社会保険労務士試験【雇用保険法】<令和6年第5問>

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雇用保険の不正受給に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組み合わせは、後記AからEまでのうちどれか。
A (アとイ)
B (アとウ)
C (イとエ)
D (ウとオ)
E (エとオ)

雇用保険法 令和6年第5問 ア

基本手当の受給資格者が自己の労働によって収入を得た場合、当該収入が基本手当の減額の対象とならない額であっても、これを届け出なければ不正の行為として取り扱われる。

解答の根拠

法第19条第3項

根拠通達を確認します。

(基本手当の減額)
第十九条
3 受給資格者は、失業の認定を受けた期間中に自己の労働によつて収入を得たときは、厚生労働省令で定めるところにより、その収入の額その他の事項を公共職業安定所長に届け出なければならない。

雇用保険法

本肢は、「基本手当の減額」に関する問題です。

原則として、上記根拠条文のとおり、「受給資格者は、失業の認定を受けた期間中に自己の労働によって収入を得たときは、厚生労働省令で定めるところにより、その収入の額その他の事項を公共職業安定所長に届け出なければならない」と規定されていますので、届け出ない場合は不正の行為となります。

しかし、問題のケースでは、「当該収入が基本手当の減額の対象とならない額」とされていますので、届け出の義務はなく不正の行為ともなりません。

本肢は×です。

雇用保険法 令和6年第5問 イ

偽りその他不正の行為により基本手当の支給を受けた者がある場合には、政府は、その者に対して、支給した基本手当の全部又は一部の返還を命ずるとともに、厚生労働大臣の定める基準により、当該偽りその他不正の行為により支給を受けた基本手当の額の3倍に相当する額の金額を納付することを命ずることができる。

解答の根拠

法第10条の4第1項

根拠条文を確認します。

(返還命令等)
第十条の四 偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた者がある場合には、政府は、その者に対して、支給した失業等給付の全部又は一部を返還することを命ずることができ、また、厚生労働大臣の定める基準により、当該偽りその他不正の行為により支給を受けた失業等給付の額の二倍に相当する額以下の金額を納付することを命ずることができる。

雇用保険法

本肢は、「返還命令」に関する問題です。

単純な相違問題です。
・問題文…3倍に相当する額の金額
・正しくは…二倍に相当する額

本肢は×です。

雇用保険法 令和6年第5問 ウ

偽りその他不正の行為により基本手当の支給を受けた者がある場合には、政府は、その者に対して過去適法に受給した基本手当の額を含めた基本手当の全部又は一部を返還することを命ずることができる。

解答の根拠

法第10条の4第1項

根拠条文は肢Bと同じです。

本肢は、「返還命令」に関する問題です。

法令上は、問題文にあるような「過去適法に受給した基本手当の額を含めた基本手当の全部又は一部を返還すること」を命ずることができるとする規定は存在しません。

本肢は×です。

雇用保険法 令和6年第5問 エ

雇用保険法施行規則第120条にいう雇用関係助成金関係規定にかかわらず、過去5年以内に偽りその他不正の行為により雇用調整助成金の支給を受けた事業主には、雇用関係助成金を支給しない。

解答の根拠

則第120条の2第1項

根拠通達を確認します。

(労働保険料滞納事業主等に対する不支給)
第百二十条の二 雇用関係助成金関係規定にかかわらず、雇用関係助成金は、労働保険料の納付の状況が著しく不適切である、又は過去五年以内に偽りその他不正の行為により、雇用調整助成金その他の法第四章の規定により支給される給付金の支給を受け、若しくは受けようとした事業主又は事業主団体に対しては、支給しないものとする。

雇用保険法施行規則

本肢は、「労働保険料滞納事業主等に対する不支給」に関する問題です。

上記根拠条文のとおり、
・労働保険料の納付の状況が著しく不適切
・過去5年以内に偽りその他不正の行為により各種給付金等を受けた・受けようとした

に該当する事業主・事業主団体に対しては支給しない、とされています。

本肢は○です。

雇用保険法 令和6年第5問 オ

 偽りその他不正の行為により基本手当の支給を受けた者にやむを得ない理由がある場合、基本手当の全部又は一部を支給することができる。

解答の根拠

法第34条第1項

根拠通達を確認します。

第三十四条 偽りその他不正の行為により求職者給付又は就職促進給付の支給を受け、又は受けようとした者には、これらの給付の支給を受け、又は受けようとした日以後、基本手当を支給しない。ただし、やむを得ない理由がある場合には、基本手当の全部又は一部を支給することができる。

雇用保険法

本肢は、「給付制限」に関する問題です。

上記根拠条文のとおり、原則として「偽りその他不正の行為により求職者給付又は就職促進給付の支給を受け、又は受けようとした者には、これらの給付の支給を受け、又は受けようとした日以後、基本手当を支給しない。」とされています。

ただし、例外があり「やむを得ない理由がある場合には、基本手当の全部又は一部を支給することができる」と規定されています。

問題文はその例外にあたりますので、基本手当の全部又は一部を支給することができます。

本肢は○です。

以上から、正しい選択肢はエとオとなり、E (エとオ)が正解となります。

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