我が国のパートタイム・有期雇用労働者の雇用に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
なお、本問は、「令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査(事業所調査)(厚生労働省)」を参照しており、当該調査による用語及び統計等を利用している。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和5年第3問 A
パートタイム・有期雇用労働者の雇用状況をみると、「パートタイム・有期雇用労働者を雇用している」企業の割合は7割を超えている。
令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査
根拠となる調査を確認します。
1 企業におけるパートタイム・有期雇用労働者の雇用状況
パートタイム・有期雇用労働者の雇用状況をみると、「パートタイム・有期雇用労働者を雇用している」企業は75.4%となっている。令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査
本肢は、「令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査」に関する問題です。
75.4%という数字を知っていいて正解…というよりは、日ごろから労働関連のニュースに触れたり、ご自身の感覚で、「ほとんどの企業でパートタイム・有期雇用労働者が働いているな…」というイメージを持っていて正解…とできれば良い問題です。
街中でも多くの店舗で「アルバイト・パート募集」の貼り紙を見かけますし、自身の勤務先でも多くのアルバイト・パートの方が働いています。
そのような「アンテナ」を日ごろから張っておくことも大切です。
本肢は○となり、本問の正解となります。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和5年第3問 B
「パートタイム・有期雇用労働者を雇用している」企業について、雇用している就業形態(複数回答)をみると、「有期雇用パートタイムを雇用している」の割合が最も高く、次いで「無期雇用パートタイムを雇用している」、「有期雇用フルタイムを雇用している」の順となっている。
令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査
根拠となる調査を確認します。
1 企業におけるパートタイム・有期雇用労働者の雇用状況
「パートタイム・有期雇用労働者を雇用している」企業について雇用している就業形態(複数回答)をみると、「無期雇用パートタイムを雇用している」企業は51.4%、「有期雇用パートタイムを雇用している」企業は27.1%、「有期雇用フルタイムを雇用している」企業は23.2%となっている。令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査
本肢は、「令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査」に関する問題です。
これは少し意外に思われた方もいるかもしれません。
パートタイム=有期、というイメージが強いのではないでしょうか。
もしかしたら、労働契約法の「5年無期転換ルール」がこのような数字にも影響を及ぼしているのかもしれません。
感覚として「無期が多い」とおさえておきましょう。
本肢は×です。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和5年第3問 C
正社員とパートタイム・有期雇用労働者を雇用している企業について、パートタイム・有期雇用労働者を雇用する理由(複数回答)をみると、「有期雇用フルタイム」では「定年退職者の再雇用のため」、「仕事内容が簡単なため」、「人を集めやすいため」が上位3つを占めている。「有期雇用パートタイム」では「定年退職者の再雇用のため」の割合が6割を超えている。
令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査
根拠となる調査を確認します。
2 パートタイム・有期雇用労働者を雇用する理由
正社員とパートタイム・有期雇用労働者を雇用している企業について、パートタイム・有期雇用労働者を雇用する理由(複数回答)をみると、「無期雇用パートタイム」では「1日の忙しい時間帯に対処するため」30.4%、「人を集めやすいため」26.9%、「仕事内容が簡単なため」26.8%、「有期雇用パートタイム」では「定年退職者の再雇用のため」37.5%、「1日の忙しい時間帯に対処するため」30.6%、「仕事内容が簡単なため」30.2%の順に高くなっている。「有期雇用フルタイム」では「定年退職者の再雇用のため」が61.9%と6割を超え、次いで「経験・知識・技能のある人を採用したいため」31.4%、「正社員の代替要員の確保のため」25.2%の順に高くなっている。令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査
本肢は、「令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査」に関する問題です。
多くの企業が定年を60歳としており、法で定められている65歳までの雇用義務を果たすための5年間は「再雇用」として「有期雇用」の形をとっている企業がほとんどです。
したがって、現在国内労働者の60~65歳のほとんどの労働者が「有期雇用」で働いていることとなります。
ただ、問題文にある「仕事内容が簡単」だから「有期雇用」というのは違う…という感覚は持っておきましょう。
ちなみに、多くの企業では「熟練パート」と呼ばれる、ある意味正社員よりも優秀な有期雇用労働者が多く存在します。
本肢は×です。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和5年第3問 D
正社員とパートタイム・有期雇用労働者を雇用している企業が行っている教育訓練の種類(複数回答)について、正社員に実施し、うち「無期雇用パートタイム」「有期雇用パートタイム」「有期雇用フルタイム」にも実施している企業の割合をみると、いずれの就業形態においても「入職時のガイダンス(Off-JT)」が最も高くなっている。
令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査
根拠となる調査を確認します。
3 手当等、各種制度の実施、福利厚生施設の利用及び教育訓練
(2)教育訓練の実施状況
正社員とパートタイム・有期雇用労働者を雇用している企業が行っている教育訓練の種類(複数回答)について、正社員に実施し、うち「無期雇用パートタイム」「有期雇用パートタイム」「有期雇用フルタイム」にも実施している企業の割合をみると、いずれの就業形態においても「日常的な業務を通じた、計画的な教育訓練(OJT)」が40.6%、47.8%、46.9%と最も高くなっている。令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査
本肢は、「令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査」に関する問題です。
これは少し迷うかもしれません。
問題文にある「入職時のガイダンス」は、いずれの就業形態でも「入職時なら全員通る道」ということで「割合が多いのでは?」と考える方が多いと思うからです。
ただし、「入職時のガイダンス」は、文字通り「入職時」だけに行われるのに対し、正解である「日常的な業務を通じた、計画的な教育訓練」は、勤務している間は恒常的に行われている…と考えると、やはりこちらの方が割合が多い、となるのではないでしょうか。
本肢は×です。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和5年第3問 E
「無期雇用パートタイム」「有期雇用パートタイム」「有期雇用フルタイム」のいずれかの就業形態に適用される正社員転換制度がある企業について、正社員に転換するに当たっての基準(複数回答)別企業の割合をみると、「パートタイム・有期雇用労働者の所属する部署の上司の推薦」の割合が最も高く、次いで「人事評価の結果」、「(一定の)職務経験年数」の順となっている。
令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査
根拠となる調査を確認します。
4 パートタイム・有期雇用労働者の正社員転換制度
パートタイム・有期雇用労働者の正社員転換について「制度有り」とする企業の割合は、「無期雇用パートタイム」41.8%、「有期雇用パートタイム」42.2%、「有期雇用フルタイム」50.1%となっている(表5)。 また、「無期雇用パートタイム」「有期雇用パートタイム」「有期雇用フルタイム」のいずれかの就業形態に適用される正社員転換制度がある企業について、正社員に転換するに当たっての基準(複数回答)別企業の割合をみると、「人事評価の結果」が67.7%と最も高く、次いで「パートタイム・有期雇用労働者の所属する部署の上司の推薦」が48.8%、「(一定の)職務経験年数」が41.1%の順となっている。令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査
本肢は「令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査」に関する問題です。
こちらも少し迷った方もいるかもしれません。
ただ、冷静に考えてみると、正社員転換制度が、当該労働者の身近で働く「上司の推薦」を基準としていると、公平性が保てないのではないかと考えます。
公平性を保つためには、やはり「人事評価」など、当該労働者のパフォーマンスを客観的にチェックする仕組みをメインの基準とする必要があると考えます。
本肢は×です。