社会保険労務士試験【健康保険法】<令和6年第6問>

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健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

健康保険法 令和6年第6問 A

健康保険組合の設立、合併又は分割を伴う健康保険組合が管掌する一般保険料率の変更においては、厚生労働大臣の権限を地方厚生局長に委任することができる。

解答の根拠

則第159条第1項第8号

根拠条文を確認します。

(権限の委任)
第百五十九条 法第二百五条第一項及び令第三十二条第一項の規定により、次に掲げる厚生労働大臣の権限(協会の主たる事務所の指導及び監督に係るものを除く。)は、地方厚生局長に委任する。ただし、第一号、第二号、第五号、第五号の三、第六号の三、第九号の二から第十号まで及び第十号の三から第十号の十までの権限にあっては、厚生労働大臣が自ら権限を行うことを妨げない。
八 法第百六十条第十三項において準用する同条第八項の規定による権限(健康保険組合の設立、合併又は分割を伴う場合及び法附則第三条第一項の認可に伴う場合を除く。

健康保険法施行規則

本肢は、「権限の委任」に関する問題です。

原則として、「健康保険組合が管掌する一般保険料率の変更」は、厚生労働大臣の権限を地方厚生局長に委任することができる、とされています。

ただし、上記根拠条文のかっこ書きにあるとおり、「健康保険組合の設立、合併又は分割を伴う場合等は除く」とされていますので、権限の委譲はできません。

本肢は×です。

健康保険法 令和6年第6問 B

全国健康保険協会の定款記載事項である事務所の所在地を変更する場合、厚生労働大臣の認可を受けなければその効力を生じない。

解答の根拠

法第7条の6第3項 / 則第2条の3

根拠条文を確認します。

(定款)
第七条の六
3 協会は、前項の厚生労働省令で定める事項に係る定款の変更をしたときは、遅滞なく、これを厚生労働大臣に届け出なければならない。

健康保険法

(定款の変更)
第二条の三 法第七条の六第二項の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 事務所の所在地の変更
二 前号に掲げるもののほか、厚生労働大臣が定める事項

健康保険法施行規則

本肢は、「定款の変更」に関する問題です。

事務所の所在地の変更については…
×:厚生労働大臣の認可を受ける
○:厚生労働大臣へ届け出る

本肢は×です。

健康保険法 令和6年第6問 C

被保険者(任意継続被保険者を除く。)は、適用事業所に使用されるに至った日若しくはその使用される事業所が適用事業所となった日又は適用除外の規定に該当しなくなった日から、被保険者の資格を取得する。この使用されるに至った日とは、事業主と被保険者との間において事実上の使用関係の発生した日ではない。

解答の根拠

被保険者ノ資格得喪ニ関スル件(昭和3年7月3日保発480号)

根拠通達を確認します。

健康保険法第十七条ノ「其ノ業務ニ使用セラルルニ至リタル日」トアルハ事業主ト被保険者トノ間ニ法律、又ハ事実上ノ使用関係ノ発生シタル日…
(健康保険法第17条にある「その業務に使用されるに至った日」とは、事業主と被保険者との間に法律上または事実上の雇用関係が成立した日を指すものとします。)

被保険者ノ資格得喪ニ関スル件(昭和3年7月3日保発480号)

本肢は、「資格取得」に関する問題です。

上記根拠通達のとおり「使用されるに至った日」の解釈は「事業主と被保険者との間において事実上の使用関係の発生した日」とされています。

本肢は○です。

健康保険法 令和6年第6問 D

一時帰休に伴い、就労していたならば受けられるであろう報酬よりも低額な休業手当等が支払われることとなった場合の標準報酬月額の決定については、標準報酬月額の定時決定の対象月に一時帰休に伴う休業手当等が支払われた場合、その休業手当等をもって報酬月額を算定して標準報酬月額を決定する。ただし、標準報酬月額の決定の際、既に一時帰休の状況が解消している場合は、当該定時決定を行う年の9月以後において受けるべき報酬をもって報酬月額を算定し、標準報酬月額を決定する。

解答の根拠

一時帰休等の措置がとられた場合における健康保険及び厚生年金保険の被保険者資格及び標準報酬の取扱いについて(昭和50年3月29日保険発25号・庁保険発8号)

根拠通達を確認します。

2 標準報酬の取扱い
(1)  一時帰休の場合
ア 定時決定
標準報酬の定時決定の対象月に一時帰休に伴う休業手当等が支払われた場合においては、その休業手当等をもつて報酬月額を算定し、標準報酬を決定すること。ただし、標準報酬の決定の際、既に一時帰休の状況が解消している場合は、当該定時決定を行う年の十月以後において受けるべき報酬をもつて報酬月額を算定し、標準報酬を決定すること。

一時帰休等の措置がとられた場合における健康保険及び厚生年金保険の被保険者資格及び標準報酬の取扱いについて(昭和50年3月29日保険発25号・庁保険発8号)

本肢は、「一時帰休」に関する問題です。

一時帰休時の定時決定については、原則として「標準報酬の定時決定の対象月に一時帰休に伴う休業手当等が支払われた場合においては、その休業手当等をもって報酬月額を算定し、標準報酬を決定する」とされています。

ただし、標準報酬月額の決定の際、既に一時帰休の状況が解消している場合は、上記根拠通達にあるとおり、「当該定時決定を行う年の9月以後において受けるべき報酬をもって報酬月額を算定し、標準報酬月額を決定すること」とされています。

本肢は○となり、本問の正解となります。

健康保険法 令和6年第6問 E

保険者は、偽りその他不正の行為によって保険給付を受けた者があるときは、その者からその給付の価額の全部又は一部を徴収することができる。全部又は一部という意味は、情状によって詐欺その他の不正行為により受けた分の一部であるという趣旨である。

解答の根拠

健康保険法の一部を改正する法律の疑義について(昭和32年9月2日保険発123号)

根拠通達を確認します。

五 その他
(問4)新法第六十七条ノ二第一項中「全部又ハ一部ヲ徴収スルコトヲ得」とあるのは情状によつてはその一部だけを徴収してもよいという意味か。
(答)情状によるという趣旨ではない。字句的に保険給付という広い表現をとつた関係上、詐欺その他の不正行為により受けた分が、その一部であることが考えられるので、全部又は一部としたものであつて、詐欺その他の不正行為によつて受けた分はすべてという趣旨である。

健康保険法の一部を改正する法律の疑義について(昭和32年9月2日保険発123号)

本肢は、「不正行為」に関する問題です。

不正行為時の「全部又は一部」という文言の意味は、全部か一部の徴収を状況に応じて選択ができる…という意味ではなく、「詐欺その他の不正行為により受けた分が、その一部であることが考えられるので、全部又は一部としたものであつて、詐欺その他の不正行為によつて受けた分はすべてという趣旨である。」という意味となります。

本肢は×です。

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