社会保険労務士試験【労働基準法】<令和7年第6問>

スポンサーリンク

労働基準法第37条(以下本問において「本条」という。)に定める割増賃金の基礎となる賃金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

労働基準法 令和7年第6問 A

通勤手当を、月額1,000円までは距離にかかわらず一律に、1,000円を超える場合は実際距離に応じた額を支給することとしている場合、割増賃金の基礎となる賃金の算定に当たっては、一律に支給される1,000円を含む通勤手当として支給した額全額を、割増賃金の基礎となる賃金に算入しなくとも差し支えないとされている。

解答の根拠

昭和23年2月20日基発297号

根拠通達を確認します。

通勤に要した費用や通勤距離に関係なく、一定額まで一律に支給される通勤手当は、割増賃金の計算基礎に算入しなければならない。

昭和23年2月20日基発297号

本肢は「割増賃金」に関する問題です。

通勤費は原則は割増賃金の計算基礎算入対象外です。

しかし、上記根拠通達にあるとおり、「通勤に要した費用や通勤距離に関係なく、一定額まで一律に支給される通勤手当」は、通勤にかかった費用の実費弁償の意味が弱くなり一般的な手当ての要素が強くなるため、割増賃金の計算基礎算入対象としなければなりません。

本肢は×です。

労働基準法 令和7年第6問 B

手術に従事した医師に対して支払われる手術手当は、当該手術手当を支給される医師が手術以外の業務で法定時間外労働を行った場合においても、割増賃金の基礎となる賃金に算入しなければならないとされている。

解答の根拠

昭和26年8月6日基収3305号

根拠通達を確認します。

手術に従事した医師に対して支払われる手術手当は、「当該手術手当の与えられる勤務時間が法定の割増賃金を支払うべき時間に該当する場合にのみ割増賃金の基礎となる賃金」である

昭和26年8月6日基収3305号

本肢は「割増賃金」に関する問題です。

上記根拠通達にあるとおり、手術手当は「当該手術手当の与えられる勤務時間が法定の割増賃金を支払うべき時間に該当する場合にのみ割増賃金の基礎となる賃金」とされています。

そのため、手術以外の業務で法定時間外労働を行った場合は、割増賃金の基礎となる賃金に算入する必要はありません。

本肢は×です。

労働基準法 令和7年第6問 C

通常は事務作業に従事している労働者が、法定労働時間外に特殊作業手当が支払われる現場作業に従事した場合、当該労働者にとって当該現場作業は本条第1項の「通常の労働時間」には該当しないので、当該特殊作業手当は割増賃金の基礎となる賃金に算入しなくとも差し支えないとされている。

解答の根拠

昭和23年11月22日基発1681号

根拠通達を確認します。

危険作業が時間外、休日又は深夜になされた場合には、「危険作業手当を法第37条の割増賃金の基礎となる賃金に算入して計算した割増賃金を支払わなければならない。」

昭和23年11月22日基発1681号

本肢は「割増賃金」に関する問題です。

上記根拠通達にあるとおり、危険作業が時間外、休日又は深夜になされた場合には、「危険作業手当を法第37条の割増賃金の基礎となる賃金に算入して計算した割増賃金を支払わなければならない。」とされています。

本肢は×です。

労働基準法 令和7年第6問 D

いわゆる年俸制の適用を受ける労働者の割増賃金の取扱いについて、賞与の支給額が確定しており、かつ、毎月支払部分と賞与とが明確に区分されている場合には、当該賞与額を割増賃金の基礎となる賃金に算入しなくとも差し支えない。

解答の根拠

平成12年3月8日基収78号

根拠通達を確認します。

年俸制で毎月払い部分と賞与部分を合計してあらかじめ年俸額が確定している場合の賞与部分は、割増賃金の基礎となる賃金から除外できる賃金に該当しない。

平成12年3月8日基収78号

本肢は「割増賃金」に関する問題です。

年俸制で毎月払い部分と賞与部分を合計して予め年俸額が確定している場合の賞与部分は「賞与」に該当しません。

そのため、賞与部分を含めて当該確定した年俸額全体を算定の基礎として割増賃金を支払う必要があります。

本肢は×です。

労働基準法 令和7年第6問 E

正規の勤務時間による勤務の一部又は全部が午後10時から午前5時までの間において行われる看護業務に従事したときに、その勤務1回につき夜間看護手当として3,000円を支払う場合、当該夜間看護手当は、本条第1項の通常の労働時間又は労働日の賃金とは認められないから、割増賃金の基礎となる賃金に算入しなくとも差し支えないとされている。

解答の根拠

昭和41年4月2日基収1262号

根拠通達を確認します。

正規の勤務時間による勤務の一部又は全部が深夜(午後10時後翌日の午前5時前の間)において行われる看護等の業務に従事したときに支給される「夜間看護手当」は、労働基準法第37条第1項の通常の労働時間又は労働日の賃金とは認められないから、同項の割増賃金の基礎となる賃金に参入しなくてもさしつかえない。

昭和41年4月2日基収1262号

本肢は「割増賃金」に関する問題です。

上記根拠通達にあるとおり、「夜間看護手当は、労働基準法37条1項の通常の労働時間又は労働日の賃金とは認められないから、同項の割増賃金の基礎となる賃金に算入しなくてもさしつかえない」とされています。

本肢は○となり、本問の正解となります。

タイトルとURLをコピーしました