社会保険労務士試験【厚生年金保険法】<令和5年第4問>

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厚生年金保険法に関する次のアからオの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

A 一つ  B 二つ  C 三つ  D 四つ  E 五つ

厚生年金保険法 令和5年第4問 ア

被保険者期間を計算する場合には、月によるものとし、被保険者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までをこれに算入する。

解答の根拠

法第19条第1項

根拠条文を確認します。

第十九条 被保険者期間を計算する場合には、月によるものとし、被保険者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までをこれに算入する

厚生年金保険法

本肢は、「被保険者期間」に関する問題です。

本肢は基本中の基本なので、絶対に落とさないようにしましょう!

本肢は○です。

厚生年金保険法 令和5年第4問 イ

厚生年金保険の適用事業所で使用される70歳以上の者であっても、厚生年金保険法第12条各号に規定する適用除外に該当する者は、在職老齢年金の仕組みによる老齢厚生年金の支給停止の対象とはならない。

解答の根拠

則第10条の4

根拠条文を確認します。

(七十歳以上の使用される者の要件)
第十条の四 法第二十七条に規定する厚生労働省令で定める要件は、同条に規定する適用事業所に使用される者であつて、かつ、法第十二条各号に定める者に該当するものでないこととする。

厚生年金保険法施行規則

本肢は、「支給停止」に関する問題です。

まず、問題文にある「70歳以上の使用される者」は、原則として「在職老齢年金の仕組みによる老齢厚生年金の支給停止」の対象となります。

しかし、法第12条に規定のある「適用除外者」は、そもそも被保険者とならないことから、「70歳以上の使用される者」であったとしても「在職老齢年金の仕組みによる老齢厚生年金の支給停止」の対象とはなりません。

本肢は○です。

厚生年金保険法 令和5年第4問 ウ

被保険者が同時に2以上の事業所に使用される場合における各事業主の負担すべき標準賞与額に係る保険料の額は、各事業所についてその月に各事業主が支払った賞与額をその月に当該被保険者が受けた賞与額で除して得た数を当該被保険者の保険料の額に乗じて得た額とされている。

解答の根拠

法第82条第3項 / 令第4条第2項

根拠条文を確認します。

(保険料の負担及び納付義務)
第八十二条 
3 被保険者が同時に二以上の事業所又は船舶に使用される場合における各事業主の負担すべき保険料の額及び保険料の納付義務については、政令の定めるところによる。

厚生年金保険法

(二以上の事業所又は船舶に使用される場合の保険料)
第四条
2 法第八十二条第三項の規定により被保険者が同時に二以上の事業所に使用される場合における各事業主の負担すべき標準賞与額に係る保険料の額は、各事業所についてその月に各事業主が支払つた賞与額をその月に当該被保険者が受けた賞与額で除して得た数を当該被保険者の保険料の半額に乗じて得た額とする。

本肢は、「二以上の事業所又は船舶に使用される場合の保険料」に関する問題です。

昨今は副業もどんどんと広まってきているので、2か所以上の事業所等から賞与を受ける人も増えてきていると思います。

その場合、各事業主は支払うべき標準賞与額は、どのように決定するのでしょうか。

計算式は上記根拠条文のとおりとなり、わかりやすくすると…
(被保険者の保険料の半額)×(各事業所賞与額 ÷ 被保険者の賞与額)

いわゆる案分比例…というものですね。

問題文には「当該被保険者の保険料の額に乗じて得た額」とありますが、「事業主負担分」と考えると「当該被保険者の保険料の額に乗じて得た額」とする必要があります。

本肢は×です。

厚生年金保険法 令和5年第4問 エ

中高齢寡婦加算が加算された遺族厚生年金の受給権者である妻が、被保険者又は被保険者であった者の死亡について遺族基礎年金の支給を受けることができるときは、その間、中高齢寡婦加算は支給が停止される。

解答の根拠

法第65条

根拠条文を確認します。

第六十五条 第六十二条第一項の規定によりその額が加算された遺族厚生年金は、その受給権者である妻が当該被保険者又は被保険者であつた者の死亡について国民年金法による遺族基礎年金の支給を受けることができるときは、その間、同項の規定により加算する額に相当する部分の支給を停止する。

厚生年金保険法

本肢は、「支給停止」に関する問題です。

中高齢寡婦加算の支給停止条件として、上記根拠条文のとおり、「その受給権者である妻が当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について国民年金法による遺族基礎年金の支給を受けることができるとき」というものがあります。

本肢は○です。

厚生年金保険法 令和5年第4問 オ

経過的寡婦加算が加算された遺族厚生年金の受給権者である妻が、障害基礎年金の受給権を有し、当該障害基礎年金の支給がされているときは、その間、経過的寡婦加算は支給が停止される。

解答の根拠

昭60法附則第73条第1項

根拠条文を確認します。

(遺族厚生年金の加算の特例)
第七十三条 厚生年金保険法第六十二条第一項に規定する遺族厚生年金の受給権者であつて附則別表第九の上欄に掲げるもの(死亡した厚生年金保険の被保険者又は被保険者であつた者の妻であつた者に限る。)がその権利を取得した当時六十五歳以上であつたとき、又は同項の規定によりその額が加算された遺族厚生年金の受給権者であつて同表の上欄に掲げるものが六十五歳に達したときは、当該遺族厚生年金の額は、厚生年金保険法第六十条第一項の規定にかかわらず、同項第一号に定める額を、当該額に第一号に掲げる額から第二号に掲げる額を控除して得た額を加算した額として同項の規定を適用した額とする。ただし、当該遺族厚生年金の受給権者が、国民年金法による障害基礎年金又は旧国民年金法による障害年金の受給権を有するとき(その支給を停止されているときを除く。)は、その間、当該加算する額に相当する部分の支給を停止する。
一 厚生年金保険法第六十二条第一項に規定する加算額
二 国民年金法第二十七条本文に規定する老齢基礎年金の額にそれぞれ附則別表第九の下欄に掲げる数を乗じて得た額

厚生年金保険法昭60法附則

本肢は「遺族厚生年金の加算の特例」に関する問題です。

肢エは「中高齢寡婦加算の支給停止」でしたが、本肢は「経過的寡婦加算の支給停止」に関する問題です。

経過的寡婦加算も中高齢寡婦加算とどうように、「その受給権者である妻が、国民年金法による障害基礎年金又は旧国民年金法による障害年金の受給権を有するとき(その支給を停止されているときを除く。)は、その間、当該加算する額に相当する部分の支給を停止する」とされています。

肢エ(中高齢寡婦加算)も肢オ(経過的寡婦加算)も趣旨は同じで、遺族厚生年金の補助的な位置づけの両加算は、その他の年金(遺族基礎年金や障害基礎年金)が支給されているのであれば、そのような補助は不要でしょう…というものになります。

本肢は○です。

以上から、正しい選択肢は、ア・イ・エ・オの4つとなりますので、「D:四つ」が正解です。

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