社会保険労務士試験【雇用保険法】<令和7年第1問>

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任意適用事業に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

雇用保険法 令和7年第1問 A

公益財団法人(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成18年法律第49号)に基づき公益認定を受けた一般財団法人)である事業主の事務所は、雇用保険法第5条第1項の規定にかかわらず任意適用事業であり、厚生労働大臣の認可を受けて適用事業所となることができる。

解答の根拠

法附則第2条 / 雇用保険に関する業務取扱要領20104

根拠条文・要領を確認します。

(適用範囲に関する暫定措置)
第二条 次の各号に掲げる事業(国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業及び法人である事業主の事業(事務所に限る。)を除く。)であつて、政令で定めるものは、当分の間、第五条第一項の規定にかかわらず、任意適用事業とする。

雇用保険法附則

20104(4)「法人」の意義
「法人」とは、私法人、公法人、特殊法人、公益法人、中間法人(協同組合等)、営利法人(会社)を問わず、法人格のある社団、財団のすべてが含まれる。

雇用保険に関する業務取扱要領

本肢は「任意適用事業」に関する問題です。

まず、上記根拠条文(法附則第2条)で、任意適用事業とする事業から「法人である事業主の事業」が除かれていることがわかります。したがって、法人は「適用事業」となります。

では、「法人」にはどのようなものが含まれるか、というのを定義しているのが業務取扱要領となり、「法人格のある社団・財団のすべてが含まれる」とあります。

したがって、本問にある「公益財団法人」は法人となり、任意適用事業とはなりません。

本肢は×です。

雇用保険法 令和7年第1問 B

年間のうちごく短期間のみ陸上で行われる水産養殖業を営む個人経営事業所が8人の労働者を雇用している場合、雇用保険法第5条第1項の規定にかかわらず当該事業所は任意適用事業であり、厚生労働大臣の認可を受けて適用事業所となることができる。

解答の根拠

雇用保険に関する業務取扱要領20105

根拠となる要領を確認します。

20105(5)「常時5人以上」の意義
イ 「常時5人以上」とは、一の事業において雇用する労働者の数が年間を通じて5人以上であることをいう。 したがって、ごく短期間のみ行われる事業、あるいは一定の季節にのみ行われる事業(いわゆる季節的事業)は、通常「常時5人以上」には該当しない。

雇用保険に関する業務取扱要領

本肢は「任意適用事業」に関する問題です。

適用事業の要件である「常時5人以上」の「常時」の定義ですが、上記根拠となる要領にあるように「ごく短期間のみ行われる事業、あるいは一定の季節にのみ行われる事業(いわゆる季節的事業)」は「年間を通じている状態」ではない=「常時ではない」と判断されます。

したがって、本問のケースは、「常時5人以上」の状態ではないことになりますので、「当該事業所は任意適用事業であり、厚生労働大臣の認可を受けて適用事業所となることができる」とされます。

本肢は○となり、本問の正解となります。

雇用保険法 令和7年第1問 C

雇用保険法附則第2条第1項に定める任意適用事業については、事業主が任意加入の申請をし、厚生労働大臣の認可があった場合、当該認可の翌日にその事業の雇用保険に係る保険関係が成立する。

解答の根拠

雇用保険に関する業務取扱要領20101

根拠となる要領を確認します。

20101(1)概要
ロ 暫定任意適用事業については、事業主が任意加入の申請をし、厚生労働大臣の認可があった日にその事業につき雇用保険に係る保険関係が成立する(適用事業がその事業内容の変更、労働者の減員等によって、暫定任意適用事業に該当するに至ったときは、その翌日にその事業につき任意加入の認可があったものとみなされる。)(徴収法附則第2条第1項及び第4項)。

雇用保険に関する業務取扱要領

本肢は「任意適用事業」に関する問題です。

単純な相違問題です。
・問題文…当該認可の翌日にその事業の雇用保険に係る保険関係が成立
・正しくは…当該認可のにその事業の雇用保険に係る保険関係が成立

本肢は×です。

雇用保険法 令和7年第1問 D

常時10人の労働者を雇用する動物の飼育の事業を行う個人経営事業所が、労働者の退職により労働者数が5人未満となった場合、事業の性質上速やかに補充を要し、事業の規模からみて5人未満の状態が一時的であっても、雇用保険法附則第2条第1項に定める任意適用事業となる。

解答の根拠

雇用保険に関する業務取扱要領20105

根拠となる要領を確認します。

20105(5)「常時5人以上」の意義
イ  また労働者の退職等により労働者の数が5人未満となった場合であっても、事業の性質上速やかに補充を要し、事業の規模等からみて5人未満の状態が一時的であると認められるときは、5人以上として取り扱う。

雇用保険に関する業務取扱要領

本肢は「任意適用事業」に関する問題です。

上記の通り、一時的に5人未満の状態になったとしても「5人以上の状態」とみなされるため、任意適用事業とはなりません。

本肢は×です。

雇用保険法 令和7年第1問 E

1週間の所定労働時間が20時間以上である3人の労働者及び1週間の所定労働時間が20時間未満である5人の労働者を雇用する植物の植栽の事業を行う個人経営事業所は、雇用保険法第5条第1項の規定にかかわらず任意適用事業であり、厚生労働大臣の認可を受けて適用事業所となることができる。

解答の根拠

雇用保険に関する業務取扱要領20105

根拠通達を確認します。

20105(5)「常時5人以上」の意義
ロ イの5人の計算に当たっては、法第6条第1号から第5号までに該当し法の適用を受けない労働者も含まれる。したがって、法第42条に規定する日雇労働者も含めて計算する。

雇用保険に関する業務取扱要領

本肢は「任意適用事業」に関する問題です。

上記の通り「5人の計算に当たっては、法第6条第1号から第5号までに該当し法の適用を受けない労働者も含まれる」とされています。

問題文にある「1週間の所定労働時間が20時間未満である5人の労働者」は、労働時間の関係で雇用保険の適用除外となりますが、このような労働者も、「常時5人以上」のカウント対象となります。

となると、本問のケースでは、労働者数は8人となりますので任意適用事業とはなりません。

本肢は×です。

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