社会保険労務士試験【厚生年金保険法】<令和5年第7問>

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厚生年金保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

厚生年金保険法 令和5年第7問 A

老齢厚生年金に係る子の加給年金額は、その対象となる子の数に応じて加算される。1人当たりの金額は、第2子までは配偶者の加給年金額と同額だが、第3子以降は、配偶者の加給年金額の3分の2の額となる。

解答の根拠

法第44条第2項

根拠条文を確認します。

(加給年金額)
第四十四条
2 前項に規定する加給年金額は、同項に規定する配偶者については二十二万四千七百円に国民年金法第二十七条に規定する改定率であつて同法第二十七条の三及び第二十七条の五の規定の適用がないものとして改定したもの(以下この章において「改定率」という。)を乗じて得た額(その額に五十円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十円以上百円未満の端数が生じたときは、これを百円に切り上げるものとする。)とし、同項に規定する子については一人につき七万四千九百円に改定率を乗じて得た額(そのうち二人までについては、それぞれ二十二万四千七百円に改定率を乗じて得た額とし、それらの額に五十円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十円以上百円未満の端数が生じたときは、これを百円に切り上げるものとする。)とする。

厚生年金保険法

本肢は、「加給年金額」に関する問題です。

加給年金の金額は、次の2パターンです。

●加給年金額
①配偶者、2人までの子…224,700円 × 改定率
②3人目以降の子…74,900円 × 改定率

問題文には、「第3子以降は、配偶者の加給年金額の3分の2の額」とありますが、上記の通り「3分の1の額」が正しいです。

本肢は×です。

厚生年金保険法 令和5年第7問 B

昭和9年4月2日以後に生まれた老齢厚生年金の受給権者については、配偶者の加給年金額に更に特別加算が行われる。特別加算額は、受給権者の生年月日によって異なり、その生年月日が遅いほど特別加算額が少なくなる。

解答の根拠

昭60法附則第60条第2項

根拠条文を確認します。

老齢厚生年金の加給年金額等の特例)
第六十条
2 次の表の上欄に掲げる者に支給する老齢厚生年金の配偶者に係る加給年金額については、厚生年金保険法第四十四条第二項(同法附則第九条の二第三項、第九条の三第二項及び第四項(同条第五項においてその例による場合を含む。)並びに第九条の四第三項及び第五項(同条第六項においてその例による場合を含む。)並びに平成六年改正法附則第十八条第三項、第十九条第三項及び第五項、第二十条第三項及び第五項、第二十条の二第三項及び第五項並びに第二十七条第十五項から第十七項までにおいて準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、同法第四十四条第二項に定める額に、それぞれ同表の下欄に掲げる額(その額に五十円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十円以上百円未満の端数が生じたときは、これを百円に切り上げるものとする。)を加算した額とする。
昭和九年四月二日から昭和十五年四月一日までの間に生まれた者
三万三千二百円に改定率(国民年金法第二十七条の三及び第二十七条の五の規定の適用がないものとして改定した改定率とする。以下この表において同じ。)を乗じて得た額
昭和十五年四月二日から昭和十六年四月一日までの間に生まれた者
六万六千三百円に改定率を乗じて得た額
昭和十六年四月二日から昭和十七年四月一日までの間に生まれた者
九万九千五百円に改定率を乗じて得た額
昭和十七年四月二日から昭和十八年四月一日までの間に生まれた者
十三万二千六百円に改定率を乗じて得た額
昭和十八年四月二日以後に生まれた者
十六万五千八百円に改定率を乗じて得た額

厚生年金保険法昭和60年附則

本肢は、「加給年金額」に関する問題です。

老齢厚生年金の配偶者にかかる加給年金額には、受給権者の生年月日に応じて、さらに配偶者特別加算額が加算されます。

その配偶者特別加算額の金額は、上記根拠条文のとおり、「生年月日が遅いほど多くなる」となります。

本肢は×です。

厚生年金保険法 令和5年第7問 C

甲は、厚生年金保険に加入しているときに生じた障害により、障害等級2級の障害基礎年金と障害厚生年金を受給している。現在は、自営業を営み、国民年金に加入しているが、仕事中の事故によって、新たに障害等級2級に該当する程度の障害の状態に至ったため、甲に対して更に障害基礎年金を支給すべき事由が生じた。この事例において、前後の障害を併合した障害の程度が障害等級1級と認定される場合、新たに障害等級1級の障害基礎年金の受給権が発生するとともに、障害厚生年金の額も改定される。

解答の根拠

法第52条の2第2項

根拠条文を確認します。

第五十二条の二
2 障害厚生年金の受給権者が、国民年金法による障害基礎年金の受給権を有する場合において、同法第三十四条第四項及び第三十六条第二項ただし書の規定により併合された障害の程度が当該障害基礎年金の支給事由となつた障害の程度より増進したときは、これらの規定により併合された障害の程度に応じて、当該障害厚生年金の額を改定する。

厚生年金保険法

本肢は、「障害厚生年金」に関する問題です。

問題文のケースのように、障害基礎年金が併合により障害等級1級の額に改定された場合には、それにつられて障害厚生年金についても障害等級1級の額に改定されることとなります。

本肢は○となり、本問の正解となります。

厚生年金保険法 令和5年第7問 D

乙は、視覚障害で障害等級3級の障害厚生年金(その権利を取得した当時から引き続き障害等級1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にあるものとする。)を受給している。現在も、厚生年金保険の適用事業所で働いているが、新たな病気により、障害等級3級に該当する程度の聴覚障害が生じた。後発の障害についても、障害厚生年金に係る支給要件が満たされている場合、厚生年金保険法第48条の規定により、前後の障害を併合した障害等級2級の障害厚生年金が乙に支給され、従前の障害厚生年金の受給権は消滅する。

解答の根拠

法第48条

根拠条文を確認します。

(障害厚生年金の併給の調整)
第四十八条 障害厚生年金(その権利を取得した当時から引き続き障害等級の一級又は二級に該当しない程度の障害の状態にある受給権者に係るものを除く。以下この条、次条、第五十二条第四項、第五十二条の二及び第五十四条第二項ただし書において同じ。)の受給権者に対して更に障害厚生年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金を支給する。

厚生年金保険法

本肢は、「併合認定」に関する問題です。

原則として、前後の障害等級が1級又は2級の場合には、併合認定され、従前の障害厚生年金は消滅することとなります。

ただし、例外として、障害等級が3級の場合(その権利を取得した当時から引き続き障害等級の一級又は二級に該当しない程度の障害の状態にある受給権者に係るものを除く)には併合認定されません、

問題文のケースは、障害等級3級+障害等級3級となりますので、併合認定とはなりません。

したがって従前の障害厚生年金の受給権も消滅しません。

本肢は×です。

厚生年金保険法 令和5年第7問 E

障害手当金の額は、厚生年金保険法第50条第1項の規定の例により計算した額の100分の200に相当する額である。ただし、その額が、障害基礎年金2級の額に2を乗じて得た額に満たないときは、当該額が障害手当金の額となる。

解答の根拠

法第57条

根拠条文を確認します。

(障害手当金の額)
第五十七条 障害手当金の額は、第五十条第一項の規定の例により計算した額の百分の二百に相当する額とする。ただし、その額が同条第三項に定める額に二を乗じて得た額に満たないときは、当該額とする。

厚生年金保険法

本肢は「障害手当金」に関する問題です。

障害手当金の金額は、上記根拠条文のとおり、原則として、「法50条1項(障害厚生年金の額)の規定の例により計算した額 × 100分の200」となります。

ただし、上記により算出した金額が、「3級の障害厚生年金の最低保障額 × 2」を下回る場合は、その金額となります。

問題文では「2級」となっており、誤りとなります。

本肢は×です。

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