労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
労働者災害補償保険法/徴収法 令和6年第8問 A
労働保険徴収法第8条に規定する請負事業の一括について、労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち建設の事業であって、数次の請負によって行われる場合、雇用保険に係る保険関係については、元請事業に一括することなく事業としての適用単位が決められ、それぞれの事業ごとに労働保険徴収法が適用される。
法第8条第1項
根拠条文を確認します。
(請負事業の一括)
第八条 厚生労働省令で定める事業が数次の請負によつて行なわれる場合には、この法律の規定の適用については、その事業を一の事業とみなし、元請負人のみを当該事業の事業主とする。労働保険の保険料の徴収等に関する法律
本肢は、「請負事業の一括」に関する問題です。
上記根拠条文のとおり、労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち、「建設の事業が数次の請負によって行なわれる場合には、その事業を一の事業とみなし、元請負人のみを当該事業の事業主とする」とされています。
しかし、雇用保険に係る保険関係については、問題文にある通り、一括の対象となりません。
本肢は○です。
労働者災害補償保険法/徴収法 令和6年第8問 B
労働保険徴収法第8条に規定する請負事業の一括について、下請負に係る事業については下請負人が事業主であり、元請負人と下請負人の使用する労働者の間には労働関係がないが、同条第2項に規定する場合を除き、元請負人は当該請負に係る事業について下請負をさせた部分を含め、そのすべての労働者について事業主として保険料の納付等の義務を負う。
法第8条第1項
根拠条文は肢Aと同じです。
本肢は、「請負事業の一括」に関する問題です。
請負事業の一括の効果として、元請け人は下請負人を含めたすべての労働者について、保険料の納付等の義務を負うこととされています(肢Aのとおり、雇用保険にかかる保険関係は除く)。
本肢は○です。
労働者災害補償保険法/徴収法 令和6年第8問 C
労働保険徴収法第8条第2項に定める下請負事業の分離に係る認可を受けようとする元請負人及び下請負人は、保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内に「下請負人を事業主とする認可申請書」を所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。
則第8条
根拠条文を確認します。
(下請負人をその請負に係る事業の事業主とする認可申請)
第八条 法第八条第二項の認可を受けようとする元請負人及び下請負人は、保険関係が成立した日の翌日から起算して十日以内に、次に掲げる事項を記載した申請書を所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。ただし、やむを得ない理由により、この期限内に当該申請書の提出をすることができなかつたときは、期限後であつても提出することができる。
一 当該下請負人の氏名又は名称及び住所又は所在地
二 当該下請負人の請負に係る事業の名称、当該事業の行われる場所、当該事業の概要、当該事業に係る請負金額、当該事業の種類、当該事業に係る第十一条第一号に規定する概算保険料の額、当該事業に係る労働者数、保険関係成立の年月日及び当該事業の終了予定年月日
三 当該元請負人の氏名又は名称及び住所又は所在地
四 当該元請負人の請負に係る事業の概要、保険関係成立の年月日、当該事業の終了予定年月日、当該事業に係る請負金額、当該事業の種類及び当該事業の名称労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則
本肢は、「下請負人をその請負に係る事業の事業主とする認可申請」に関する問題です。
上記根拠条文のとおり、下請負事業の分離に係る認可を受けようとする元請負人及び下請負人は、「保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内に、下請負人を事業主とする認可申請書を所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。」とされています。
本肢は○です。
労働者災害補償保険法/徴収法 令和6年第8問 D
労働保険徴収法第8条第2項に定める下請負事業の分離に係る認可を受けようとする元請負人及び下請負人は、天災その他不可抗力等のやむを得ない理由により、同法施行規則第8条第1項に定める期限内に「下請負人を事業主とする認可申請書」を提出することができなかったときは、期限後であっても当該申請書を提出することができる。
則第8条
根拠条文は肢Cと同じです。
本肢は、「下請負人をその請負に係る事業の事業主とする認可申請」に関する問題です。
肢Cで示した根拠条文の黄色マーカー部分の続きに、「ただし、やむを得ない理由により、この期限内に当該申請書の提出をすることができなかったときは、期限後であっても提出することができる。」という例外規定があります。
本肢は○です。
労働者災害補償保険法/徴収法 令和6年第8問 E
労働保険徴収法第8条第2項に定める下請負事業の分離に係る認可を受けるためには、当該下請負事業の概算保険料が160万円以上、かつ、請負金額が1億8,000万円以上(消費税等相当額を除く。)であることが必要とされている。
則第6条第1項
根拠通達を確認します。
(有期事業の一括)
第六条 法第七条第三号の厚生労働省令で定める規模以下の事業は、次の各号に該当する事業とする。
一 当該事業について法第十五条第二項第一号又は第二号の労働保険料を算定することとした場合における当該労働保険料の額に相当する額が百六十万円未満であること。
二 立木の伐採の事業にあつては、素材の見込生産量が千立方メートル未満であり、立木の伐採の事業以外の事業にあつては、請負金額が一億八千万円未満であること。(下請負人をその請負に係る事業の事業主とする認可の基準)
第九条 法第八条第二項の認可を受けるためには、下請負人の請負に係る事業が第六条第一項各号に該当する事業以外の事業でなければならない。労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則
本肢は、「下請負人をその請負に係る事業の事業主とする認可」に関する問題です。
下請負人をその請負に係る事業の事業主とする認可を受けるためには、「当該下請負事業の概算保険料が160万円以上、又は、請負金額が1億8,000万円以上(消費税等相当額を除く。)」であることが必要とされています。
「かつ」ではなく「又は」ということで、見落としそうな相違ですがなんとか気づきましょう。
本肢は×となり、本問の正解となります。