傷病手当金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
健康保険法 令和5年第10問 A
被保険者(任意継続被保険者を除く。)が業務外の疾病により労務に服することができないときは、その労務に服することができなくなった日から起算して4日を経過した日から労務に服することができない期間、傷病手当金を支給する。
法第99条第1項
根拠条文を確認します。
(傷病手当金)
第九十九条 被保険者(任意継続被保険者を除く。第百二条第一項において同じ。)が療養のため労務に服することができないときは、その労務に服することができなくなった日から起算して三日を経過した日から労務に服することができない期間、傷病手当金を支給する。健康保険法
本肢は、「傷病手当金の支給要件」に関する問題です。
単純な相違問題です。
傷病手当金の待機期間は…
・問題文…4日
・正しくは…3日
本肢は×です。
健康保険法 令和5年第10問 B
傷病手当金の待期期間について、疾病又は負傷につき最初に療養のため労務不能となった場合のみ待期が適用され、その後労務に服し同じ疾病又は負傷につき再度労務不能になった場合は、待期の適用がない。
昭和2年3月11日保理1085号
根拠条文を確認します。
昭和二年二月二十五日付旭給第二七二号ヲ以テ伺出相成候標記ノ件右ハ疾病又ハ負傷ニ付最初ニ療養ノ為労務ニ服スルコト能ハサルニ至リタル場合ニ於テノミ待期ノ適用アルモノニシテ其ノ後労務ニ服シ(医師ノ指示ノ有無ヲ問ハス)其ノ疾病又ハ負傷ニ付更ニ療養ノ為労務ニ服スルコト能ハサルニ至リタル場合ニ於テハ待期ノ適用ナキモノニ有之
法第四十五条ノ待期ニ関スル件(昭和2年3月11日保理1085号)
本肢は、「傷病手当金の待期」に関する問題です。
問題文のケースのように、「療養のため①労務不能」→「労務に復帰」→「同一疾病・負傷で再度②労務不能」という場合、①の労務不能の時点で待期期間が適用されていれば、②の時点で再度待期が適用されることはない、ということになります。
本肢は○となり、本問の正解となります。
健康保険法 令和5年第10問 C
傷病手当金を受ける権利の消滅時効は2年であるが、その起算日は労務不能であった日ごとにその当日である。
昭和30年9月7日保険発199-2号
根拠条文を確認します。
昭和三十年八月二十三日付鶴保給雑第四二二号で照会のあつた標記については、御見解のとおり、労務不能日に係る傷病手当金の請求権が発生しこれを行使し得るものであるから、傷病手当金の消滅時効は、労務不能であつた日ごとにその翌日から起算されるものである
傷病手当金及び出産手当金の請求権消滅時効の起算日について(昭和30年9月7日保険発199-2号)
本肢は、「傷病手当金の消滅時効の起算日」に関する問題です。
単純な相違問題です。
傷病手当金の消滅時効の起算日は…
・問題文…労務不能であった日ごとにその当日
・正しくは…労務不能であった日ごとにその翌日
本肢は×です。
健康保険法 令和5年第10問 D
令和5年4月1日に被保険者の資格を喪失した甲は、資格喪失日の前日まで引き続き1年以上の被保険者(任意継続被保険者、特例退職被保険者又は共済組合の組合員である被保険者ではないものとする。)期間を有する者であった。甲は、令和5年3月27日から療養のため労務に服することができない状態となったが、業務の引継ぎのために令和5年3月28日から令和5年3月31日までの間は出勤した。この場合、甲は退職後に被保険者として受けることができるはずであった期間、傷病手当金の継続給付を受けることができる。
法第104条
根拠条文を確認します。
(傷病手当金又は出産手当金の継続給付)
第百四条 被保険者の資格を喪失した日(任意継続被保険者の資格を喪失した者にあっては、その資格を取得した日)の前日まで引き続き一年以上被保険者(任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)であった者(第百六条において「一年以上被保険者であった者」という。)であって、その資格を喪失した際に傷病手当金又は出産手当金の支給を受けているものは、被保険者として受けることができるはずであった期間、継続して同一の保険者からその給付を受けることができる。健康保険法
本肢は、「傷病手当金の継続給付」に関する問題です。
資格喪失後の継続給付としての傷病手当金は、原則として、その資格を喪失した際に傷病手当金の支給を受けていることが要件となります。
問題文では、
・令和5年3月27日から療養のため労務に服することができない状態となった
ものの、
・業務の引継ぎのために令和5年3月28日から令和5年3月31日までの間は出勤
とあるため、待期が完成していません。
したがって、資格を喪失した際に傷病手当金を受けている状態ではないため、継続給付の対象外となります。
本肢は×です。
健康保険法 令和5年第10問 E
傷病手当金の支給期間中に被保険者が死亡した場合、当該傷病手当金は当該被保険者の死亡日の前日分まで支給される。
法第36条第1項第1号
根拠条文を確認します。
(資格喪失の時期)
第三十六条 被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日(その事実があった日に更に前条に該当するに至ったときは、その日)から、被保険者の資格を喪失する。
一 死亡したとき。健康保険法
本肢は「傷病手当金の資格喪失」に関する問題です。
上記根拠条文のとおり、被保険者が死亡した場合、その死亡日の翌日から被保険者の資格を喪失します。
したがって、死亡日当日は資格を喪失していないことになりますので、死亡日当日分の傷病手当金は支給されることとなります。
本肢は×です。