社会保険労務士試験【労働者災害補償保険法】<令和7年第1問>

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労災保険法の適用に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

労働者災害補償保険法 令和7年第1問 A

出向元事業に雇用される労働者が、その雇用関係を存続したまま、出向元事業主の命により出向先事業の業務に従事する在籍型出向の場合、当該労働者に係る労災保険給付は、常に出向先事業に係る保険関係によるものとされている。

解答の根拠

出向労働者に対する労働者災害補償保険法の適用について(昭和35年11月2日基発932号)

根拠通達を確認します。

一 出向労働者に係る保険関係について

出向労働者に係る保険関係が、出向元事業と出向先事業とのいずれにあるかは、出向の目的及び出向元事業主と出向先事業主とが当該出向労働者の出向につき行なつた契約ならびに出向先事業における出向労働者の労働の実態等に基づき、当該労働者の労働関係の所在を判断して、決定すること。

出向労働者に対する労働者災害補償保険法の適用について(昭和35年11月2日基発932号)

本肢は「出向労働者に係る保険関係」に関する問題です。

在籍型出向者には、出向元・出向先、どちらの労災が適用されるのか、という論点ですが、上記根拠通達にあるとおり「出向契約・出向者の労働実態等に基づき、当該労働者の労働関係の所在を判断して、決定」とされています。

一言で言えば「ケースバイケース」となりますので、問題文にあるとおり、「常に出向先事業に係る保険関係によるものとされている。」というわけではありません。

本肢は×です。

労働者災害補償保険法 令和7年第1問 B

派遣労働者に係る労災保険給付は、常に派遣元事業に係る保険関係によるものとされている。

解答の根拠

労働者派遣事業に対する労働保険の適用及び派遣労働者に係る労働者災害補償保険の給付に関する留意事項等について(昭和61年6月30日基発383号)

根拠通達を確認します。

第二 労働者派遣事業に対する労働保険の適用について
一 総論的事項
労働者派遣事業に対する労働保険の適用については、労働者災害補償保険・雇用保険双方とも派遣元事業主の事業が適用事業とされる

労働者派遣事業に対する労働保険の適用及び派遣労働者に係る労働者災害補償保険の給付に関する留意事項等について(昭和61年6月30日基発383号)

本肢は「労働者派遣事業に係る保険関係」に関する問題です。

派遣労働者についても、設問Aと類似の課題として「派遣元・派遣先どちらの労災が適用されるのか」という点が挙げられます。

ただし、派遣については出向とは異なり、上記根拠通達にあるとおり明確に「派遣元事業主の事業が適用事業とされる」となります。

本肢は○となり、本問の正解となります。

労働者災害補償保険法 令和7年第1問 C

障害者総合支援法に基づく就労継続支援を行う事業場で就労する障害者は、雇用契約の締結の有無にかかわらず、労災保険法が適用される。

解答の根拠

就労継続支援事業利用者の労働者性に関する留意事項について(平成18年10月2日障障発1002003号)

根拠通達を確認します。

1 就労継続支援事業利用者に関する留意事項
(3) A型利用者(雇用有及び雇用無)及びB型利用者が利用する多機能型事業所等を実施する場合の留意事項
ウ A型利用者(雇用無)及びB型利用者は、労働者災害補償保険法の適用がないことから、当該利用者に対する災害における賠償手段として、任意保険の加入の促進を図るともに、労働安全衛生法を準用した安全衛生管理を極力行うこと。

就労継続支援事業利用者の労働者性に関する留意事項について(平成18年10月2日障障発1002003号)

本肢は「障害者への労災保険適用」に関する問題です。

障害者に対する就労継続支援事業については、上記根拠通達にある通り
・A型(雇用有及び雇用無)
・B型
とわかれていますが、労災保険法の適用は雇用契約の締結の有無によるものとされています。

本肢は×です。

労働者災害補償保険法 令和7年第1問 D

インターンシップにおいての実習は、見学や体験的なものであることを原則としていることから、当該実習に参加する学生に労災保険法が適用されることはない。

解答の根拠

平成9年9月18日基発636号

根拠通達を確認します。

インターンシップにおける学生の労働者性については、一般に、インターンシップにおいての実習が、見学や体験的なものであり使用者から業務に係る指揮命令を受けていると解されないなど使用従属関係が認められない場合には、労働基準法第9条に規定される労働者に該当しないものであるが、直接生産活動に従事するなど当該作業による利益・効果が当該事業場に帰属し、かつ、事業場と学生との間に使用従属関係が認められる場合には、当該学生は労働者に該当するものと考えられ、また、この判断は、個々の実態に即して行う必要がある。

平成9年9月18日基発636号

本肢は「インターンシップへの労災保険適用」に関する問題です。

インターンシップについては、見学や体験的なものが多いので原則としては労災の適用はありません。

しかし、中には上記根拠通達にあるような「直接生産活動に従事するなど当該作業による利益・効果が当該事業場に帰属し、かつ、事業場と学生との間に使用従属関係が認められる場合」があり、その場合は「労働者に該当する」として労災の適用がある可能性があります。

そのため、問題文にあるように「労災保険法が適用されることはない」と断定することはできません。

本肢は×です。

労働者災害補償保険法 令和7年第1問 E

育児休業を取得する公立小学校教諭の業務を処理するために、当該育児休業請求に係る期間を任期の限度として臨時的任用された者には、その勤務の態様にかかわらず、労災保険法が適用される。

解答の根拠

法第3条第2項

根拠通達を確認します。

第三条 
② 前項の規定にかかわらず、国の直営事業及び官公署の事業(労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)別表第一に掲げる事業を除く。)については、この法律は、適用しない

労働者災害補償保険法

本肢は「地方公務員への労災保険適用」に関する問題です。

問題文にある「公立小学校教諭の業務を処理するための、育児休業に伴う臨時的任用職員」は、非現業の公務員です。

この場合は、常勤・非常勤という「勤務の態様にかかわらず」、地方公務員災害補償法が適用され、労災法の対象外となります。

本肢は×です。

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