国民年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
国民年金法 令和6年第9問 A
甲(昭和34年4月20日生まれ)は、20歳以後の学生であった期間は国民年金の加入が任意であったため加入していない。大学卒業後7年間は厚生年金保険の被保険者であったが、30歳で結婚してから15年間は第3号被保険者であった。その後、45歳から20年間、再び厚生年金保険の被保険者となっていたが65歳の誕生日で退職した。甲の老齢基礎年金は満額にならないため、65歳以降国民年金に任意加入して保険料を納付することができる。
平16法附則第23条第1項
根拠条文を確認します。
(任意加入被保険者の特例)
第二十三条 昭和三十年四月二日から昭和四十年四月一日までの間に生まれた者であって、次の各号のいずれかに該当するもの(国民年金法第七条第一項第二号に規定する第二号被保険者を除く。)は、同法第七条第一項の規定にかかわらず、厚生労働大臣に申し出て、国民年金の被保険者となることができる。ただし、その者が同法による老齢基礎年金、厚生年金保険法による老齢厚生年金その他の老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付であって政令で定める給付の受給権を有する場合は、この限りでない。
一 日本国内に住所を有する六十五歳以上七十歳未満の者(国民年金法の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く。)
二 日本国籍を有する者であって、日本国内に住所を有しない六十五歳以上七十歳未満のもの国民年金法平成16年附則
本肢は、「任意加入被保険者の特例」に関する問題です。
問題文の「甲(昭和34年4月20日生まれ)」は、特例任意加入の対象者です。
しかし、特例任意加入は、あくまでも「特例」ですので、老齢等を支給事由とする年金給付の受給権がある場合は、対象となりません。
問題文によると、甲の被保険者の経歴から、老齢基礎年金の受給要件を満たしていることがわかります。
そのため、甲は特例任意加入の対象にはなりませんので、問題文にあるような「65歳以降国民年金に任意加入して保険料を納付する」ことはできません。
本肢は×です。
国民年金法 令和6年第9問 B
老齢基礎年金の受給権を有する者であって66歳に達する前に当該老齢基礎年金を請求していなかった者が、65歳に達した日から66歳に達した日までの間において遺族厚生年金の受給権者となったが、実際には遺族厚生年金は受給せず老齢厚生年金を受給する場合は、老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができる。
法第28条第1項
根拠条文を確認します。
(支給の繰下げ)
第二十八条 老齢基礎年金の受給権を有する者であつて六十六歳に達する前に当該老齢基礎年金を請求していなかつたものは、厚生労働大臣に当該老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができる。ただし、その者が六十五歳に達したときに、他の年金たる給付(他の年金給付(付加年金を除く。)又は厚生年金保険法による年金たる保険給付(老齢を支給事由とするものを除く。)をいう。以下この条において同じ。)の受給権者であつたとき、又は六十五歳に達した日から六十六歳に達した日までの間において他の年金たる給付の受給権者となつたときは、この限りでない。国民年金法
本肢は、「支給の繰下げ」に関する問題です。
まず、支給の繰下げの原則のルールは…
・老齢基礎年金の受給権を有する者
・66歳に達する前に当該老齢基礎年金を請求していなかったもの
上記2つを満たす場合は、厚生労働大臣に当該老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができます。
ただし、例外として…
・その者が65歳に達したときに、他の年金たる給付の受給権者であったとき
・65歳に達した日から66歳に達した日までの間において他の年金たる給付の受給権者となったとき
上記いずれかに該当する場合は、支給繰下げの申出をすることはできません。
問題文によると、「65歳に達した日から66歳に達した日までの間において遺族厚生年金の受給権者となった」とあるので、支給繰下げの申出はできません。
本肢は×です。
国民年金法 令和6年第9問 C
政府は、国民年金事業に要する費用に充てるため、被保険者期間の計算の基礎となる各月につき保険料を徴収することとなっているが、被保険者は、将来の一定期間の保険料を前納することができる。その場合、国民年金法第87条第3項の表に定める額に保険料改定率を乗じて得た額となり、前納による控除は適用されない。
法第93条第2項
根拠条文を確認します。
(保険料の前納)
第九十三条
2 前項の場合において前納すべき額は、当該期間の各月の保険料の額から政令で定める額を控除した額とする。国民年金法
本肢は、「保険料の前納」に関する問題です。
単純な相違問題です。
保険料の前納の額は…
・問題文…前納による控除は適用されない
・正しくは…当該期間の各月の保険料の額から政令で定める額を控除した額
本肢は×です。
国民年金法 令和6年第9問 D
積立金の運用は、積立金が国民年金の被保険者から徴収された保険料の一部であり、かつ、将来の給付の貴重な財源となるものであることに特に留意し、専ら国民年金の被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うことにより、将来にわたって、国民年金事業の運営の安定に資することを目的として行うものとされている。
法第75条
根拠条文を確認します。
(運用の目的)
第七十五条 積立金の運用は、積立金が国民年金の被保険者から徴収された保険料の一部であり、かつ、将来の給付の貴重な財源となるものであることに特に留意し、専ら国民年金の被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うことにより、将来にわたつて、国民年金事業の運営の安定に資することを目的として行うものとする。国民年金法
本肢は、「積立金の運用」に関する問題です。
本肢は、上記根拠条文のどおりの問題です。
本肢は○となり、本問の正解となります。
国民年金法 令和6年第9問 E
国民年金基金は、加入員又は加入員であった者に対し、年金の支給を行い、あわせて加入員又は加入員であった者の死亡に関しても、年金の支給を行うものとする。
法第128条第1項
根拠条文を確認します。
(基金の業務)
第百二十八条 基金は、加入員又は加入員であつた者に対し、年金の支給を行ない、あわせて加入員又は加入員であつた者の死亡に関し、一時金の支給を行なうものとする。
本肢は、「基金の業務」に関する問題です。
単純な相違問題です。
●基金は加入員又は加入員であった者の死亡に関し…
・問題文…年金の支給を行う
・正しくは…一時金の支給を行なう
本肢は×です。