社会保険労務士試験【健康保険法】<令和6年第7問>

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健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

健康保険法 令和6年第7問 A

健康保険組合は、規約で定めるところにより、事業主の負担すべき一般保険料額又は介護保険料額の負担の割合を増減することができる。

解答の根拠

法第162条

根拠条文を確認します。

(健康保険組合の保険料の負担割合の特例)
第百六十二条 健康保険組合は、前条第一項の規定にかかわらず、規約で定めるところにより、事業主の負担すべき一般保険料額又は介護保険料額の負担の割合を増加することができる。

健康保険法

本肢は、「健康保険組合の保険料の負担割合の特例」に関する問題です。

単純な相違問題です。

健康保険組合は、事業主の負担すべき一般保険料額又は介護保険料額の負担の割合を…
・問題文…増減することができる
・正しくは…増加することができる

本肢は×です。

健康保険法 令和6年第7問 B

健康保険組合である保険者の開設する病院若しくは診療所又は薬局は、保険医療機関としての指定を受けなくとも当該健康保険組合以外の保険者の被保険者の診療を行うことができる。

解答の根拠

健康保険法の一部を改正する法律の疑義について(昭和32年9月2日保険発123号)

根拠通達を確認します。

(問15)健康保険組合たる保険者の開設する病院若しくは診療所又は薬局は、保険医療機関としての指定を受けなければその他の被保険者の診療を行うことはできないか。

(答)保険医療機関の指定を受けなければならない。

健康保険法の一部を改正する法律の疑義について(昭和32年9月2日保険発123号)

本肢は、「保険医療機関・保険薬局」に関する問題です。

健康保険組合である保険者の開設する病院若しくは診療所又は薬局は、当該健康保険組合以外の保険者の被保険者の診療を行うためには、保険医療機関としての指定を受ける必要があります。

本肢は×です。

健康保険法 令和6年第7問 C

保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができないので、被保険者の死亡後においてその被保険者が請求権を有する傷病手当金又は療養の給付に代えて支給される療養費等は公法上の債権であるから相続権者が請求することはできない。

解答の根拠

保険給付ヲ受クル権利ノ承継者ニ於テ為ス保険給付ノ請求ニ関スル件(昭和2年2月18日保理719号)

根拠通達を確認します。

被保険者死亡後ニ於テ其被保険者カ請求権ヲ有スル傷病手当金又ハ療養ノ給付ニ代ヘテ支給セラルル療養費等(分娩費、出産手当金モ同シ)ハ公法上ノ債権ナルモ金銭債権ナルヲ以テ其ノ相続権者カ当然請求権ヲ有スルモノト被思惟候処此ノ場合ニ於ケル請求方法ニ関シテハ何等具体的規定ナキモ被保険者ヨリ請求スヘキ施行規則所定ノ各事項ノ外尚相続権者ナルコトヲ立証スルニ足ル戸籍抄本ノ類ヲ添附セシムルノ方法ニテ請求セシメ支障無之候哉之カ取扱方ニ関シ至急何分ノ御回示相煩度及伺申候也

昭和二年二月一日附二釧給第一〇一号ヲ以テ伺出相成候標記ノ件御見込ノ通取扱相成可然
追テ本件ノ場合ニ於ケル相続人トハ民法ノ規定ニ依リテ為リタル相続人ニ有之為念

(口語訳)
被保険者が亡くなった後、その被保険者が本来受け取るはずだった傷病手当金や、療養の給付の代わりに支給される療養費(分娩費や出産手当金も含む)については、これは公法上の債権ではありますが、金銭債権であるため、相続人が当然に請求する権利を持つと考えられます。しかしながら、この場合の具体的な請求方法については特に定めがありません。そこで、被保険者が請求する際に必要とされる施行規則上の各事項に加えて、相続人であることを証明する戸籍抄本などを添付することで請求させるという方法で問題ないかどうかをお伺いしたく、至急ご指示をいただきたくお願い申し上げます。

昭和2年2月1日付で釧給第101号として伺い出された件については、あなたのご見込みどおりの取り扱いで差し支えありません。
なお念のため申し添えますが、本件における「相続人」とは、民法の規定に基づいて定められた相続人を指します。

保険給付ヲ受クル権利ノ承継者ニ於テ為ス保険給付ノ請求ニ関スル件(昭和2年2月18日保理719号)

本肢は、「相続人」に関する問題です。

被保険者の死亡後に、当該被保険者が請求権を有する傷病手当金・療養の給付にかえて支給される療養費等は、公法上の債権であるとともに金銭債権であるため、相続権者が請求権を有するものとされています。

本肢は×です。

健康保険法 令和6年第7問 D

療養の給付を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、保険医療機関等のうち、自己の選定するものから、電子資格確認その他厚生労働省令で定める方法により、被保険者であることの確認を受けて療養の給付を受ける。被保険者資格の確認方法の1つに、保険医療機関等が、過去に取得した療養又は指定訪問看護を受けようとする者の被保険者の資格に係る情報を用いて、保険者に対して電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により、あらかじめ照会を行い、保険者から回答を受けて取得した直近の当該情報を確認する方法がある。

解答の根拠

法第63条第3項 / 則第53条第1項第4号

根拠条文を確認します。

(療養の給付)
第六十三条
3 第一項の給付を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる病院若しくは診療所又は薬局のうち、自己の選定するものから、電子資格確認その他厚生労働省令で定める方法(以下「電子資格確認等」という。)により、被保険者であることの確認を受け、同項の給付を受けるものとする。

(法第六十三条第三項の厚生労働省令で定める方法)
第五十三条 法第六十三条第三項の厚生労働省令で定める方法は、次の各号に掲げる方法とする。
一 個人番号カードに記録された利用者証明用電子証明書を送信する方法
二 資格確認書を提出し、又は提示する方法
三 処方せんを提出する方法(保険薬局等から療養を受けようとする場合に限る。)
四 保険医療機関等、保険薬局等又は指定訪問看護事業者が、過去に取得した療養又は指定訪問看護(法第八十八条第一項に規定する指定訪問看護をいう。以下同じ。)を受けようとする者の被保険者の資格に係る情報(保険給付に係る費用の請求に必要な情報を含む。次項において同じ。)を用いて、保険者に対し、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により、あらかじめ照会を行い、保険者から回答を受けて取得した直近の当該情報を確認する方法(当該者が当該保険医療機関等若しくは保険薬局等から療養(居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護又は居宅における薬学的管理及び指導に限る。)を受けようとする場合又は当該指定訪問看護事業者から指定訪問看護を受けようとする場合であって、当該保険医療機関等、保険薬局等又は指定訪問看護事業者から電子資格確認による確認を受けてから継続的な療養又は指定訪問看護を受けている場合に限る。)

健康保険法施行規則

本肢は、「被保険者であることの確認」に関する問題です。

医療機関に受診しにいくと、まずは「健康保険証を見せてください」となります。

これは毎回被保険者資格を確認しているわけであり、その確認方法についての問題です。

確認方法は、上記根拠条文によれば、以下の4つの方法があります。

1. 個人番号カード(いわゆるマイナンバーカード)に記録された利用者証明用電子証明書を送信する方法
2. 資格確認書を提出し、又は提示する方法
3. 処方せんを提出する方法(保険薬局等から療養を受けようとする場合に限る。)
4. 保険医療機関等、保険薬局等又は指定訪問看護事業者が、過去に取得した療養又は指定訪問看護を受けようとする者の被保険者の資格に係る情報を用いて、保険者に対し、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により、あらかじめ照会を行い、保険者から回答を受けて取得した直近の当該情報を確認する方法(所定の場合に限る。)

本肢は、上記の4のケースに該当します。

本肢は○となり、本問の正解となります。

健康保険法 令和6年第7問 E

付加給付は、保険給付の一部であり、かつ法定給付に併せて行われるべきものであるから、法の目的に適いその趣旨に沿ったものでなければならない。法定給付期間を超えるもの、健康保険法の目的を逸脱するもの、又はこの制度で定める医療の内容又は医療の給付の範囲を超えるもの若しくは、保健施設的なものは廃止しなければならないが、家族療養費の付加給付は、特定の医療機関を受診した場合に限り認めることは差し支えない。

解答の根拠

健康保険組合の事業運営について(昭和32年2月1日保発3号)

根拠条文を確認します。

三 保険給付関係について
4 附加給付について
(3) 家族療養費の附加給付は、特定の医療機関に受診した場合に限り認める等、医療機関により差の生ずるものは、受給の機会均等を害するおそれがあるので廃止すること。

健康保険組合の事業運営について(昭和32年2月1日保発3号)

本肢は、「付加給付」に関する問題です。

単純な相違問題です。

家族療養費の付加給付は…
・問題文…特定の医療機関を受診した場合に限り認めることは差し支えない。
・正しくは…受給の機会均等を害するおそれがあるので廃止すること

本肢は×です。

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