社会保険労務士試験【健康保険法】<令和6年第10問>

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健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

健康保険法 令和6年第10問 A

被保険者甲(令和5年1月1日資格取得)は、出産予定日が令和6年1月10日であったが、実際の出産日は令和5年12月25日であったことから、出産日の前日まで引き続き1年以上の被保険者期間がなかった。これにより、被保険者の資格を取得してから1年を経過した日から出産の日後56日までの間において労務に服さなかった期間、出産手当金が支給される。

解答の根拠

法第102条第1項

根拠条文を確認します。

(出産手当金)
第百二条 被保険者が出産したときは、出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日)以前四十二日(多胎妊娠の場合においては、九十八日)から出産の日後五十六日までの間において労務に服さなかった期間、出産手当金を支給する。

健康保険法

本肢は、「出産手当金」に関する問題です。

上記根拠条文のとおり、出産手当金の期間について、出産予定日が早まった場合は、実際の出産日(令和5年12月25日)を起点
・日以前42日
・日後56日
を計算することとなります。

本肢は×です。

健康保険法 令和6年第10問 B

独立して生計を営む子が、健康保険法の適用を受けない事業所に勤務していた間に、疾病のため失業し被保険者である父に扶養されるに至った場合、扶養の事実は保険事故発生当時の状況によって被扶養者となるかを決定すべきであるから、被扶養者となることはできない。

解答の根拠

被扶養者の認定について(昭和23年11月17日保文発781号)

根拠通達を確認します。

1 独立して生計を営む子が、健康保険法の適用を受けない事業所に勤務するうち、疾病のため失業し被保険者である父に扶養されるに至つた場合、之を健康保険法第一条第二項に該当するものとして取り扱つてよいかどうか。即ち、扶養の事実は保険事故発生当時の状況によつて被扶養者なりや否やを決定すべきか、又は保険事故発生後に於ても扶養の事実があれば被扶養者として給付してよろしいか。

本月八日付保険発第五六九号をもつて御照会になつた標記の件は、後段御見解の通り扱われたい。

被扶養者の認定について(昭和23年11月17日保文発781号)

本肢は、「被扶養者の認定」に関する問題です。

問題文にある「独立して生計を営む子が、健康保険法の適用を受けない事業所に勤務するうち、疾病のため失業し被保険者である父に扶養されるに至った場合」という状況になった場合には、上記根拠通達にあるとおり、「保険事故発生後に於ても扶養の事実があれば被扶養者として給付してよい」とされています。

本肢は×です。

健康保険法 令和6年第10問 C

被保険者乙の配偶者が令和5年8月8日に双生児を出産したことから、被保険者乙は令和5年10月1日から令和5年12月31日まで育児休業を取得した。この場合、令和6年1月分の当該被保険者に関する保険料は徴収されない。

解答の根拠

法第159条第1項第1号

根拠条文を確認します。

第百五十九条 育児休業等をしている被保険者(第百五十九条の三の規定の適用を受けている被保険者を除く。次項において同じ。)が使用される事業所の事業主が、厚生労働省令で定めるところにより保険者等に申出をしたときは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める月の当該被保険者に関する保険料(その育児休業等の期間が一月以下である者については、標準報酬月額に係る保険料に限る。)は、徴収しない。
一 その育児休業等を開始した日の属する月とその育児休業等が終了する日の翌日が属する月とが異なる場合 
その育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの月

健康保険法

本肢は、「保険料徴収の特例」に関する問題です。

育児休業等をしている被保険者が使用される事業所の事業主が保険者等に申出をしたときは、上記根拠条文のとおり、「その育児休業等を開始した日の属する月とその育児休業等が終了する日の翌日が属する月とが異なる場合」には、「その育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの月」は、当該被保険者に関する保険料を徴収しないこととされています。

問題文のケースでは…
・1育児休業等を開始した日…10月1日
・育児休業が終了する日…12月31日
・育児休業が終了する日の翌日…1月1日
・育児休業が終了する日の翌日が属する月の前月…12月
となるため、12月まで育児休業等期間中における保険料の免除を申し出ることができます。

そのため、問題文にある「令和6年1月分」の当該被保険者に関する保険料については、免除を申し出ることはできません。

本肢は×です。

健康保険法 令和6年第10問 D

被保険者丙は令和6年1月1日に週3日午前9時から午後1時まで勤務のパートタイムスタッフとして社員数30名の会社(正社員は週5日午前9時始業、午後6時終業、途中で1時間の昼休憩あり)に入社した。その後、雇用契約の見直しが行われ、令和6年4月15日付けで週4日午前9時から午後6時まで(途中で1時間の昼休憩あり)の勤務形態に変更となったため、被保険者資格取得届の提出が行われ、令和6年4月15日から健康保険の被保険者となった。

解答の根拠

「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の更なる適用拡大に係る事務の取扱いについて」の一部改正について(令和4年3月18日保保発0318第1号)

根拠条文を確認します。

第1 健康保険・厚生年金保険の被保険者資格の取得基準等の概要
1 健康保険・厚生年金保険の被保険者資格の取得基準
(1) 4分の3基準
健康保険・厚生年金保険の被保険者資格の取得基準については、健康保険法(大正11年法律第70号)第3条第1項及び厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)第12条の規定により、1週間の所定労働時間及び1月間の所定労働日数が、同一の事業所に使用される通常の労働者の1週間の所定労働時間及び1月間の所定労働日数の4分の3以上(以下「4分の3基準」という。)である者を、健康保険・厚生年金保険の被保険者として取り扱う。

「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の更なる適用拡大に係る事務の取扱いについて」の一部改正について(令和4年3月18日保保発0318第1号)

本肢は、「健康保険・厚生年金保険の被保険者資格の取得基準」に関する問題です。

問題文のケースを整理してみます。

・正社員の条件:週5日勤務×1日の労働時間8時間 = 週40時間
・丙の条件:週4日勤務×1日の労働時間8時間 = 週32時間
⇒よって正社員の4分の3(30時間)以上となっている

そのため、被保険者丙は、勤務形態が変更となった令和6年4月15日から、健康保険の被保険者となります。

本肢は○となり本問の正解となります。

健康保険法 令和6年第10問 E

健康保険法に定める特定適用事業所以外の適用事業所の事業主は、労働組合がない場合であっても、当該事業主の1又は2以上の適用事業所に使用される2分の1以上同意対象者の過半数を代表する者の同意又は2分の1以上同意対象者の2分の1以上の同意を得ることによって、保険者等に当該事業主の1又は2以上の適用事業所に使用される特定4分の3未満短時間労働者について一般の被保険者とは異なる短時間被保険者の資格取得の申出をすることができる。

解答の根拠

健康保険法で「短時間被保険者」という資格区分はありません。

本肢は×です。

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