国民年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
国民年金法 令和5年第5問 A
保険料の一部免除の規定によりその一部の額につき納付することを要しないものとされた保険料について、保険料4分の1免除の規定が適用されている者は、免除されないその残余の4分の3の部分(額)が納付又は徴収された場合、当該納付又は徴収された期間は、保険料納付済期間となる。
法第5条第6項
根拠条文を確認します。
(用語の定義)
第五条
6 この法律において、「保険料四分の一免除期間」とは、第七条第一項第一号に規定する被保険者としての被保険者期間であつて第九十条の二第三項の規定によりその四分の一の額につき納付することを要しないものとされた保険料(納付することを要しないものとされた四分の一の額以外の四分の三の額につき納付されたものに限る。)に係るもののうち、第九十四条第四項の規定により納付されたものとみなされる保険料に係る被保険者期間を除いたものを合算した期間をいう。国民年金法
本肢は、「保険料免除」に関する問題です。
単純な相違問題です。
・問題文…保険料納付済期間となる
・正しくは…保険料4分の1免除期間となる
当然のことと言えば当然のことですが、「4分の1が免除+4分の3を納付」した期間は、100%(4分の4)納付しているわけではありませんので、保険料納付済期間とはならず、そのまま「保険料4分の1免除期間」として評価されます。
本肢は×です。
国民年金法 令和5年第5問 B
保険料の産前産後免除期間が申請免除又は納付猶予の終期と重なる場合又はその終期をまたぐ場合でも、翌周期の継続免除又は継続納付猶予対象者として取り扱う。例えば、令和3年7月から令和4年6月までの継続免除承認者が、令和4年5月から令和4年8月まで保険料の産前産後免除期間に該当した場合、令和4年9月から令和5年6月までの保険料に係る継続免除審査を行う。
平成30年12月6日年管管発1206第1号
根拠通達を確認します。
3.産前産後免除に関するその他の事務の取扱い
(2) 継続免除等の取扱い
産前産後免除期間が申請免除又は納付猶予の終期と重なる場合においても、翌周期の継続免除又は継続納付猶予対象者として取り扱うこと。また、産前産後免除期間が申請免除又は納付猶予の終期をまたぐ場合もこれと同様に取り扱うこと。例えば、平成30年7月から平成31年6月までの継続免除承認者が、平成31年5月から平成31年8月まで産前産後免除期間に該当した場合、平成31年9月から平成32年6月分の保険料に係る継続免除審査を行うこと。国民年金第1号被保険者の産前産後期間の保険料免除制度の施行に伴う事務の取扱いについて(平成30年12月6日年管管発1206第1号)
本肢は、「産前産後免除に関するその他の事務の取扱い」に関する問題です。
上記根拠通達に上げられている例を整理すると…
・平成30年7月~平成31年6月までの継続免除承認者
→平成31年5月~8月の産前産後免除期間に該当
→翌周期の継続免除審査を行うべき期間は、平成31年9月から平成32年6月まで(7月・8月は産前産後免除期間に含まれているため)
となります。
問題文は、上記の例の平成31・32年をそれぞれ令和4・5年に変更しただけです。
本肢は○となり、本問の正解となります。
国民年金法 令和5年第5問 C
第2号被保険者としての被保険者期間のうち、20歳に達した日の属する月前の期間及び60歳に達した日の属する月以後の期間は、老齢基礎年金の年金額の計算に関しては保険料納付済期間に算入され、合算対象期間に算入されない。
昭60法附則第8条第4項
根拠条文を確認します。
(国民年金の被保険者期間等の特例)
第八条
4当分の間、第二号被保険者としての国民年金の被保険者期間に係る保険料納付済期間を有する者の二十歳に達した日の属する月前の期間及び六十歳に達した日の属する月以後の期間に係る当該保険料納付済期間は、国民年金法第二十六条及び第二十七条並びに同法附則第九条第一項、第九条の二第一項及び第九条の二の二第一項の規定の適用については、同法第五条第一項の規定にかかわらず、保険料納付済期間に算入せず、同法附則第九条第一項の規定の適用については、合算対象期間に算入する。国民年金法昭60法附則
本肢は、「国民年金の被保険者期間等の特例」に関する問題です。
上記根拠条文のとおり、「第2号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間を有する者の20歳に達した日の属する月前の期間及び60歳に達した日の属する月以後の期間に係る当該保険料納付済期間は、保険料納付済期間に算入せず、合算対象期間に算入する」とされています。
本肢は×です。
国民年金法 令和5年第5問 D
4月に第1号被保険者としての保険料を納付した者が、同じ月に第2号被保険者への種別の変更があった場合には、4月は第2号被保険者であった月とみなし、第1号被保険者としての保険料の納付をもって第2号被保険者としての保険料を徴収したものとみなす。
法第94条の6
根拠条文を確認します。
(第二号被保険者及び第三号被保険者に係る特例)
第九十四条の六 第八十七条第一項及び第二項並びに第八十八条第一項の規定にかかわらず、第二号被保険者としての被保険者期間及び第三号被保険者としての被保険者期間については、政府は、保険料を徴収せず、被保険者は、保険料を納付することを要しない。
本肢は、「第二号被保険者に係る特例」に関する問題です。
前段は、同月に種別の変更があったケースであり、問題文のとおり、「変更後の種別の被保険者であった月」とみなされますので、正しい内容です。
したがって、上記根拠条文のとおり、「第2号被保険者期間は、保険料を納付することを要しない」ため、問題文のケースは、第1号被保険者として納付した保険料の還付請求をすることができます。
本肢は×です。
国民年金法 令和5年第5問 E
20歳前傷病による障害基礎年金は、受給権者が刑事施設等に収容されている場合、その該当する期間は、その支給が停止されるが、判決の確定していない未決勾留中の者についても、刑事施設等に収容されている間は、その支給が停止される。
法第36条の2第1項
根拠条文を確認します。
第三十六条の二 第三十条の四の規定による障害基礎年金は、受給権者が次の各号のいずれかに該当するとき(第二号及び第三号に該当する場合にあつては、厚生労働省令で定める場合に限る。)は、その該当する期間、その支給を停止する。
一 恩給法(大正十二年法律第四十八号。他の法律において準用する場合を含む。)に基づく年金たる給付、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)の規定による年金たる給付その他の年金たる給付であつて政令で定めるものを受けることができるとき。
二 刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されているとき。
三 少年院その他これに準ずる施設に収容されているとき。
四 日本国内に住所を有しないとき。国民年金法
本肢は「障害基礎年金の支給停止」に関する問題です。
問題文の前段にある「受給権者が刑事施設等に収容されている場合」は、上記根拠条文のとおり、20歳前傷病による障害基礎年金は支給停止されます。
一方、問題文の後段にある「判決の確定していない未決勾留中の者が刑事施設等に収容されている間」は、単に収容されているだけであり「拘禁」されているわけではありませんので、支給停止されません。
本肢は×です。