社会保険労務士試験【健康保険法】<令和6年第1問>

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健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

健康保険法 令和6年第1問 A

全国健康保険協会(以下「協会」という。)は、厚生労働大臣から事業年度ごとの業績について評価を受け、その評価の結果を公表しなければならない。

解答の根拠

法第7条の30

根拠条文を確認します。

(各事業年度に係る業績評価)
第七条の三十 厚生労働大臣は、協会の事業年度ごとの業績について、評価を行わなければならない。
2 厚生労働大臣は、前項の評価を行ったときは、遅滞なく、協会に対し、当該評価の結果を通知するとともに、これを公表しなければならない。

健康保険法

本肢は、「各事業年度に係る業績評価」に関する問題です。

単純な相違問題です。

評価の結果を公表しなければならないのは…
・問題文…全国健康保険協会
・正しくは…厚生労働大臣

本肢は×です。

健康保険法 令和6年第1問 B

任意継続被保険者は、任意継続被保険者でなくなることを希望する旨を、厚生労働省令で定めるところにより、保険者に申し出た場合において、その申し出た日の属する月の末日が到来するに至ったときは、その翌日から任意継続被保険者の資格を喪失する。

解答の根拠

法第38条第1項第7号

根拠条文を確認します。

(任意継続被保険者の資格喪失)
第三十八条 任意継続被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日(第四号から第六号までのいずれかに該当するに至ったときは、その日)から、その資格を喪失する。
一 任意継続被保険者となった日から起算して二年を経過したとき。
二 死亡したとき。
三 保険料(初めて納付すべき保険料を除く。)を納付期日までに納付しなかったとき(納付の遅延について正当な理由があると保険者が認めたときを除く。)。
四 被保険者となったとき。
五 船員保険の被保険者となったとき。
六 後期高齢者医療の被保険者等となったとき。
七 任意継続被保険者でなくなることを希望する旨を、厚生労働省令で定めるところにより、保険者に申し出た場合において、その申出が受理された日の属する月の末日が到来したとき。

健康保険法

本肢は、「任意継続被保険者の資格喪失」に関する問題です。

単純な相違問題です。

任意継続被保険者の資格喪失は…
・問題文…申し出た日の属する月の末日が到来
・正しくは…申出が受理された日の属する月の末日が到来
した翌日から喪失します。

本肢は×です。

健康保険法 令和6年第1問 C

一般労働者派遣事業の事業所に雇用される登録型派遣労働者が、派遣就業に係る雇用契約の終了後、1か月以内に同一の派遣元事業主のもとでの派遣就業に係る次回の雇用契約が締結されなかった場合には、その雇用契約が締結されないことが確実になった日又は当該1か月を経過した日のいずれか遅い日をもって使用関係が終了したものとし、その使用関係終了日から5日以内に事業主は被保険者資格喪失届を提出する義務が生じるものであって、派遣就業に係る雇用契約の終了時に遡って被保険者資格を喪失させるものではない。

解答の根拠

「派遣労働者に対する社会保険適用の取扱いについて」の一部改正について〔厚生年金保険法〕(平成27年9月30日/保保発0930第9号/年管管発0930第11号)

根拠通達を確認します。

2.被保険者資格の喪失手続等
(1) 上記1の登録型派遣労働者について、1月以内に次回の雇用契約が締結されなかった場合には、その雇用契約が締結されないことが確実となった日又は当該1月を経過した日のいずれか早い日をもって使用関係が終了したものとし、その使用関係終了日から5日以内に事業主は資格喪失届を提出する義務が生じるものであって、派遣就業に係る雇用契約の終了時に遡って被保険者資格を喪失させるものではないこと。

「派遣労働者に対する社会保険適用の取扱いについて」の一部改正について〔厚生年金保険法〕(平成27年9月30日/保保発0930第9号/年管管発0930第11号)

本肢は、「派遣労働者の被保険者資格喪失」に関する問題です。

単純な相違問題です。

登録型派遣労働者に関して、使用関係が終了したものとするタイミングは、雇用契約が締結されないことが確実となった日又は当該1月を経過した日のいずれか…
・問題文…遅い日をもって
・正しくは…早い日をもって

本肢は×です。

健康保険法 令和6年第1問 D

保険医療機関の指定の取消処分を受けた医療機関に関して、健康保険法第65条第3項第1号において、当該医療機関がその取消しの日から5年を経過しないものであるときは、保険医療機関の指定をしないことができるとされているが、当該医療機関の機能、事案の内容等を総合的に勘案し、地域医療の確保を図るため特に必要があると認められる場合であって、診療内容又は診療報酬の請求に係る不正又は著しい不当に関わった診療科が、2年を経過した期間保険診療を行わない場合については、取消処分と同時に又は一定期間経過後に当該医療機関を保険医療機関として指定することができる。

解答の根拠

保険医療機関等及び保険医等の指導及び監査について(平成7年12月22日保発117号)

根拠通達を確認します。

監査要綱
第7 再指定
保険医療機関等が取消処分を受け、5年を経過しない場合等においては、健康保険法第65条第3項の規定に基づき、その指定を拒むことができる。ただし、取消処分を受けた医療機関の機能、事案の内容等を総合的に勘案し、地域医療の確保を図るため特に必要があると認められる場合であって、診療内容又は診療報酬の請求に係る不正又は著しい不当に関わった診療科が、相当の期間保険診療を行わない場合については、取消処分と同時に又は一定期間経過後に当該医療機関を保険医療機関として指定することができる。

保険医療機関等及び保険医等の指導及び監査について(平成7年12月22日保発117号)

本肢は、「保険医療機関の再指定」に関する問題です。

保険医医療機関等がなんらかの理由で指定の取消処分を受けた場合、原則として、その取消から5年を経過しない間は再指定はされません。

しかし、例外として「診療内容又は診療報酬の請求に係る不正又は著しい不当に関わった診療科が、相当の期間保険診療を行わない場合については」取消処分と同時に又は一定期間経過後に当該医療機関を保険医療機関として指定することができる、とされています。

問題文にある、「2年を経過した期間保険診療を行わない場合については」のような具体的な期間のさだめはなく、通達上は「相当の期間」とされています。

本肢は×です。

健康保険法 令和6年第1問 E

健康保険組合において、任意継続被保険者が被保険者の資格を喪失したときの標準報酬月額が、当該被保険者の属する健康保険組合の全被保険者における前年度の9月30日の標準報酬月額を平均した額を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額を超える場合は、規約で定めるところにより、資格喪失時の標準報酬月額をその者の標準報酬月額とすることができる。

解答の根拠

法第47条第2項

根拠条文を確認します。

(任意継続被保険者の標準報酬月額)
第四十七条 任意継続被保険者の標準報酬月額については、第四十一条から第四十四条までの規定にかかわらず、次の各号に掲げる額のうちいずれか少ない額をもって、その者の標準報酬月額とする。
一 当該任意継続被保険者が被保険者の資格を喪失したときの標準報酬月額
二 前年(一月から三月までの標準報酬月額については、前々年)の九月三十日における当該任意継続被保険者の属する保険者が管掌する全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額(健康保険組合が当該平均した額の範囲内においてその規約で定めた額があるときは、当該規約で定めた額)を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額
2 保険者が健康保険組合である場合においては、前項の規定にかかわらず、同項第一号に掲げる額が同項第二号に掲げる額を超える任意継続被保険者について、規約で定めるところにより、同項第一号に掲げる額(当該健康保険組合が同項第二号に掲げる額を超え同項第一号に掲げる額未満の範囲内においてその規約で定めた額があるときは、当該規約で定めた額を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額)をその者の標準報酬月額とすることができる。

健康保険法

本肢は、「任意継続被保険者の標準報酬月額」に関する問題です。

任意継続被保険者の標準報酬月額は、上記根拠条文(第47条第1項)に下記のように定められています。

●次のうちいずれか少ない額
(1)資格喪失時の標準報酬月額
(2)前年の9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額

例外の対応が同上第2項に規定されており、保険者が健康保険組合である場合には、(1)に掲げる額が(2)に掲げる額を超える任意継続被保険者について、規約で定めるところにより、上記(1)に掲げる額をその者の標準報酬月額とすることができる、とされています。

本肢は○となり、本問の正解となります。

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