社会保険労務士試験【労働者災害補償保険法/徴収法】<令和7年第10問>

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労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

労働者災害補償保険法/徴収法 令和7年第10問 A

事業主は、労災保険の特別加入の申請、変更届、脱退申請等に関する手続について、労働保険事務組合に処理を委託することができない。

解答の根拠

法第33条第1項

根拠条文を確認します。

(労働保険事務組合)
第三十三条 中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第三条の事業協同組合又は協同組合連合会その他の事業主の団体又はその連合団体(法人でない団体又は連合団体であつて代表者の定めがないものを除く。以下同じ。)は、団体の構成員又は連合団体を構成する団体の構成員である事業主その他厚生労働省令で定める事業主(厚生労働省令で定める数を超える数の労働者を使用する事業主を除く。)の委託を受けて、この章の定めるところにより、これらの者が行うべき労働保険料の納付その他の労働保険に関する事項(印紙保険料に関する事項を除く。以下「労働保険事務」という。)を処理することができる。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律

本肢は「労働保険事務組合」に関する問題です。

事業主は、労災保険の特別加入の申請、変更届、脱退申請等に関する手続について、労働保険事務組合に処理を委託することができます。

委託できないのは、上記根拠条文にある「印紙保険料」に関する事項のほか、
・労災保険の保険給付及び特別支給金に関する請求書等に係る事務手続及びその代行
・雇用保険の保険給付に関する請求書等に係る事務手続及びその代行
・雇用保険二事業に係る事務手続及びその代行
とされています。

本肢は×です。

労働者災害補償保険法/徴収法 令和7年第10問 B

事業主が処理すべき労働保険事務を代理して処理できる労働保険事務組合とは、労働保険徴収法第33条に規定する団体等であって法人でなければならない。

解答の根拠

法第33条第1項

根拠条文を確認します。

(労働保険事務組合)
第三十三条 中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第三条の事業協同組合又は協同組合連合会その他の事業主の団体又はその連合団体(法人でない団体又は連合団体であつて代表者の定めがないものを除く。以下同じ。)は、団体の構成員又は連合団体を構成する団体の構成員である事業主その他厚生労働省令で定める事業主(厚生労働省令で定める数を超える数の労働者を使用する事業主を除く。)の委託を受けて、この章の定めるところにより、これらの者が行うべき労働保険料の納付その他の労働保険に関する事項(印紙保険料に関する事項を除く。以下「労働保険事務」という。)を処理することができる。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律

本肢は「労働保険事務組合」に関する問題です。

事業主の団体又はその連合団体は、法人でなければ労働保険事務組合の認可を受けることができない、という規定はありません。

本肢は×です。

労働者災害補償保険法/徴収法 令和7年第10問 C

政府が労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託した事業主に対してすべき労働保険料等についての督促状による督促を、直接当該事業主に対してすることなく当該労働保険事務組合に対して行った場合、その効果は当該事業主に対して及ばない。

解答の根拠

法第34条

根拠条文を確認します。

(労働保険事務組合に対する通知等)
第三十四条 政府は、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託した事業主に対してすべき労働保険関係法令の規定による労働保険料の納入の告知その他の通知及び還付金の還付については、これを労働保険事務組合に対してすることができる。この場合において、労働保険事務組合に対してした労働保険料の納入の告知その他の通知及び還付金の還付は、当該事業主に対してしたものとみなす。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律

本肢は「労働保険事務組合に対する通知等」に関する問題です。

上記根拠条文のとおり、「労働保険事務組合に対してした労働保険料の納入の告知その他の通知及び還付金の還付は、当該事業主に対してしたものとみなす」とされています。

本肢は×です。

労働者災害補償保険法/徴収法 令和7年第10問 D

督促状による督促があった旨の通知を労働保険事務組合から受けた滞納事業主が、労働保険事務処理規約等に規定する期限までに労働保険料の納付のための金銭を当該労働保険事務組合に交付しなかったために延滞金を徴収される場合、当該労働保険事務組合は延滞金の納付責任を負う。

解答の根拠

法第35条第2項

根拠通達を確認します。

(労働保険事務組合の責任等)
第三十五条
2 労働保険関係法令の規定により政府が追徴金又は延滞金を徴収する場合において、その徴収について労働保険事務組合の責めに帰すべき理由があるときは、その限度で、労働保険事務組合は、政府に対して当該徴収金の納付の責めに任ずるものとする。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律

本肢は「労働保険事務組合の責任等」に関する問題です。

上記根拠条文のとおり「労働保険関係法令の規定により政府が追徴金又は延滞金を徴収する場合において、その徴収について労働保険事務組合の責めに帰すべき理由があるときは、その限度で、労働保険事務組合は、政府に対して当該徴収金の納付の責めに任ずるものとする」とされています。

問題文にある「労働保険事務処理規約等に規定する期限までに労働保険料の納付のための金銭を当該労働保険事務組合に交付しなかったために延滞金を徴収される場合」というケースは、労働保険事務組合に金銭を交付しなかった「滞納事業主」に責任(責めに帰すべき理由)がありますので、「労働保険事務組合の責めに帰すべき理由があるとき」には該当しません。

本肢は×です。

労働者災害補償保険法/徴収法 令和7年第10問 E

労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託した事業主に使用されていた者が、前年に当該労働保険事務組合の虚偽の届出により労災保険の保険給付を不正に受給していた場合、政府は当該労働保険事務組合に対して、当該不正受給者と連帯し、受給金額の全部又は一部を返還すべきことを命ずることができる。

解答の根拠

法第35条第4項

根拠条文を確認します。

(労働保険事務組合の責任等)
第三十五条
4 労働保険事務組合は、労災保険法第十二条の三第二項の規定及び雇用保険法第十条の四第二項の規定の適用については、事業主とみなす。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律

本肢は「労働保険事務組合の責任等」に関する問題です。

上記根拠条文にある「労災保険法第十二条の三第二項の規定」及び「雇用保険法第十条の四第二項の規定」は、いずれも、不正受給の返還に関する規定になります。

この「不正受給の返還」に関しては、「労働保険事務組合は…事業主とみなす」とあります。

したがって、労働保険事務組合は事業主と共に返還義務を負うことになります。

本肢は○となり、本問の正解となります。

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