健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
健康保険法 令和6年第5問 A
保険者は、偽りその他不正の行為により保険給付を受け、又は受けようとした者に対して、6か月以内の期間を定め、その者に支給すべき傷病手当金又は出産手当金の全部又は一部を支給しない旨の決定をすることができる。ただし、偽りその他不正の行為があった日から1年を経過したときは、この限りでない。
法第120条
根拠条文を確認します。
第百二十条 保険者は、偽りその他不正の行為により保険給付を受け、又は受けようとした者に対して、六月以内の期間を定め、その者に支給すべき傷病手当金又は出産手当金の全部又は一部を支給しない旨の決定をすることができる。ただし、偽りその他不正の行為があった日から一年を経過したときは、この限りでない。
健康保険法
本肢は、「不正受給」に関する問題です。
本肢は上記根拠条文通りの問題です。
・6月以内の期間
・全部又は一部を支給しない
・行為日から1年経過後はこの限りではない
本肢は○です。
健康保険法 令和6年第5問 B
匿名診療等関連情報利用者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納めなければならない。納付すべき手数料の額は、匿名診療等関連情報の提供に要する時間1時間までごとに4,350円である。
法第150条の10第1項 / 令第44条の2第1項
根拠条文を確認します。
(手数料)
第百五十条の十 匿名診療等関連情報利用者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を国(前条の規定により厚生労働大臣からの委託を受けて、基金等が第百五十条の二第一項の規定による匿名診療等関連情報の提供に係る事務の全部を行う場合にあっては、基金等)に納めなければならない。健康保険法
(手数料の額等)
第四十四条の二 法第百五十条の十第一項の規定により匿名診療等関連情報利用者(法第百五十条の三に規定する匿名診療等関連情報利用者をいう。次条第二項及び第三項において同じ。)が納付すべき手数料の額は、匿名診療等関連情報(法第百五十条の二第一項に規定する匿名診療等関連情報をいう。次条第三項において同じ。)の提供に要する時間一時間までごとに四千三百五十円とする。健康保険法施行令
本肢は、「手数料」に関する問題です。
上記根拠条文(健康保険法第150条の10)のとおり、匿名診療等関連情報利用者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納めなければならない、とされています。
その中にある「政令で定める額」というのが、続く根拠条文(健康保険法施行令第44条の2)に定められている「4,350円」です。
本肢は○です。
健康保険法 令和6年第5問 C
徴収権の消滅時効の起算日は、保険料についてはその保険料の納期限の翌日、保険料以外の徴収金については徴収金を徴収すべき原因である事実の終わった日の翌日である。
保険料其ノ他ノ徴収金ノ徴収権又ハ還付請求権ノ消滅時効起算日ニ関スル件(昭和3年7月6日保発514号)
根拠条文を確認します。
保険料其ノ他健康保険法ノ規定ニ依ル徴収金ノ徴収権又ハ還付請求権ノ消滅時効ノ起算日ハ左記ニ依ルモノニ有之
徴収権ノ消滅時効ノ起算日
一 保険料ニ在リテハ其ノ保険料ノ納期限ノ翌日
二 保険料以外ノ徴収金ニ在リテハ徴収金ヲ徴収スヘキ原因タル事実ノ終リタル日ノ翌日保険料其ノ他ノ徴収金ノ徴収権又ハ還付請求権ノ消滅時効起算日ニ関スル件(昭和3年7月6日保発514号)
本肢は、「時効の起算日」に関する問題です。
【起算日】
●保険料…納期限の翌日
●保険料以外の徴収金…徴収すべき原因である事実の終わった日の翌日
本肢は○です。
健康保険法 令和6年第5問 D
健康保険法第183条の規定によりその例によるものとされる国税徴収法第141条の規定による徴収職員の質問(全国健康保険協会又は健康保険組合の職員が行うものを除く。)に対して答弁をせず、又は偽りの陳述をしたとき、その違反行為をした者は、50万円以下の罰金に処せられる。
法第213条の2第1項第2号
根拠条文を確認します。
第二百十三条の二 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。
二 第百八十三条の規定によりその例によるものとされる国税徴収法第百四十一条の規定による徴収職員の質問(協会又は健康保険組合の職員が行うものを除く。)に対して答弁をせず、又は偽りの陳述をしたとき。健康保険法
本肢は、「罰金」に関する問題です。
本肢は上記根拠条文通りの問題です。
・徴収職員の質問に対して答弁をせず、又は偽りの陳述をしたとき
→50万円以下の罰金
本肢は○です。
健康保険法 令和6年第5問 E
適用事業所の事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者の資格の取得に関する事項を保険者等に届け出なければならない。この届出については、被保険者の住所等を記載した被保険者資格取得届を提出することによって行うこととされているが、当該被保険者が健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者であって、当該健康保険組合が当該被保険者の住所に係る情報を求めないときは、被保険者の住所は記載が不要である。
則第24条第1項第9号
根拠条文を確認します。
(被保険者の資格取得の届出)
第二十四条 法第四十八条の規定による被保険者(任意継続被保険者を除く。以下この条、第二十九条、第三十五条の二から第三十六条の二まで及び第四十二条において同じ。)の資格の取得に関する届出は、当該事実があった日から五日以内に、次に掲げる事項を記載した様式第三号又は様式第三号の二による健康保険被保険者資格取得届を機構又は健康保険組合(第十一号において「保険者等」という。)(様式第三号の二によるものである場合にあっては、機構)に提出することによって行うものとする。九 被保険者の住所(当該被保険者が協会が管掌する健康保険の被保険者であって、厚生労働大臣が当該被保険者に係る機構保存本人確認情報(住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)第三十条の七第四項に規定する機構保存本人確認情報をいう。以下同じ。)の提供を受けることができるときを除く。)
健康保険法施行規則
本肢は、「被保険者の資格取得の届出」に関する問題です。
上記根拠条文にあるとおり、被保険者の資格取得の届出事項として「被保険者の住所」は原則として含まれます。
ただし、かっこ書きにあるとおり、当該被保険者が全国健康保険協会が管掌する健康保険の被保険者であって、厚生労働大臣が当該被保険者に係る機構保存本人確認情報の提供を受けることができるときは除かれていますので、届出は不要です。
しかし、問題文にある「当該被保険者が健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者であって、当該健康保険組合が当該被保険者の住所に係る情報を求めないとき」は、例外として除かれることとはされていません。
本肢は×となり、本問の正解となります。