労災保険法施行規則第 33 条に定める労災就学援護費に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
労働者災害補償保険法 令和4年第2問 A
労災就学援護費の支給対象には、傷病補償年金を受ける権利を有する者のうち、在学者等である子と生計を同じくしている者であり、かつ傷病の程度が重篤な者であって、当該在学者等に係る学資の支給を必要とする状態にあるものが含まれる。
則第33条第1項第5号
根拠条文を確認します。
(労災就学援護費)
労働者災害補償保険法施行規則
第三十三条 労災就学援護費は、次のいずれかに該当する者に対して、支給するものとする。
一~四(略)
五 傷病補償年金、複数事業労働者傷病年金又は傷病年金を受ける権利を有する者のうち、在学者等である子と生計を同じくしている者であり、かつ傷病の程度が重篤な者であつて、当該在学者等に係る学資等の支給を必要とする状態にあるもの
本肢は、「労災就学援護費の支給対象者」に関する問題です。
労災の制度に、「労災就学援護費」というものがあります。
厚労省の資料から抜粋すると、「労災就学援護費」とは、「労働災害によって亡くなった方のご遺族や、重度の障害を負ったり、長期の療養を余儀なくされた方のうち、ご自身またはお子さまが学校に通われていて、その学費の支払いが困難と認められた場合に」支給されるものとされています。
支給対象者は、上記根拠条文内に規定されています。
本肢はその中の一つに関して内容を問われています。
「傷病補償年金、複数事業労働者傷病年金又は傷病年金を受ける権利を有する者」に関しては、
・在学者等である子と生計同一
・傷病の程度が重篤
・当該在学者等に係る学資等の支給を必要とする状態にある
という3つの条件を満たすと、支給対象となります。
問題文の記載の通りです。
本肢は○です。
労働者災害補償保険法 令和4年第2問 B
労災就学援護費の支給対象には、障害年金を受ける権利を有する者のうち、在学者等である子と生計を同じくしている者であって、当該在学者等に係る職業訓練に要する費用の支給を必要とする状態にあるものが含まれる
則第33条第1項第4号
根拠条文を確認します。
(労災就学援護費)
労働者災害補償保険法施行規則
第三十三条 労災就学援護費は、次のいずれかに該当する者に対して、支給するものとする。
一~三(略)
四 障害補償年金、複数事業労働者障害年金又は障害年金を受ける権利を有する者のうち、在学者等である子と生計を同じくしている者であつて、当該在学者等に係る学資等の支給を必要とする状態にあるもの
本肢は、「労災就学援護費の支給対象者」に関する問題です。
一つ前の肢Aと類似の内容が問われています。
肢Bでは「障害補償年金、複数事業労働者障害年金又は障害年金を受ける権利を有する者」について問われていますが、当該者については、
・在学者等である子と生計同一
・当該在学者等に係る学資等の支給を必要とする状態にある
という2つの条件を満たすと、支給対象となります。
肢Aの「傷病」と比較していただけるとわかる通り、「傷病」には「傷病の程度が重篤」という条件がありますが、「障害」には「障害の程度が重篤」という基準がありません。
相違点としておさえておきましょう。
本肢は○です。
労働者災害補償保険法 令和4年第2問 C
労災就学援護費の額は、支給される者と生計を同じくしている在学者等である子が中学校に在学する者である場合は、小学校に在学する者である場合よりも多い。
則第33条第2項第1号・第2号
根拠条文を確認します。
(労災就学援護費)
労働者災害補償保険法施行規則
第三十三条
2 労災就学援護費の額は、次の各号に掲げる者の区分に応じ、当該各号に定める額とする。
一 小学校、義務教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部に在学する者 対象者一人につき月額一万五千円
二 中学校、義務教育学校の後期課程、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の中学部に在学する者 対象者一人につき月額二万円(ただし、通信制課程に在学する者にあつては、一人につき月額一万七千円)
本肢は、「労災就学援護費の支給金額」に関する問題です。
支給金額は以下の通りになります。
●労災就学援護費の支給金額
①小学校・義務教育学校の前期課程・特別支援学校の小学部に在学する者
⇒月額15000円(一人につき)
②中学校・義務教育学校の後期課程・中等教育学校の前期課程・特別支援学校の中学部に在学する者
⇒月額20000円(一人につき)
※通信制課程に在学する者
⇒月額17000円(一人につき)
上記の通り、小学校よりも中学校の方が金額が多いです。
本肢は○です。
労働者災害補償保険法 令和4年第2問 D
労災就学援護費の額は、支給される者と生計を同じくしている在学者等である子が特別支援学校の小学部に在学する者である場合と、小学校に在学する者である場合とで、同じである。
則第33条第2項第1号
根拠条文を確認します。
(労災就学援護費)
労働者災害補償保険法施行規則
第三十三条
2 労災就学援護費の額は、次の各号に掲げる者の区分に応じ、当該各号に定める額とする。
一 小学校、義務教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部に在学する者 対象者一人につき月額一万五千円
本肢は、「労災就学援護費の支給金額」に関する問題です。
一つ前の肢Cと同じ論点になります。
小学校相当であれば、上記根拠条文のとおり、特別支援学校か否かで金額が変わることがなく、同じ「15000円」となります。
本肢は○です。
労働者災害補償保険法 令和4年第2問 E
労災就学援護費は、支給される者と生計を同じくしている在学者等である子が大学に在学する者である場合、通信による教育を行う課程に在学する者か否かによって額に差はない。
則第33条第2項第4号
根拠条文を確認します。
(労災就学援護費)
労働者災害補償保険法施行規則
第三十三条
2 労災就学援護費の額は、次の各号に掲げる者の区分に応じ、当該各号に定める額とする
四 大学、高等専門学校の第四学年、第五学年若しくは専攻科若しくは専修学校の専門課程に在学する者又は公共職業能力開発施設において普通職業訓練を受ける者(前号に掲げる者を除く。)、高度職業訓練を受ける者若しくは前項第一号の公共職業能力開発施設に準ずる施設において教育訓練等を受ける者(前号に掲げる者を除く。) 対象者一人につき月額三万九千円(ただし、通信による教育を行う課程に在学する者にあつては、一人につき月額三万円)
本肢は「労災就学援護費の支給金額」に関する問題です。
肢C・Dでは、小学校・中学校に関する金額が問われましたが、肢Eでは大学に関する金額が問われています。
大学(相当)に関する支給金額は以下の通りです。
●労災就学援護費の支給金額
(①・②は肢C参照)
③大学・高等専門学校の第四~五学年・専攻科・専修学校の専門課程に在学する者/公共職業能力開発施設において普通職業訓練を受ける者・高度職業訓練を受ける者・前項第一号の公共職業能力開発施設に準ずる施設において教育訓練等を受ける者
⇒月額39000円(一人につき)
※通信制課程に在学する者
⇒月額30000円(一人につき)
上記のとおり、通信制かどうかで金額が異なります。
本肢は×となり、本問の正解となります。