国民年金法に関する次のアからオの記述のうち、正しいものの組合せは後記AからEまでのuちどれか。
A(アとウ)
B(アとエ)
C(イとエ)
D(イとオ)
E(ウとオ)
国民年金法 令和5年第10問 ア
20歳前傷病による障害基礎年金は、受給権者の前年の所得が、その者の所得税法に規定する同一生計配偶者及び扶養親族の有無及び数に応じて、政令で定める額を超えるときは、その年の10月から翌年の9月まで、その全部又は3分の1に相当する部分の支給が停止される。
法第36条の3第1項
根拠条文を確認します。
第三十六条の三 第三十条の四の規定による障害基礎年金は、受給権者の前年の所得が、その者の所得税法(昭和四十年法律第三十三号)に規定する同一生計配偶者及び扶養親族(以下「扶養親族等」という。)の有無及び数に応じて、政令で定める額を超えるときは、その年の十月から翌年の九月まで、政令で定めるところにより、その全部又は二分の一(第三十三条の二第一項の規定によりその額が加算された障害基礎年金にあつては、その額から同項の規定により加算する額を控除した額の二分の一)に相当する部分の支給を停止する。
国民年金法
本肢は、「障害基礎年金の支給停止」に関する問題です。
単純な相違問題です。
・問題文…その全部又は3分の1に相当する部分の支給が停止される。
・正しくは…その全部又は2分の1に相当する部分の支給が停止される。
なお、上記根拠条文のかっこ書きにあるとおり、子の加算額が加算された障害基礎年金にあっては、その額から加算する額を控除した額の2分の1、となりますので、合わせておさえておきましょう。
本肢は×です。
国民年金法 令和5年第10問 イ
障害の程度が増進したことによる障害基礎年金の額の改定請求については、障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合を除き、当該障害基礎年金の受給権を取得した日又は国民年金法第34条第1項の規定による厚生労働大臣の障害の程度の診査を受けた日から起算して1年を経過した日後でなければ行うことができない。
法第34条第3項
根拠条文を確認します。
(障害の程度が変わつた場合の年金額の改定)
第三十四条
3 前項の請求は、障害基礎年金の受給権者の障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合を除き、当該障害基礎年金の受給権を取得した日又は第一項の規定による厚生労働大臣の診査を受けた日から起算して一年を経過した日後でなければ行うことができない。国民年金法
本肢は、「障害の程度が変わつた場合の年金額の改定」に関する問題です。
障害基礎年金の受給権者は、厚生労働大臣に対し、障害の程度が増進したことによる障害基礎年金の額の改定を請求することができます。
この請求は、原則として、当該障害基礎年金の受給権を取得した日又は厚生労働大臣の診査を受けた日から起算して1年を経過した日後でなければ行うことができない、とされています。
障害の程度は基本的には、数日や数か月で急変するものではない、ということで、前回の診査からある程度の期間(1年)を空ける必要がある、ということになります。
本肢は○です。
国民年金法 令和5年第10問 ウ
65歳以上の場合、異なる支給事由による年金給付であっても併給される場合があり、例えば老齢基礎年金と遺族厚生年金は併給される。一方で、障害基礎年金の受給権者が65歳に達した後、遺族厚生年金の受給権を取得した場合は併給されることはない。
法第20条第1項 / 法附則第9条の2の4
根拠条文を確認します。
(併給の調整)
第二十条 遺族基礎年金又は寡婦年金は、その受給権者が他の年金給付(付加年金を除く。)又は厚生年金保険法による年金たる保険給付(当該年金給付と同一の支給事由に基づいて支給されるものを除く。以下この条において同じ。)を受けることができるときは、その間、その支給を停止する。老齢基礎年金の受給権者が他の年金給付(付加年金を除く。)又は同法による年金たる保険給付(遺族厚生年金を除く。)を受けることができる場合における当該老齢基礎年金及び障害基礎年金の受給権者が他の年金給付(付加年金を除く。)を受けることができる場合における当該障害基礎年金についても、同様とする。国民年金法
(併給調整の特例)
第九条の二の四 第二十条第一項の規定の適用については、当分の間、同項中「遺族基礎年金又は寡婦年金」とあるのは「年金給付(老齢基礎年金及び障害基礎年金(その受給権者が六十五歳に達しているものに限る。)並びに付加年金を除く。)」と、「老齢基礎年金の受給権者」とあるのは「老齢基礎年金の受給権者(六十五歳に達している者に限る。)」と、「障害基礎年金の受給権者」とあるのは「障害基礎年金の受給権者(六十五歳に達している者に限る。)」とする。国民年金法附則
本肢は、「併給調整の特例」に関する問題です。
65歳に達したあとは、併給できる年金のバリエーションが追加されますので、しっかりとおさえておきましょう。
①老齢基礎年金 + 遺族厚生年金
②障害基礎年金 + 老齢厚生年金
③障害基礎年金 + 遺族厚生年金
本問では、上記③のケースが併給されない、とされているので、誤りとなります。
本肢は×です。
国民年金法 令和5年第10問 エ
配偶者の有する遺族基礎年金の受給権は、生計を同じくする当該遺族基礎年金の受給権を有する子がいる場合において、当該配偶者が国民年金の第2号被保険者になったときでも、当該配偶者が有する遺族基礎年金の受給権は消滅しない。
法第40条
根拠条文を確認します。
(失権)
第四十条 遺族基礎年金の受給権は、受給権者が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、消滅する。
一 死亡したとき。
二 婚姻をしたとき。
三 養子となつたとき(直系血族又は直系姻族の養子となつたときを除く。)。国民年金法
本肢は、「遺族基礎年金の失権」に関する問題です。
遺族基礎年金の失権事由は、上記根拠条文のとおりですが、その中に本問にある「配偶者が国民年金の第2号被保険者になったとき」という条件はありません。
本肢は○です。
国民年金法 令和5年第10問 オ
老齢基礎年金を受給している者が、令和5年6月26日に死亡した場合、未支給年金を請求する者は、死亡した者に支給すべき年金でまだその者に支給されていない同年5月分と6月分の年金を未支給年金として請求することができる。なお、死亡日前の直近の年金支払日において、当該受給権者に支払うべき年金で支払われていないものはないものとする。
法第18条第3項
根拠条文を確認します。
(年金の支給期間及び支払期月)
第十八条
3 年金給付は、毎年二月、四月、六月、八月、十月及び十二月の六期に、それぞれの前月までの分を支払う。ただし、前支払期月に支払うべきであつた年金又は権利が消滅した場合若しくは年金の支給を停止した場合におけるその期の年金は、その支払期月でない月であつても、支払うものとする。国民年金法
本肢は「年金の支給期間及び支払期月・未支給年金」に関する問題です。
上記根拠条文のとおり、「年金給付は、毎年2月、4月、6月、8月、10月及び12月の6期に、それぞれの前月までの分を支払う」と規定されている。
本問には、「死亡日前の直近の年金支払日において、当該受給権者に支払うべき年金で支払われていないものはない」とありますので、死亡日前の直近の年金支払日である令和5年6月15日(木曜日)に、同年4月分と5月分が支払われていることになります。s
そのため、「死亡した者に支給すべき年金でまだその者に支給されていない年金」とは、6月分の年金のみとなります。
本肢は×です。
以上から、正しい選択肢はイとエになり、C(イとエ)が正解となります。