社会保険労務士試験【労働基準法】<令和7年第問>

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労働基準法の総則(第1条~第12条)等に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。
A 一つ
B 二つ
C 三つ
D 四つ
E 五つ

労働基準法 令和7年第問 ア

労働基準法第5条に定める「労働者の意思に反して労働を強制」するとは、不当なる手段を用いることによって、使用者が労働者の意識ある意思を抑圧し、その自由な発現を妨げて、労働すべく強要することをいい、必ずしも労働者が現実に労働することを必要としない。

解答の根拠

昭和23年3月2日基発381号

根拠通達を確認します。

「労働者の意思に反して労働を強制する」とは、必ずしも労働者が現実に「労働」することを必要としない。使用者が労働者の意思を抑圧して労働することを強要したものであれば、本条違反にあたる。

昭和23年3月2日基発381号

本肢は「強制労働の禁止」に関する問題です。

本肢の論点は過去問でも頻出ですので、自信を持って解答できた方も多いのではないでしょうか。

「労働を強制して」その結果「労働した」ことが違法ではなく、そもそも「労働を強制した」時点で違法であり、その結果労働したかしなかったは関係ない、ということになります。

本肢は○です。

労働基準法 令和7年第問 イ

労働基準法第6条に定める「何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。」の「業として利益を得る」とは、営利を目的として、同種の行為を反復継続することをいい、1回の行為であっても、反復継続して利益を得る意思があれば、これに当たる

解答の根拠

昭和23年3月2日基発381号

根拠通達を確認します。

「業として」とは、営利を目的として、同種の行為を反復継続することをいい、1回の行為でも、反復継続して利益を得る意思があれば業に該当する。

昭和23年3月2日基発381号

本肢は「中間搾取の排除」に関する問題です。

「業として」の解釈が論点です。

(1)営利を目的としている
(2)同種の行為を反復継続する
この2つがそろえば「業として」という状態を満たすこととなります。

そのうち(2)については、実際に「反復継続」の実績がないと条件に合致しないというわけではなく、実績がなくても「反復継続」の意思があれば条件に合致することとなります。

本肢は○です。

労働基準法 令和7年第問 ウ

労働審判員や裁判員としての職務は労働基準法第7条にいう「公の職務」に該当するため、労働者が労働時間中に、これらの職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、使用者はこれを拒んではならないが、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。

解答の根拠

法第7条

根拠条文を確認します。

(公民権行使の保障)
第七条 使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。但し、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。

労働基準法

本肢は「公民権行使の保障」に関する問題です。

まず、公民権行使・公の職務執行について必要な時間を労働者が請求した場合は、上記のとおり使用者は拒むことはできません。

あとは、問題文にある「労働審判員や裁判員としての職務」が「公の職務」と言えるかですが、根拠通達はあるものの、もしそれを知らなかったとしても公的なイメージがわくと思いますので、「該当する」こととなります。

本肢は○です。

労働基準法 令和7年第問 エ

労働基準法第9条に定める「労働者」とは、他人との間に使用従属の関係に立って労務に服し、報酬を受けて生活する者をいい、現に就業していると否とを問わないから、失業者をも含む。

解答の根拠

法第9条

根拠通達を確認します。

第九条 この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

労働基準法

本肢は「労働者」に関する問題です。

上記根拠条文にあるとおり、労働者として判断されるためには「事業又は事務所に使用される」ことが必要です。

問題文にある「失業者」は、もちろん使用されている状況にはないので、労働者とは認められないこととなります。

本肢は×です。

労働基準法 令和7年第問 オ

労働者が自己を被保険者として生命保険会社等と任意に保険契約を締結したときに企業が保険料の補助を行う場合、その保険料補助金は、労働者の福利厚生のために使用者が負担するものであるから、労働基準法第11条に定める「賃金」とは認められない。

解答の根拠

昭和63年3月14日基発150号

根拠通達を確認します。

福利厚生のために使用者が負担する生命保険料等補助金は賃金でない

昭和63年3月14日基発150号

本肢は「賃金」に関する問題です。

労働者が自己を被保険者として生命保険会社等と任意に保険契約を締結したときに、会社が保険料の補助を行う場合があります。

その場合の保険料に対して会社が支給する補助金は、労働者の福利厚生のために会社が負担するものであり、「労働の対償」として支給されるものではありません

本肢は○です。

以上から、正しい選択肢はア・イ・ウ・エの4つとなり、「D 四つ」が正答となります。

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