6週間の産休となった場合に、
・6週間経過して産休終了後に育児休業開始となるか
・6週間経過しても、原則の8週間が経過するまでは産後休業とされ、その後に育児休業開始となるか
どちらとなるかが問われています。
結論としては、上記根拠要領にあるとおり「産後6週間を経過した場合であって、当該被保険者の請求により、8週間を経過する前に産後休業を終了した場合であっても、産後8週間を経過するまでは、産後休業とみなされる」とされています。
本人が請求して6週間にしたんだから、産後休業はそこまでなんじゃないの…と思われる方も多いと思いますが、あくまでも原則のルールに従う…ということのようですね。
本肢は×です。
雇用保険法 令和4年第6問 エ
育児休業の申出に係る子が1歳に達した日後の期間について、児童福祉法第39条に規定する保育所等において保育を利用することができないが、いわゆる無認可保育施設を利用することができる場合、他の要件を満たす限り育児休業給付金を受給することができる。
雇用保険に関する業務取扱要領59603
根拠となる要領を確認します。
59603 (3)延長事由及び期間の確認
雇用保険に関する業務取扱要領
イ 保育所等による保育の利用が実施されないこと
保育所等とは児童福祉法第 39 条第1項に規定する保育所、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成18年法律第77号)第2条第6項に規定する認定こども園又は児童福祉法第24条第2項に規定する家庭的保育事業等をいうものであり(中略)、いわゆる無認可保育施設は含まれないものである。
本肢は、「育児休業の延長」に関する問題です。
肢アにおいて、育児休業の期間は「例外:保育所における保育の実施が行われない場合は1歳6か月または2歳まで」と記載しました。
この「保育所」には、いわゆる「無認可保育園」は含まれるのでしょうか。
結論としては、上記根拠要領のとおり。「無認可保育園は含まない」となります。
お子様がいる方であれば、「認可・無認可」についてはイメージがわきやすいと思います。
誤解を恐れずにいえば、「公立高校・私立高校」の違いのようなものです。
一番の違いは「保育料」で、一般的に認可保育園は保育園は行政が絡むので低額/無認可保育園は高額、となります。
本肢は○です。
雇用保険法 令和4年第6問 オ
育児休業を開始した日前2年間のうち1年間事業所の休業により引き続き賃金の支払を受けることができなかった場合、育児休業開始日前3年間に通算して12か月以上のみなし被保険者期間があれば、他の要件を満たす限り育児休業給付金が支給される。
雇用保険に関する業務取扱要領59523
根拠となる要領を確認します。
59523 (3)育児休業給付の受給資格の確認
雇用保険に関する業務取扱要領
ハ イ及びロの受給資格の確認に当たって、当該2年の間に、疾病、負傷等やむを得ない理由により引き続き 30 日以上賃金の支払を受けることができなかった期間(業務取扱要領 50153 ロただし書きを含む。)がある場合には、当該理由により賃金の支払いを受けることができなかった期間を2年に加算することができる。また、この加算できる期間は最長2年間であり、合計で最長4年間まで受給要件を緩和することができる。
本肢は「育児休業給付の受給資格」に関する問題です。
育児休業給付の賃金支払基礎日数に関する受給資格は
・原則:休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は賃金の支払いの
基礎となった時間数が80時間以上の)完全月が12か月以上あること
・例外:育児休業開始日前2年の間に、疾病、負傷等やむを得ない理由により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかった期間がある場合は、当該理由により賃金の支払いを受けることができなかった期間を2年に加算する(合計で最長4年間)
とされています。
要は、疾病・負傷などやむを得ない事由が2年以内にある場合は、チェックする期間の幅を広げて、最大4年まではチェック範囲に含めてあげましょう!ということになります。
したがって、本肢のケースでは、育児休業開始日前3年間に通算して12か月以上のみなし被保険者期間がある…としており、4年以内の期間に収まっていますので、他の要件を満たす限り育児休業給付金が支給されることになります。
本肢は○です。
上記から、正解の選択肢はエとオとなりますので、「E」が正解となります。
以上から、正しい肢はエとオとなるため、正解は「E」となります。