社会保険労務士試験【厚生年金保険法】<令和5年第8問>

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厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

厚生年金保険法 令和5年第8問 A

特定4分の3未満短時間労働者に対して厚生年金保険が適用されることとなる特定適用事業所とは、事業主が同一である1又は2以上の適用事業所であって、当該1又は2以上の適用事業所に使用される労働者の総数が常時100人を超える事業所のことである。

解答の根拠

平24法附則第17条第12項

根拠条文を確認します。

第十七条
12 この条において特定適用事業所とは、事業主が同一である一又は二以上の適用事業所であって、当該一又は二以上の適用事業所に使用される特定労働者(七十歳未満の者のうち、厚生年金保険法第十二条各号のいずれにも該当しないものであって、特定四分の三未満短時間労働者以外のものをいう。附則第四十六条第十二項において同じ。)の総数が常時百人を超えるものの各適用事業所をいう。

厚生年金保険法平24法附則

本肢は、「特定適用事業所」に関する問題です。

特定適用事業所とは、事業主が同一である1又は2以上の適用事業所であって、当該1又は2以上の適用事業所に使用される特定労働者の総数が常時100人(出題時)を超えるものの各適用事業所を指します。

問題文中では単に「労働者」としていますので、誤りとなります。

なお、出題時には人数要件が100人でしたが、法改正があって適用範囲が広がり、令和6年10月からは人数要件が100人→50人となっていますのでご注意ください。

本肢は×です。

厚生年金保険法 令和5年第8問 B

毎年12月31日における全被保険者の標準報酬月額を平均した額の100分の200に相当する額が標準報酬月額等級の最高等級の標準報酬月額を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行わなければならない。

解答の根拠

法第20条第2項

根拠条文を確認します。

(標準報酬月額)
第二十条
2 毎年三月三十一日における全被保険者の標準報酬月額を平均した額の百分の二百に相当する額が標準報酬月額等級の最高等級の標準報酬月額を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、その年の九月一日から、健康保険法(大正十一年法律第七十号)第四十条第一項に規定する標準報酬月額の等級区分を参酌して、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行うことができる

厚生年金保険法

本肢は、「標準報酬月額」に関する問題です。

標準報酬月額の等級区分の改定を判断する現状の確認時点は、「毎年12月31日」ではなく、「毎年3月31日」ですので誤りです。

また、等級区分の改定は、「行わなければならない」ではなく、「行うことができる」である。

最後に「その年の九月一日から」という文言も抜けてますので、その点も誤りです。

本肢は×です。

厚生年金保険法 令和5年第8問 C

政府は、令和元年8月に、国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通しを公表した。そのため、遅くとも令和7年12月末までには、新たな国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通しを作成しなければならない。

解答の根拠

法第2条の4第1項

根拠条文を確認します。

(財政の現況及び見通しの作成)
第二条の四 政府は、少なくとも五年ごとに、保険料及び国庫負担の額並びにこの法律による保険給付に要する費用の額その他の厚生年金保険事業の財政に係る収支についてその現況及び財政均衡期間における見通し(以下「財政の現況及び見通し」という。)を作成しなければならない。

厚生年金保険法

本肢は、「財政の現況及び見通しの作成」に関する問題です。

上記根拠条文のとおり、「政府は、少なくとも5年ごとに、保険料及び国庫負担の額並びにこの法律による保険給付に要する費用の額その他の厚生年金保険事業の財政に係る収支についてその現況及び財政均衡期間における見通し(以下「財政の現況及び見通し」という。)を作成しなければならない」と規定されています。

そのため、令和元年の次は5年後の令和6年となりますので、誤りです。

本肢は×です。

厚生年金保険法 令和5年第8問 D

国民年金法による年金たる給付及び厚生年金保険法による年金たる保険給付については、モデル年金の所得代替率が100分の50を上回ることとなるような給付水準を将来にわたり確保するものとされている。この所得代替率の分母の基準となる額は、当該年度の前年度の男子被保険者の平均的な標準報酬額に相当する額から当該額に係る公租公課の額を控除して得た額に相当する額である。

解答の根拠

平16法附則第2条第1項

根拠条文を確認します。

(給付水準の下限)
第二条 国民年金法による年金たる給付及び厚生年金保険法による年金たる保険給付については、第一号に掲げる額と第二号に掲げる額とを合算して得た額の第三号に掲げる額に対する比率が百分の五十を上回ることとなるような給付水準を将来にわたり確保するものとする。
一 当該年度における国民年金法による老齢基礎年金の額(当該年度において六十五歳に達し、かつ、保険料納付済期間の月数が四百八十である受給権者について計算される額とする。)を当該年度の前年度までの標準報酬平均額(厚生年金保険法第四十三条の二第一項第二号イに規定する標準報酬平均額をいう。)の推移を勘案して調整した額を十二で除して得た額に二を乗じて得た額に相当する額
二 当該年度における厚生年金保険法による老齢厚生年金の額(当該年度の前年度における男子である同法による被保険者(次号において「男子被保険者」という。)の平均的な標準報酬額(同法による標準報酬月額と標準賞与額の総額を十二で除して得た額とを合算して得た額をいう。次号において同じ。)に相当する額に当該年度の前年度に属する月の標準報酬月額又は標準賞与額に係る再評価率(同法第四十三条第一項に規定する再評価率をいい、当該年度に六十五歳に達する受給権者に適用されるものとする。)を乗じて得た額を平均標準報酬額とし、被保険者期間の月数を四百八十として同項の規定の例により計算した額とする。)を十二で除して得た額に相当する額
三 当該年度の前年度における男子被保険者の平均的な標準報酬額に相当する額から当該額に係る公租公課の額を控除して得た額に相当する額

厚生年金保険法平16法附則

本肢は、「給付水準の下限」に関する問題です。

国民年金法による年金たる給付及び厚生年金保険法による年金たる保険給付については、一定の給付水準を確保する目安・基準として、モデル年金の所得代替率が100分の50を上回ることとなるような給付水準を将来にわたり確保するものとされています。

この所得代替率の分母の基準となる額は、上記根拠条文のとおり、当該年度の前年度の男子被保険者の平均的な標準報酬額に相当する額から当該額に係る公租公課の額を控除して得た額に相当する額とされています。

本肢は○となり、本問の正解となります。

厚生年金保険法 令和5年第8問 E

厚生年金保険の任意単独被保険者となっている者は、厚生労働大臣の認可を受けて、被保険者の資格を喪失することができるが、資格喪失に際しては、事業主の同意を得る必要がある。

解答の根拠

法第11条

根拠条文を確認します。

第十一条 前条の規定による被保険者は、厚生労働大臣の認可を受けて、被保険者の資格を喪失することができる。

厚生年金保険法

本肢は「任意単独被保険者」に関する問題です。

上記根拠条文のとおり、任意単独被保険者は、厚生労働大臣の認可を受けて、被保険者の資格を喪失することができるとされており、「事業主の同意」については何も規定されていません。

本肢は×です。

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