社会保険労務士試験【健康保険法】<令和5年第3問>

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健康保険法に関する次のアからオの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
A 一つ  B 二つ  C 三つ  D 四つ  E 五つ

健康保険法 令和5年第3問 ア

産前産後休業終了時改定の規定によって改定された標準報酬月額は、産前産後休業終了日の翌日から起算して2か月を経過した日の属する月の翌月からその年の8月までの各月の標準報酬月額とされる。当該翌月が7月から12月までのいずれかの月である場合は、翌年8月までの各月の標準報酬月額とする。なお、当該期間中に、随時改定、育児休業等を終了した際の標準報酬月額の改定又は産前産後休業を終了した際の標準報酬月額の改定を受けないものとする。

解答の根拠

法第43条の3第2項

根拠条文を確認します。

(産前産後休業を終了した際の改定)
第四十三条の三
2 前項の規定によって改定された標準報酬月額は、産前産後休業終了日の翌日から起算して二月を経過した日の属する月の翌月からその年の八月(当該翌月が七月から十二月までのいずれかの月である場合は、翌年の八月)までの各月の標準報酬月額とする。

健康保険法

本肢は、「産前産後休業を終了した際の改定」に関する問題です。

本肢は上記根拠条文のとおりの問題です。

産前産後休業を終了した際の改定は…
・原則…産前産後休業終了時の翌月から起算して2か月を経過した日の属する月の翌月~その年の8月
・例外…当該翌月が7~12月の場合は、翌年の8月

までの標準報酬月額とされます。

本肢は○です。

健康保険法 令和5年第3問 イ

保険者は、保険医療機関又は保険薬局から療養の給付に関する費用の請求があったときは、その費用の請求に関する審査及び支払に関する事務を社会保険診療報酬支払基金又は健康保険組合連合会に委託することができる。

解答の根拠

法第76条第4項・第5項

根拠条文を確認します。

(療養の給付に関する費用)
第七十六条
4 保険者は、保険医療機関又は保険薬局から療養の給付に関する費用の請求があったときは、第七十条第一項及び第七十二条第一項の厚生労働省令並びに前二項の定めに照らして審査の上、支払うものとする。
5 保険者は、前項の規定による審査及び支払に関する事務を社会保険診療報酬支払基金法(昭和二十三年法律第百二十九号)による社会保険診療報酬支払基金(以下「基金」という。)又は国民健康保険法第四十五条第五項に規定する国民健康保険団体連合会(以下「国保連合会」という。)に委託することができる。

健康保険法

本肢は、「療養の給付に関する費用」に関する問題です。

療養の給付に関する審査・支払い事務は…
・問題文…社会保険診療報酬支払基金又は健康保険組合連合会
・正しくは…社会保険診療報酬支払基金又は国民健康保険団体連合会
に委託できる、とされています。

見落としてしまいそうな些細な入れ替えなので、難しいですね…。

本肢は×です。

健康保険法 令和5年第3問 ウ

任意継続被保険者は、将来の一定期間の保険料を前納することができるが、前納された保険料については、前納に係る期間の各月の初日が到来したときに、それぞれその月の保険料が納付されたものとみなす。

解答の根拠

法第165条第1項・第3項

根拠条文を確認します。

(任意継続被保険者の保険料の前納)
第百六十五条 任意継続被保険者は、将来の一定期間の保険料を前納することができる。
2(略)
3 第一項の規定により前納された保険料については、前納に係る期間の各月の初日が到来したときに、それぞれその月の保険料が納付されたものとみなす。

健康保険法

本肢は、「任意継続被保険者の保険料の前納」に関する問題です。

本肢は上記根拠条文のとおりです。

任意継続被保険者の保険料は前納(いわゆる前払い)ができますが、毎月1日が来た時に納付、毎月1日が来た時に納付、毎月1日が来た時に納付…と、毎月処理される、ということになります。

本肢は○です。

健康保険法 令和5年第3問 エ

71歳で市町村民税非課税者である被保険者甲が、同一の月にA病院で受けた外来療養による一部負担金の額が8,000円を超える場合、その超える額が高額療養費として支給される。

解答の根拠

令第42条第5項

根拠条文を確認します。

(高額療養費算定基準額)
第四十二条
5 第四十一条第五項の高額療養費算定基準額は、次の各号に掲げる者の区分に応じ、当該各号に定める額(同条第四項各号に掲げる療養(以下この条及び第四十三条の二第一項第一号において「七十五歳到達時特例対象療養」という。)に係るものにあっては、当該各号に定める額に二分の一を乗じて得た額)とする。
一第三項第一号に掲げる者一万八千円
二第三項第五号又は第六号に掲げる者八千円

健康保険法施行令

本肢は、「高額療養費算定基準額」に関する問題です。

高額療養費は、被保険者が支払う療養に関する費用が高額となってしまった場合にサポートする給付です。

「高額となってしまった場合」は、被保険者の状況により区分分けされており、問題文にある「71歳で市町村民税非課税者である被保険者」の場合は、上記根拠条文のとおり「8,000円」となります。

本肢は○です。

健康保険法 令和5年第3問 オ

療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、家族療養費若しくは家族訪問看護療養費の支給を受けた被保険者又は被保険者であった者(日雇特例被保険者又は日雇特例被保険者であった者を含む。)が、厚生労働大臣に報告を命ぜられ、正当な理由がなくてこれに従わず、又は行政庁職員の質問に対して、正当な理由がなくて答弁せず、若しくは虚偽の答弁をしたときは、30万円以下の罰金に処せられる。

解答の根拠

法第210条

根拠条文を確認します。

第二百十条 被保険者又は被保険者であった者が、第六十条第二項(第百四十九条において準用する場合を含む。)の規定により、報告を命ぜられ、正当な理由がなくてこれに従わず、又は同項の規定による当該職員の質問に対して、正当な理由がなくて答弁せず、若しくは虚偽の答弁をしたときは、三十万円以下の罰金に処する。  

健康保険法

本肢は「罰則」に関する問題です。

上記根拠条文のとおり、「報告の指示に従わない/答弁しない/虚偽の答弁をする」行為に対しては「30万円以下の罰金」となります。

本肢は○です。

以上から、正しい選択肢はア・ウ・エ・オの4つとなり、Dが正解となります。

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