国民年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
国民年金法 令和6年第10問 A
被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持していた配偶者は、遺族基礎年金を受けることができる子と生計を同じくし、かつ、その当時日本国内に住所を有していなければ遺族基礎年金を受けることができない。なお、死亡した被保険者又は被保険者であった者は保険料の納付要件を満たしているものとする。
法第37条の2第1項
根拠条文を確認します。
(遺族の範囲)
第三十七条の二 遺族基礎年金を受けることができる配偶者又は子は、被保険者又は被保険者であつた者の配偶者又は子(以下単に「配偶者」又は「子」という。)であつて、被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時その者によつて生計を維持し、かつ、次に掲げる要件に該当したものとする。
一 配偶者については、被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時その者によつて生計を維持し、かつ、次号に掲げる要件に該当する子と生計を同じくすること。
二 子については、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあるか又は二十歳未満であつて障害等級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていないこと。国民年金法
本肢は、「遺族基礎年金の遺族の範囲」に関する問題です。
遺族基礎年金の支給要件は上記根拠条文のとおりですが、特に「国内居住要件」については規定されていません。
本肢は×です。
国民年金法 令和6年第10問 B
第2号被保険者である50歳の妻が死亡し、その妻により生計を維持されていた50歳の夫に遺族基礎年金の受給権が発生し、16歳の子に遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給権が発生した。この場合、子が遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給し、その間は夫の遺族基礎年金は支給停止される。
法第41条第2項
根拠条文を確認します。
(支給停止)
第四十一条
2 子に対する遺族基礎年金は、配偶者が遺族基礎年金の受給権を有するとき(配偶者に対する遺族基礎年金が第二十条の二第一項若しくは第二項又は次条第一項の規定によりその支給を停止されているときを除く。)、又は生計を同じくするその子の父若しくは母があるときは、その間、その支給を停止する。国民年金法
本肢は、「遺族基礎年金の支給停止」に関する問題です。
子に対する遺族基礎年金は、上記根拠条文のとおり、配偶者(本肢の場合は「夫」)が遺族基礎年金の受給権を有するときは、その間、その支給が停止されることとなります。
そのため、本肢のケースでは
・夫に対する遺族基礎年金
・子に対する遺族厚生年金(遺族基礎年金は支給停止)
が支給されることとなります。
本肢は×です。
国民年金法 令和6年第10問 C
死亡日の前日において死亡日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料半額免除期間を48月有し、かつ、4分の1免除期間を12月有している者で、所定の要件を満たす被保険者が死亡した場合に、その被保険者の死亡によって遺族基礎年金又は寡婦年金を受給できる者はいないが、死亡一時金を受給できる遺族がいるときは、その遺族に死亡一時金が支給される。
法第52条の2第1項
根拠条文を確認します。
(支給要件)
第五十二条の二 死亡一時金は、死亡日の前日において死亡日の属する月の前月までの第一号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間の月数、保険料四分の一免除期間の月数の四分の三に相当する月数、保険料半額免除期間の月数の二分の一に相当する月数及び保険料四分の三免除期間の月数の四分の一に相当する月数を合算した月数が三十六月以上である者が死亡した場合において、その者に遺族があるときに、その遺族に支給する。ただし、老齢基礎年金又は障害基礎年金の支給を受けたことがある者が死亡したときは、この限りでない。国民年金法
本肢は、「死亡一時金の支給要件」に関する問題です。
本肢の月数要件を整理すると…
①保険料半額免除期間…48月→月数カウント:48×1/2=24月
②4分の1免除期間…12月→月数カウント:12×3/4=9月
⇒①+②=33月、となります。
上記根拠条文のとおり、死亡一時金の支給要件は「36月以上」となりますので、本肢のケースでは支給されません。
本肢は×です。
国民年金法 令和6年第10問 D
国民年金法第30条の3に規定するいわゆる基準障害による障害基礎年金は、65歳に達する日の前日までに、基準障害と他の障害とを併合して初めて障害等級1級又は2級に該当する程度の障害の状態となった場合に支給される。ただし、請求によって受給権が発生し、支給は請求のあった月からとなる。
法第30条の3第1項・第3項
根拠条文を確認します。
第三十条の三 疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その傷病(以下この条において「基準傷病」という。)に係る初診日において第三十条第一項各号のいずれかに該当した者であつて、基準傷病以外の傷病により障害の状態にあるものが、基準傷病に係る障害認定日以後六十五歳に達する日の前日までの間において、初めて、基準傷病による障害(以下この条において「基準障害」という。)と他の障害とを併合して障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至つたとき(基準傷病の初診日が、基準傷病以外の傷病(基準傷病以外の傷病が二以上ある場合は、基準傷病以外のすべての傷病)の初診日以降であるときに限る。)は、その者に基準障害と他の障害とを併合した障害の程度による障害基礎年金を支給する。
3 第一項の障害基礎年金の支給は、第十八条第一項の規定にかかわらず、当該障害基礎年金の請求があつた月の翌月から始めるものとする。国民年金法
本肢は、「障害基礎年金」に関する問題です。
まず、受給権の発生の観点について。
基準障害による障害基礎年金は、「基準障害」と「他の障害」とを併合して障害等級1級又は2級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったときに受給権が発生しますので、問題文にある「請求によって受給権が発生」というのは誤りになります。
また、当該障害基礎年金の請求があった月の翌月から始めることとされていますので、この点についても誤りとなります。
本肢は×です。
国民年金法 令和6年第10問 E
保険料その他この法律の規定による徴収金を滞納する者があるときは、厚生労働大臣は、督促状により期限を指定して督促することができるが、この期限については、督促状を発する日から起算して10日以上を経過した日でなければならない。
法第96条第1項・第3項
根拠条文を確認します。
(督促及び滞納処分)
第九十六条 保険料その他この法律の規定による徴収金を滞納する者があるときは、厚生労働大臣は、期限を指定して、これを督促することができる。
3 前項の督促状により指定する期限は、督促状を発する日から起算して十日以上を経過した日でなければならない。国民年金法
本肢は、「督促及び滞納処分」に関する問題です。
本肢は上記根拠条文のとおりの内容となります。
・保険料その他この法律の規定による徴収金を滞納する者があるとき
→厚生労働大臣は、期限を指定して、これを督促することができる。
・当該督促状により指定する期限
→督促状を発する日から起算して10日以上を経過した日でなければならない。
本肢は○となり、本問の正解となります。