厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
厚生年金保険法 令和6年第7問 A
令和2年9月から厚生年金保険の標準報酬月額の上限について、政令によって読み替えて法の規定を適用することとされており、変更前の最高等級である第31級の上に第32級が追加された。第32級の標準報酬月額は65万円である。
厚生年金保険法の標準報酬月額の等級区分の改定等に関する政令
根拠条文を確認します。
(令和二年九月以後の標準報酬月額の等級区分の改定)
第一条 令和二年九月以後の厚生年金保険法(以下「法」という。)の標準報酬月額については、法第二十条第一項の表中「
第三一級 六二〇、〇〇〇円 六〇五、〇〇〇円以上
」とあるのは「
第三一級 六二〇、〇〇〇円 六〇五、〇〇〇円以上 六三五、〇〇〇円未満
第三二級 六五〇、〇〇〇円 六三五、〇〇〇円以上
」と読み替えて、法の規定(他の法令において引用する場合を含む。)を適用する。厚生年金保険法の標準報酬月額の等級区分の改定等に関する政令
本肢は、「等級区分」に関する問題です。
現在の等級区分の上限は、問題文にあるとおり「第32級の650,000円」です。
等級区分は、もちろん全部を覚える必要はありませんが、上限・下限は常に最新のものを押さえておくようにしましょう。
本肢は○です。
厚生年金保険法 令和6年第7問 B
厚生年金保険法第22条によれば、実施機関は、被保険者の資格を取得した者について、月、週その他一定期間によって報酬が定められる場合には、被保険者の資格を取得した日の現在の報酬の額をその期間の総日数で除して得た額の30倍に相当する額を報酬月額として、その者の標準報酬月額を決定する。
法第22条第1項第1号
根拠条文を確認します。
(被保険者の資格を取得した際の決定)
第二十二条 実施機関は、被保険者の資格を取得した者があるときは、次の各号に規定する額を報酬月額として、標準報酬月額を決定する。
一 月、週その他一定期間によつて報酬が定められる場合には、被保険者の資格を取得した日の現在の報酬の額をその期間の総日数で除して得た額の三十倍に相当する額厚生年金保険法
本肢は、「被保険者の資格を取得した際の決定」に関する問題です。
上記根拠条文のとおり「月、週その他一定期間によって報酬が定められる場合には、被保険者の資格を取得した日の現在の報酬の額をその期間の総日数で除して得た額の30倍に相当する額」とされています。
本肢は○です。
厚生年金保険法 令和6年第7問 C
事業主は、その使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負う。毎月の保険料は、翌月末日までに、納付しなければならない。高齢任意加入被保険者の場合は、被保険者が保険料の全額を負担し、自己の負担する保険料を納付する義務を負うことがあるが、その場合も、保険料の納期限は翌月末日である。
法第82条第2項 / 法第83条第1項 / 法附則第4条の3第7項
根拠条文を確認します。
(保険料の負担及び納付義務)
第八十二条
2 事業主は、その使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負う。(保険料の納付)
第八十三条 毎月の保険料は、翌月末日までに、納付しなければならない。厚生年金保険法
(高齢任意加入被保険者)
第四条の三
7 第一項の規定による被保険者は、第八十二条第一項及び第二項の規定にかかわらず、保険料の全額を負担し、自己の負担する保険料を納付する義務を負うものとし、その者については、第八十四条の規定は、適用しない。ただし、その者の事業主が、当該保険料の半額を負担し、かつ、その被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負うことにつき同意をしたときは、この限りでない。厚生年金保険法附則
本肢は、「保険料の納付」に関する問題です。
問題文の論点を整理します。
・一般の保険料の納付義務…事業主
・一般の保険料の納付期限…翌月末日
・高齢任意加入被保険者の保険料の納付義務…本人
・高齢任意加入被保険者の保険料の納付期限…翌月末日
本肢は○です。
厚生年金保険法 令和6年第7問 D
厚生労働大臣は、保険料等の効果的な徴収を行う上で必要があると認めるときは、滞納者に対する滞納処分等の権限の全部又は一部を財務大臣に委任することができる。この権限委任をすることができる要件のひとつは、納付義務者が1年以上の保険料を滞納していることである。
法第100条の5第1項 / 令第4条の2の16 / 則第99条
根拠条文を確認します。
(財務大臣への権限の委任)
第百条の五 厚生労働大臣は、前条第三項の規定により滞納処分等及び同条第一項第三十号に掲げる権限の全部又は一部を自らが行うこととした場合におけるこれらの権限並びに同号に規定する厚生労働省令で定める権限のうち厚生労働省令で定めるもの(以下この条において「滞納処分等その他の処分」という。)に係る納付義務者が滞納処分等その他の処分の執行を免れる目的でその財産について隠ぺいしているおそれがあることその他の政令で定める事情があるため保険料その他この法律の規定による徴収金の効果的な徴収を行う上で必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、財務大臣に、当該納付義務者に関する情報その他必要な情報を提供するとともに、当該納付義務者に係る滞納処分等その他の処分の権限の全部又は一部を委任することができる。厚生年金保険法
(法第百条の五第一項に規定する政令で定める事情)
第四条の二の十六 法第百条の五第一項に規定する政令で定める事情は、次の各号のいずれにも該当するものであることとする。
一 納付義務者が厚生労働省令で定める月数分以上の保険料を滞納していること。厚生年金保険法施行令
(令第四条の二の十六第一号に規定する厚生労働省令で定める月数)
第九十九条 令第四条の二の十六第一号に規定する厚生労働省令で定める月数は、二十四月とする。厚生年金保険法施行規則
本肢は、「財務大臣への権限の委任」に関する問題です。
上記の条文の構成を整理します。
・法第100条の5…厚生労働大臣は保険料その他この法律の規定による徴収金の効果的な徴収を行う上で必要があると認めるときは財務大臣に権限の委譲ができる。
・施行令第4条の2の16…納付義務者が厚生労働省令で定める月数分以上の保険料を滞納しているあるときに以上できる
・施行規則第99条…その月数は「24月」
本肢は×となり、本問の正解となります。
厚生年金保険法 令和6年第7問 E
産前産後休業をしている被保険者に係る保険料については、事業主負担分及び被保険者負担分の両方が免除される。
法第81条の2の2第1項
根拠条文を確認します。
(産前産後休業期間中の保険料の徴収の特例)
第八十一条の二の二 産前産後休業をしている被保険者が使用される事業所の事業主が、主務省令で定めるところにより実施機関に申出をしたときは、第八十一条第二項の規定にかかわらず、当該被保険者に係る保険料であつてその産前産後休業を開始した日の属する月からその産前産後休業が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間に係るものの徴収は行わない。厚生年金保険法
本肢は、「産前産後休業期間中の保険料の徴収の特例」に関する問題です。
上記根拠条文のとおり、産前産後休業をしている被保険者に係る保険料については、事業主等からの届出により、事業主負担分、被保険者負担分の両方が免除されます。
本肢は○です。