社会保険労務士試験【労働者災害補償保険法】<令和6年第6問>

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労災保険の海外派遣特別加入制度に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

労働者災害補償保険法 令和6年第6問 A

海外派遣者は、派遣元の団体又は事業主が、海外派遣者を特別加入させることについて政府の承認を申請し、政府の承認があった場合に特別加入することができる。

解答の根拠

労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律の施行(第四次分)等について(昭和52年3月30日基発192号)

根拠通達を確認します。

一〇 海外派遣者特別加入制度の創設(新法第二七条第六号及び第七号並びに第三〇条関係)
(二) 特別加入手続
海外派遣者は、派遣元の団体又は事業主が、海外派遣者を特別加入させることについて政府の承認を申請し、政府の承認があった場合に特別加入することができる(新法第三〇条第一項)。

労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律の施行(第四次分)等について(昭和52年3月30日基発192号)

本肢は、「海外派遣者特別加入制度」に関する問題です。

上記根拠通達のとおり、「海外派遣者は、派遣元の団体又は事業主が、海外派遣者を特別加入させることについて政府の承認を申請し、政府の承認があった場合に特別加入することができる」とされています。

本肢は○です。

労働者災害補償保険法 令和6年第6問 B

海外派遣者と派遣元の事業との雇用関係が、転勤、在籍出向、移籍出向等のいずれの形態で処理されていても、派遣元の事業主の命令で海外の事業に従事し、その事業との間に現実の労働関係をもつ限りは、特別加入の資格に影響を及ぼすものではない。

解答の根拠

労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律の施行(第四次分)等について(昭和52年3月30日基発192号)

根拠条文を確認します。

一〇 海外派遣者特別加入制度の創設(新法第二七条第六号及び第七号並びに第三〇条関係)
(一) 特別加入対象者
ロ 上記イの海外派遣者の特別加入の取扱いについて留意すべき点は、次のとおりである。
(イ) 派遣元の事業との雇用関係は転勤、在籍出向、移籍出向等種々の形態で処理されることになろうが、それがどのように処理されようとも、派遣元の事業主の命令で海外の事業に従事し、その事業との間に現実の労働関係をもつ限りは、特別加入の資格に影響を及ぼすものではない。

労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律の施行(第四次分)等について(昭和52年3月30日基発192号)

本肢は、「海外派遣者特別加入制度」に関する問題です。

上記根拠通達のとおり「派遣元の事業との雇用関係は転勤、在籍出向、移籍出向等種々の形態で処理されることになろうが、それがどのように処理されようとも、派遣元の事業主の命令で海外の事業に従事し、その事業との間に現実の労働関係をもつ限りは、特別加入の資格に影響を及ぼすものではない。」とされています。

企業によって、国内の派遣元から海外の派遣先に行く形式は、転籍・出向などいろいろな形態によることが多いですが、形態はどうであれ、実態として判断されます。

本肢は○です。

労働者災害補償保険法 令和6年第6問 C

海外派遣者として特別加入している者が、同一の事由について派遣先の事業の所在する国の労災保険から保険給付が受けられる場合には、わが国の労災保険給付との間で調整がなされなければならない。

解答の根拠

労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律の施行(第四次分)等について(昭和52年3月30日基発192号)

根拠条文を確認します。

一〇 海外派遣者特別加入制度の創設(新法第二七条第六号及び第七号並びに第三〇条関係)
(七) 保険給付
ホ 特別加入者が、同一の事由について派遣先の事業の所在する国の労災保険から保険給付が受けられる場合にも、我が国の労災保険給付との間の調整は行う必要がない。

労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律の施行(第四次分)等について(昭和52年3月30日基発192号)

本肢は、「海外派遣者特別加入制度」に関する問題です。

上記根拠通達のとおり「同一の事由について派遣先の事業の所在する国の労災保険から保険給付が受けられる場合にも、我が国の労災保険給付との間の調整は行う必要がない。」とされています。

保険給付の実施主体(国)が異なるので、併給調整などは行う必要がないとされています。

本肢は○です。

労働者災害補償保険法 令和6年第6問 D

海外派遣者として特別加入している者の赴任途上及び帰任途上の災害については、当該特別加入に係る保険給付は行われない。

解答の根拠

平成3年2月1日基発74号

根拠通達は原文が見当たりませんでした。

本肢は、「海外派遣者特別加入制度」に関する問題です。

他の選択肢の根拠となっている「労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律の施行(第四次分)等について(昭和52年3月30日基発192号)」においては、海外派遣者の補償の範囲に関して、「赴任途上及び帰任途上の災害については保険給付は行われない」とされています。

その後改正があり、現在は「赴任途上における災害については、次の要件をすべて満たすものについて業務災害と認められます」とされています。

(1)海外派遣を命じられた労働者が、その転勤に伴う移転のため転勤前の住居等から赴任先事業場に赴く途中で発生した災害であること。
(2)社会通念上、合理的な経路及び方法による赴任であること。
(3)赴任のために直接必要でない行為あるいは恣意的行為に起因して発生した災害でないこと。
(4)赴任に対して赴任先事業主より旅費が支給される場合であること。

問題文には詳しい状況の説明はありませんが、100%「保険給付は行わない」と言い切るのは誤りです。

本肢は×となり、本問の正解となります。

労働者災害補償保険法 令和6年第6問 E

海外出張者として特段の加入手続を経ることなく当然に労災保険の保護を与えられるのか、海外派遣者として特別加入しなければ保護が与えられないのかは、単に労働の提供の場が海外にあるにすぎず国内の事業場に所属し、当該事業場の使用者の指揮に従って勤務するのか、海外の事業場に所属して当該事業場の使用者の指揮に従って勤務することになるのかという点からその勤務の実態を総合的に勘案して判定されるべきものである。

解答の根拠

労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律の施行(第四次分)等について(昭和52年3月30日基発192号)

根拠通達を確認します。

一〇 海外派遣者特別加入制度の創設(新法第二七条第六号及び第七号並びに第三〇条関係)
(九) 海外出張との関係
(略)なお、海外出張者として保護を与えられるのか、海外派遣者として特別加入しなければ保護が与えられないのかは、単に労働の提供の場が海外にあるにすぎず国内の事業場に所属し、当該事業場の使用者の指揮に従って勤務するのか、海外の事業場に所属して当該事業場の使用者の指揮に従って勤務することになるのかという点からその勤務の実態を総合的に勘案して判定されるべきものである。

労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律の施行(第四次分)等について(昭和52年3月30日基発192号)

本肢は、「海外派遣者特別加入制度」に関する問題です。

上記根拠通達のとおり「海外出張者として保護を与えられるのか、海外派遣者として特別加入しなければ保護が与えられないのかは、単に労働の提供の場が海外にあるにすぎず国内の事業場に所属し、当該事業場の使用者の指揮に従って勤務するのか、海外の事業場に所属して当該事業場の使用者の指揮に従って勤務することになるのかという点からその勤務の実態を総合的に勘案して判定されるべきものである。」とされています。

こちらも形式的に判断するのではなく、実態をよく考慮して保護の対象とするか否かを判断することとなるようです。

本肢は○です。

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