社会保険労務士法令に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和5年第5問 A
社会保険労務士は、社会保険労務士法第2条の2に規定する出頭及び陳述に関する事務を受任しようとする場合に、依頼をしようとする者が請求しなかったときには、この者に対し、あらかじめ報酬の基準を明示する義務はない。
則第12条の10
根拠条文を確認します。
(報酬の基準を明示する義務)
第十二条の十 社会保険労務士又は社会保険労務士法人は、それぞれ次の各号に掲げる事務を受任しようとする場合には、あらかじめ、依頼をしようとする者に対し、報酬額の算定の方法その他の報酬の基準を示さなければならない。社会保険労務士法施行規則
本肢は、「社会保険労務士法」に関する問題です。
明朗会計は商売の基本…というわけではないですが、お客様(依頼者)に対して誠実に対応するためには、お客様の請求の有無にかかわらず、報酬基準はオープンにしておくことが必要です。
曖昧な報酬基準は、トラブルのもとですので…。
本肢は×です。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和5年第5問 B
他人の求めに応じ報酬を得て、社会保険労務士法第2条に規定する事務を業として行う社会保険労務士は、その業務に関する帳簿を備え、これに事件の名称(必要な場合においては事件の概要)、依頼を受けた年月日、受けた報酬の額、依頼者の住所及び氏名又は名称を記載し、当該帳簿をその関係書類とともに、帳簿閉鎖の時から1年間保存しなければならない。
法第19条 / 則第15条
根拠条文を確認します。
(帳簿の備付け及び保存)
第十九条 開業社会保険労務士は、その業務に関する帳簿を備え、これに事件の名称、依頼を受けた年月日、受けた報酬の額、依頼者の住所及び氏名又は名称その他厚生労働大臣が定める事項を記載しなければならない。
2開業社会保険労務士は、前項の帳簿をその関係書類とともに、帳簿閉鎖の時から二年間保存しなければならない。開業社会保険労務士でなくなつたときも、同様とする。社会保険労務士法
(帳簿の記載事項)
第十五条 法第十九条第一項の厚生労働大臣が定める事項は、事件の概要とする。社会保険労務士法施行規則
本肢は、「社会保険労務士法」に関する問題です。
単純な数字相違の問題です(問題文「1年」→正しくは「2年」)
仮に知らなかったとしても、「1年の保存期間って短いよな…」という感覚が持てればOKです。
(個人的には2年でも短い気もしますが…)
本肢は×です。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和5年第5問 C
社会保険労務士法人を設立するには、主たる事務所の所在地において設立の登記をし、当該法人の社員になろうとする社会保険労務士が、定款を定めた上で、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
法第二十五条の十三
根拠条文を確認します。
(成立の届出等)
第二十五条の十三 社会保険労務士法人は、成立したときは、成立の日から二週間以内に、登記事項証明書及び定款の写しを添えて、その旨を、その主たる事務所の所在地の属する都道府県の区域に設立されている社会保険労務士会(以下「主たる事務所の所在地の社会保険労務士会」という。)を経由して、連合会に届け出なければならない。社会保険労務士法
本肢は、「社会保険労務士法」に関する問題です。
本肢は迷われた方も多いと思います。
社会保険労務士法人の設立時には…
問題文:厚生労働大臣の認可を受ける
正しくは:主たる事務所の所在地の社会保険労務士会に届け出る
となります。
試験に合格後、将来的に社会保険労務士法人を設立する方もいらっしゃると思いますので、これを機にぜひ覚えておきましょう。
本肢は×です。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和5年第5問 D
社会保険労務士法人の社員が自己又は第三者のためにその社会保険労務士法人の業務の範囲に属する業務を行ったときは、当該業務によって当該社員又は第三者が得た利益の額は、社会保険労務士法人に生じた損害の額と推定する。
法第25条の18第2項
根拠条文を確認します。
(社員の競業の禁止)
第二十五条の十八 社会保険労務士法人の社員は、自己若しくは第三者のためにその社会保険労務士法人の業務の範囲に属する業務を行い、又は他の社会保険労務士法人の社員となつてはならない。
2 社会保険労務士法人の社員が前項の規定に違反して自己又は第三者のためにその社会保険労務士法人の業務の範囲に属する業務を行つたときは、当該業務によつて当該社員又は第三者が得た利益の額は、社会保険労務士法人に生じた損害の額と推定する。社会保険労務士法
本肢は、「社会保険労務士法」に関する問題です。
かなり実務的な問題・条文ですが、非常に大切なルールです。
社会保険労務士法人の社員が、例えば就業規則作成などを行いお客様から報酬を得たとします。
もちろん、その報酬は社会保険労務士法人に帰属するわけなのですが、悪いことを考えて自分のポケットに入れてしまった…いわゆる着服ですね。
そのような着服があった場合は、社会保険労務士法人からすればその売り上げがない=損害が生じたと考えましょう、というルールなんですね。
そして、この推定された損害額をもとに、悪いことをした社員や第三者に賠償を求めていくことになります。
本肢は○となり、本問の正解となります。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和5年第5問 E
裁判所は、社会保険労務士法人の解散及び清算の監督に必要な調査をさせるため、検査役を選任することができ、この検査役の選任の裁判に不服のある者は、選任に関する送達を受けた日から2週間以内に上級の裁判所に対して控訴をすることができる。
法25条の22の6第1項・第2項
根拠条文を確認します。
(検査役の選任)
第二十五条の二十二の六 裁判所は、社会保険労務士法人の解散及び清算の監督に必要な調査をさせるため、検査役を選任することができる。
2 前項の検査役の選任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。社会保険労務士法
本肢は「社会保険労務士法」に関する問題です。
上記根拠条文そのままの出題となります。
一般的な行政裁判であれば不服申し立てが可能ですが、検査役の選任の裁判に対しては不服申し立てができない、と予め規定しています。
本肢は×です。