健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
健康保険法 令和6年第8問 A
保険料及びその他健康保険法の規定による徴収金を滞納する者に対して督促をしたときは、保険者は徴収金額に督促状の到達の翌日から徴収金完納又は財産差押えの日の前日までの期間の日数に応じて、年14.6%(当該督促が保険料に係るものであるときは、当該納期限の翌日から3か月を経過する日までの期間については、年7.3%)の割合を乗じて計算した延滞金を徴収する。
法第181条第1項
根拠条文を確認します。
(延滞金)
第百八十一条 前条第一項の規定によって督促をしたときは、保険者等は、徴収金額に、納期限の翌日から徴収金完納又は財産差押えの日の前日までの期間の日数に応じ、年十四・六パーセント(当該督促が保険料に係るものであるときは、当該納期限の翌日から三月を経過する日までの期間については、年七・三パーセント)の割合を乗じて計算した延滞金を徴収する。(以下略)健康保険法
本肢は、「延滞金」に関する問題です。
単純な相違問題です。
延滞金の起算日について
・問題文…保険者は徴収金額に督促状の到達の翌日
・正しくは…納期限の翌日から
本肢は×です。
健康保険法 令和6年第8問 B
被保険者が、妊娠6か月の身体をもって業務中に転倒強打して早産したときは、健康保険法に規定される保険事故として、出産育児一時金が支給される。
分娩費等の支給に関する件(昭和24年3月26日保文発523号)
根拠通達を確認します。
二月十六日付二四保庶第二七三号をもつて標記の件に関し伺出になつたが、御来示の分娩の事故が、業務上の事由に因る疾病と認められて労働基準法及び労働者災害補償保険法による療養補償及び休業補償の支給如何にかかわらず、健康保険法に規定される保険事故として、分娩に関する保険給付をなすべきものであるから了知されたい。
分娩費等の支給に関する件(昭和24年3月26日保文発523号)
本肢は、「分娩費(出産育児一時金)の支給」に関する問題です。
妊婦が業務中の事故が原因で早産となってしまった場合、労災の給付と健康保険の給付の関係はどうなるのでしょうか。
この場合は、上記根拠通達にあるとおり、「健康保険法に規定される保険事故として、分娩に関する保険給付をなすべきもの」として対応します。
本肢は○となり、本問の正解となります。
健康保険法 令和6年第8問 C
厚生労働大臣は、国民保健の向上に資するため、匿名診療等関連情報の利用又は提供に係る規定により匿名診療等関連情報を大学その他の研究機関に提供しようとする場合には、あらかじめ、社会保障審議会の議を経て、承認を得なければならない。
法第150条の2第3項
根拠条文を確認します。
(国民保健の向上のための匿名診療等関連情報の利用又は提供)
第百五十条の二
3 厚生労働大臣は、第一項の規定により匿名診療等関連情報を提供しようとする場合には、あらかじめ、社会保障審議会の意見を聴かなければならない。健康保険法
本肢は、「国民保健の向上のための匿名診療等関連情報の利用又は提供」に関する問題です。
単純な相違問題です。
厚生労働大臣が匿名診療等関連情報を提供しようとする場合は、
・問題文…あらかじめ、社会保障審議会の議を経て、承認を得なければならない
・正しくは…社会保障審議会の意見を聴かなければならない
本肢は×です。
健康保険法 令和6年第8問 D
全国健康保険協会(以下「協会」という。)の役員に対する報酬及び退職手当は、その役員の業績が考慮されるものでなければならない。協会は、その役員に対する報酬及び退職手当の支給の基準を定め、これを厚生労働大臣に届け出て、その承認を得た後、それを公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。
法第7条の35
根拠条文を確認します。
(役員の報酬等)
第七条の三十五 協会の役員に対する報酬及び退職手当は、その役員の業績が考慮されるものでなければならない。
2 協会は、その役員に対する報酬及び退職手当の支給の基準を定め、これを厚生労働大臣に届け出るとともに、公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。健康保険法
本肢は、「役員の報酬」に関する問題です。
協会は、役員に対する報酬及び退職手当の支給の基準を定め、これを厚生労働大臣に届け出たあとに、公表しなければなりませんが、その際「厚生労働大臣の承認」は不要です。
本肢は×です。
健康保険法 令和6年第8問 E
義手義足は、療養の過程において、その傷病の治療のため必要と認められる場合に療養費として支給されているが、症状固定後に装着した義肢の単なる修理に要する費用も療養費として支給することは認められる。
被保険者資格取得前に装着した義足等の修理に関する保険給付について(昭和26年5月6日保文発1443号)
根拠条文を確認します。
義手義足は、療養の過程において、その傷病の治療のため必要と認められる場合に療養費として支給する取扱がなされているのであるが、御例示のように、症状固定後に装着した義肢の単なる修理に要する費用を療養費として支給することは認められない。
被保険者資格取得前に装着した義足等の修理に関する保険給付について(昭和26年5月6日保文発1443号)
本肢は、「療養費」に関する問題です。
義手義足に関して、原因となった傷病の治療のため必要と認められる場合には、原則として療養費の対象となります。
しかし、「症状固定後に装着した義肢の単なる修理に要する費用を療養費として支給することは認められない。」とされています。
症状が固定したというのは、治癒している場合はもちろんのこと、治癒していなくとも病状がそれ以上変わらない状態となった場合も含み、既に「治療の過程にある」とは言えなくなるからです。
本肢は×です。