社会保険労務士試験【健康保険法】<令和5年第4問>

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健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

健康保険法 令和5年第4問 A

厚生労働大臣は、入院時生活療養費に係る生活療養の費用の額の算定に関する基準を定めようとするときは、社会保障審議会に諮問するものとする。

解答の根拠

法第85条の2第3項

根拠条文を確認します。

(入院時生活療養費)
第八十五条の二
3 厚生労働大臣は、前項の基準を定めようとするときは、中央社会保険医療協議会に諮問するものとする。
健康保険法

本肢は、「入院時生活療養費」に関する問題です。

単純な語句相違問題です。

厚生労働大臣は、入院時生活療養費に係る生活療養の費用の額の算定に関する基準を定めようとするときは…
・問題文…社会保障審議会
・正しくは…中央社会保険医療協議会
に諮問する、としています、

本肢は×です。

健康保険法 令和5年第4問 B

傷病手当金の継続給付を受けている者(傷病手当金を受けることができる日雇特例被保険者又は日雇特例被保険者であった者を含む。)に、老齢基礎年金や老齢厚生年金等が支給されるようになったときは、傷病手当金は打ち切られる。

解答の根拠

法第108条第5項 / 令第37条

根拠条文を確認します。

(傷病手当金又は出産手当金と報酬等との調整)
第百八条
5 傷病手当金の支給を受けるべき者(第百四条の規定により受けるべき者であって、政令で定める要件に該当するものに限る。)が、国民年金法又は厚生年金保険法による老齢を支給事由とする年金たる給付その他の老齢又は退職を支給事由とする年金である給付であって政令で定めるもの(以下この項及び次項において「老齢退職年金給付」という。)の支給を受けることができるときは、傷病手当金は、支給しない。ただし、その受けることができる老齢退職年金給付の額(当該老齢退職年金給付が二以上あるときは、当該二以上の老齢退職年金給付の額の合算額)につき厚生労働省令で定めるところにより算定した額が、傷病手当金の額より少ないときは、その差額を支給する。

健康保険法

(傷病手当金の併給調整の対象となる者の要件)
第三十七条 法第百八条第五項の政令で定める要件は、法第百三十五条第一項の規定により傷病手当金の支給を受けることができる日雇特例被保険者(日雇特例被保険者であった者を含む。第四十一条の二、第四十三条の三及び第四十四条第二項から第七項までを除き、以下この章において同じ。)でないこととする

健康保険法施行令

本肢は、「傷病手当金の調整」に関する問題です。

まず、問題文の前半部分にある「傷病手当金の併給調整の対象となる者の要件」ですが、上記根拠条文(施行令第37条)のとおり、「日雇特例被保険者でないこととする」とありますので、かっこ書きで「含む」としている問題文は誤りとなります。

さらに、問題文では「傷病手当金+老齢基礎年金や老齢厚生年金等→傷病手当金は打ち切り」とあります。

しかし、上記根拠条文(法第108条)のとおり、「傷病手当金>老齢基礎年金や老齢厚生年金等」つまり、老齢基礎年金や老齢厚生年金等の方が傷病手当金よりも少ない場合は、その差額が支給される、とありますので、こちらも誤りとなります。

本肢は×です。

健康保険法 令和5年第4問 C

健康保険組合は、毎事業年度末において、当該事業年度及びその直前の2事業年度内において行った保険給付に要した費用の額(被保険者又はその被扶養者が健康保険法第63条第3項第3号に掲げる健康保険組合が開設した病院若しくは診療所又は薬局から受けた療養に係る保険給付に要した費用の額を除く。)の1事業年度当たりの平均額の12分の3(当分の間12分の2)に相当する額と当該事業年度及びその直前の2事業年度内において行った前期高齢者納付金等、後期高齢者支援金等及び日雇拠出金、介護納付金の納付に要した費用の額(前期高齢者交付金がある場合には、これを控除した額)の1事業年度当たりの平均額の12分の2に相当する額とを合算した額に達するまでは、当該事業年度の剰余金の額を準備金として積み立てなければならない。

解答の根拠

令第46条第2項 / 令附則第5条

根拠条文を確認します。

(準備金の積立て)
第四十六条
2 健康保険組合は、毎事業年度末において、当該事業年度及びその直前の二事業年度内において行った保険給付に要した費用の額(被保険者又はその被扶養者が法第六十三条第三項第三号に掲げる病院若しくは診療所又は薬局から受けた療養に係る保険給付に要した費用の額及び出産育児交付金の額を除く。)の一事業年度当たりの平均額の十二分の三に相当する額当該事業年度及びその直前の二事業年度内において行った前期高齢者納付金等、後期高齢者支援金等及び日雇拠出金、介護納付金並びに流行初期医療確保拠出金等の納付に要した費用の額(前期高齢者交付金がある場合には、これを控除した額)の一事業年度当たりの平均額の十二分の一に相当する額とを合算した額に達するまでは、当該事業年度の剰余金の額を準備金として積み立てなければならない。

健康保険法施行令

(指定健康保険組合の指定の要件及び健康保険組合の準備金の積立てに関する特例)
第五条 第二十九条及び第四十六条第二項の適用については、当分の間、これらの規定中「十二分の三」とあるのは、「十二分の二」とする。

健康保険法施行令附則

本肢は、「準備金の積立て」に関する問題です。

「健康保険組合にかかる準備金の積立て」の補助率ですが、
①保険給付…12分の3(当分の間12分の2)
②納付金等…12分の1

となります。

問題文では、②納付金等の補助率が「12分の2」となっており、誤りとなります。

なお、本肢の内容は、令和6年に法改正が入っています(選択肢の正誤に影響はありません)。
・「保険給付に要した費用の額」に、「出産育児交付金」が追加
・「当該事業年度及びその直前の2事業年度内において行った費用」に、「流行初期医療確保拠出金」が追加

本肢は×です。

健康保険法 令和5年第4問 D

保険料の納付義務者が、国税、地方税その他の公課の滞納により、滞納処分を受けるときは、保険者は、保険料の納期が到来したときに初めて強制的に保険料を徴収することができる。

解答の根拠

法第172条第1項第1号イ

根拠条文を確認します。

(保険料の繰上徴収)
第百七十二条 保険料は、次に掲げる場合においては、納期前であっても、すべて徴収することができる。
一 納付義務者が、次のいずれかに該当する場合
イ 国税、地方税その他の公課の滞納によって、滞納処分を受けるとき。
ロ 強制執行を受けるとき。
ハ 破産手続開始の決定を受けたとき。
ニ 企業担保権の実行手続の開始があったとき。
ホ 競売の開始があったとき。
二 法人である納付義務者が、解散をした場合
三 被保険者の使用される事業所が、廃止された場合

健康保険法

本肢は、「保険料の繰上徴収」に関する問題です。

問題文では「保険料の納期が到来したときに初めて強制的に保険料を徴収することができる」とあります。

しかし、正しくは、上記根拠条文のとおり、滞納処分を受けた際には「納期前であっても、すべて徴収することができる」とされていますので、誤りとなります。

本肢は×です。

健康保険法 令和5年第4問 E

令和5年4月1日以降、被保険者の被扶養者が産科医療補償制度に加入する医療機関等で医学的管理の下、妊娠週数22週以降に双子を出産した場合、家族出産育児一時金として、被保険者に対し100万円が支給される。

解答の根拠

令第36条第1項

根拠条文を確認します。

(出産育児一時金の金額)
第三十六条 法第百一条の政令で定める金額は、四十八万八千円とする。ただし、病院、診療所、助産所その他の者であって、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当するものによる医学的管理の下における出産であると保険者が認めるときは、四十八万八千円に、第一号に規定する保険契約に関し被保険者が追加的に必要となる費用の額を基準として、三万円を超えない範囲内で保険者が定める金額を加算した金額とする。

健康保険法施行令

本肢は「出産育児一時金の金額」に関する問題です。

まず、出産育児一時金・家族出産育児一時金の金額は、原則48万8千円です。

しかし、所定の要件に該当した場合については、3万円を超えない範囲内で保険者が定める額を加算した額が支給されとされています。

その詳細は、問題文にある「産科医療補償制度に加入する医療機関等の医学的管理下における在胎週数22週に達した日以後の出産(死産を含む。)であると保険者が認めたとき」であり、金額は50万円となります。

さらに、双子、三つ子なら、出産育児一時金・家族出産育児一時金の金額は2倍、3倍となりますので、問題文のケースであれば、50万円×2人=100万円、となります。

本肢は○となり、本問の正解となります。

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