次の記述のうち、業務災害として保険給付の対象となるものはいくつあるか。
A 一つ
B 二つ
C 三つ
D 四つ
E 五つ
労働者災害補償保険法 令和7年第2問 ア
鉄道保線作業に従事する労働者が、休日に自己の担当する鉄道沿線で事故があったため、使用者の呼び出しを受けて自宅から現場にかけつける途上で、つまずいて転倒し、負傷した場合
昭和24年1月19日基収3375号
本肢は「業務災害」に関する問題です。
上記根拠通達にあるとおり、休日に使用者の呼び出しを受けて現場にかけつける通勤の途上でケガを負った場合は、通勤災害ではなく業務災害とされます。
本肢は○です。
労働者災害補償保険法 令和7年第2問 イ
職場から2駅離れた社宅に居住する労働者が、休日に、台風のため社宅付近の大木が倒れたことに伴って切断された高圧電線がショートし、枯木に火が付く様子を社宅から目撃したことから、社宅への延焼を防止しようと作業していたところ、強風にあおられた高圧電線に接触して死亡した場合
昭和24年12月15日基収4028号
本肢は「業務災害」に関する問題です。
社宅…ということで、会社=仕事に関係がある、と考えてしまいそうなところですが、会社の業務に関係するかどうかで考えると「関係しない」と判断するのが妥当です。
本肢は×です。
労働者災害補償保険法 令和7年第2問 ウ
職業能力開発促進法に基づく技能検定であって、職務に関連する職種に係るものを、使用者から出張命令を受けて受検した労働者が、実技試験中に当該実技に起因して負傷した場合
昭和34年10月9日基発700号
本肢は「業務災害」に関する問題です。
①職務に関連する職種に係るもの
②使用者から出張命令を受けて受検
この2点がそろっていれば業務災害と考えられます。
本肢は○です。
労働者災害補償保険法 令和7年第2問 エ
山岳地区であって地理的条件から天候の変化が激しく、雷の発生頻度も高い地域で、山頂より100メートル下方で植生盤の植付作業をしていた労働者が、夕立のような異様な天候になったので、作業を中止し、他に適当な退避場所がなかったことから山頂の休憩小屋に退避しようと移動していたときに、落雷の直撃を受けて死亡した場合
昭和36年3月13日基収1844号
本肢は「業務災害」に関する問題です。
問題文のような天災の影響を受けやすい業務で、その影響により被災した場合は、業務に伴う危険が現実化して発生したものとして業務災害とされます。
本肢は○です。
労働者災害補償保険法 令和7年第2問 オ
通常は私鉄バスを利用して帰宅する夜勤労働者が、当該私鉄バスのストライキによる運休のため、早朝、電車で帰宅するつもりでバス停とは反対方向の鉄道駅に向かっている途上で自動車にはねられ、負傷した場合
本肢は「業務災害」に関する問題です。
通常バスを使って通勤していても、問題文のようにストライキ等の理由でバスが使えない場合に電車を使ったとしても、合理的な経路と認められ通勤災害と認められます。
ただし本問で求められている業務災害ではないので、本肢は×です。
以上から、正しい選択肢は、ア・ウ・エの3つとなりますので、「C 三つ」が正解となります。

