次に示す業態をとる株式会社についての安全衛生管理に関する記述のうち、誤っているものはどれか。なお、衛生管理者については、選任の特例(労働安全衛生規則第8条)を考えないものとする。
W市に本社を置き、人事、総務等の管理業務を行っている。
使用する労働者数 常時30人
X市に第1工場を置き、金属部品の製造及び加工を行っている。
・工場は1直7:00~15:00及び2直15:00~23:00の2交替で操業しており、1グループ150人計300人の労働者が交替で就業している。
・工場には動力により駆動されるプレス機械が10台設置され、当該機械による作業が行われている。
Y市に第2工場を置き、金属部品の製造及び加工を行っている。
・工場は1直7:00~15:00及び2直15:00~23:00の2交替で操業しており、1グループ40人計80人の労働者が交替で就業している。
・工場には動力により駆動されるプレス機械が5台設置され、当該機械による作業が行われている。
Z市に営業所を置き、営業活動を行っている。
使用する労働者数 常時12人(ただし、この事業場のみ、うち6人は1日4時間労働の短時間労働者)
労働安全衛生法 令和6年第8問 A
W市にある本社には、安全管理者も衛生管理者も選任する義務はない。
令第4条
根拠条文を確認します。
(衛生管理者を選任すべき事業場)
第四条 法第十二条第一項の政令で定める規模の事業場は、常時五十人以上の労働者を使用する事業場とする。労働安全衛生法施行令
本肢は、「安全管理者・衛生管理者」に関する問題です。
そのため…
・安全管理者…「その他業務」のため選任義務なし
・衛生管理者…50人未満のため選任義務なし
となります。
本肢は○です。
労働安全衛生法 令和6年第8問 B
W市にある本社には、総括安全衛生管理者を選任しなければならない。
令第2条
根拠条文を確認します。
(総括安全衛生管理者を選任すべき事業場)
第二条 労働安全衛生法(以下「法」という。)第十条第一項の政令で定める規模の事業場は、次の各号に掲げる業種の区分に応じ、常時当該各号に掲げる数以上の労働者を使用する事業場とする。
一 林業、鉱業、建設業、運送業及び清掃業 百人
二 製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゆう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゆう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業 三百人
三 その他の業種 千人労働安全衛生法施行令
本肢は、「総括安全衛生管理者」に関する問題です。
加えて、使用する労働者数が常時30人であり、上記根拠条文のとおり「1000人以上」ではないため、総括安全衛生管理者を選任する義務はありません。
本肢は×となり、本問の正解となります。
労働安全衛生法 令和6年第8問 C
X市にある第1工場及びY市にある第2工場には、それぞれ安全管理者及び衛生管理者を選任しなければならないが、X市にある第1工場には、衛生管理者を二人以上選任しなければならない。
令第3条 / 則第7条
根拠条文を確認します。
(安全管理者を選任すべき事業場)
第三条 法第十一条第一項の政令で定める業種及び規模の事業場は、前条第一号又は第二号に掲げる業種の事業場で、常時五十人以上の労働者を使用するものとする。労働安全衛生法施行令
(衛生管理者の選任)
第七条
四 次の表の上欄に掲げる事業場の規模に応じて、同表の下欄に掲げる数以上の衛生管理者を選任すること。
事業場の規模(常時使用する労働者数)
衛生管理者数
五十人以上二百人以下 一人
二百人を超え五百人以下 二人
五百人を超え千人以下 三人
千人を超え二千人以下 四人
二千人を超え三千人以下 五人
三千人を超える場合 六人労働安全衛生法施行規則
本肢は、「安全管理者・衛生管理者」に関する問題です。
労働安全衛生法では、場所的に分散しているものは原則として別個の事業場とすることとされています。
そのため、X市にある第1工場及びY市にある第2工場には、法律の選任基準に従い、それぞれ安全管理者及び衛生管理者を選任しなければなりません。
次に、X市にある第1工場には合計300人の労働者がいます。
上記根拠条文のとおり「200人を超え500人以下」の場合には、衛生管理者を2人以上選任しなければなりません。
本肢は○です。
労働安全衛生法 令和6年第8問 D
X市にある第1工場及びY市にある第2工場には、プレス機械作業主任者を、それぞれの工場に、かつ1直2直それぞれに選任しなければならない。
法第14条
根拠条文を確認します。
(作業主任者)
第十四条 事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。労働安全衛生法
本肢は、「作業主任者」に関する問題です。
肢Cでも触れたように、労働安全衛生法では、場所的に分散しているものは原則として別個の事業場とすることとされています。
そして、上記根拠条文のとおり「動力により駆動されるプレス機械を5台以上有する事業場において行う当該機械による作業」は作業主任者を選任すべきものとされています。
また、交替制作業の場合は、作業主任者が労働者を直接指揮する必要があるので、各直(1直2直それぞれ)に選任させなければなりません。
本肢は○です。
労働安全衛生法 令和6年第8問 E
Z市にある営業所には、衛生推進者を選任しなければならない。
則第12条の2
根拠通達を確認します。
(安全衛生推進者等を選任すべき事業場)
第十二条の二 法第十二条の二の厚生労働省令で定める規模の事業場は、常時十人以上五十人未満の労働者を使用する事業場とする。労働安全衛生法施行規則
本肢は、「衛生推進者」に関する問題です。
上記根拠条文のとおり、安全管理者を選任しなければならない業種以外で、常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場においては、衛生推進者を選任しなければなりません。
本肢は○です。