社会保険労務士試験【労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識】<令和5年第1問>

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我が国の女性雇用等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、本問は、「令和3年度雇用均等基本調査(企業調査)(厚生労働省)」を参照しており、当該調査による用語及び統計等を利用している。

労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和5年第1問 A

女性の正社員・正職員に占める各職種の割合は、一般職が最も高く、次いで総合職、限定総合職の順となっている。他方、男性の正社員・正職員に占める各職種の割合は、総合職が最も高く、次いで一般職、限定総合職の順となっている。

解答の根拠

令和3年度雇用均等基本調査(企業調査)(厚生労働省)

根拠となる調査を確認します。

1 職種別正社員・正職員の状況
(2) 正社員・正職員の構成比
女性の正社員・正職員に占める各職種の割合は、一般職が43.2%と最も高く、次いで総合職36.1%、限定総合職13.5%の順となっている。 男性の正社員・正職員に占める各職種の割合は、総合職が52.1%と最も高く、次いで一般職31.8%、限定総合職9.9%の順となっている。

令和3年度雇用均等基本調査(企業調査)(厚生労働省)

本肢は、「令和3年度雇用均等基本調査」に関する問題です。

まず、それぞれの用語の定義をしっかりとおさえておきましょう。

以下は、厚生労働省のホームページからの引用です。

・総合職…基幹的な業務や総合的な判断を行う業務に属し、勤務地の制限がない職種。
・限定総合職…準総合職、専門職など基幹的な業務や総合的な判断を行う業務に属し、転居を伴う転勤がない又は一定地域内や一定職種内でのみ異動がある職種。
・一般職…「総合職」「限定総合職」と比して基幹的な業務や総合的な判断を行う業務が少ない職種。

近年はダイバーシティ推進が進み少しずつ状況が変わってきていますが、それでもなお
・男性…総合職がメイン
・女性…一般職がメイン

というトレンドは残っているようです。

細かい数字は覚える必要はない(覚えられない)ので、「トレンド」を押さえておきましょう。

本肢は○です。

労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和5年第1問 B

令和3年春卒業の新規学卒者を採用した企業について採用区分ごとにみると、総合職については「男女とも採用」した企業の割合が最も高く、次いで「男性のみ採用」の順となっている。

解答の根拠

令和3年度雇用均等基本調査(企業調査)(厚生労働省)

根拠となる調査を確認します。

2 正社員・正職員の採用状況
(1) 採用状況
令和3年春卒業の新規学卒者を採用した企業割合は21.3%と、前回調査(令和2年度20.6%)に比べ0.7ポイント上昇した。 採用した企業について採用区分ごとにみると、総合職については「男女とも採用」した企業の割合が45.2%と最も高く、次いで「男性のみ採用」が41.8%となっている。

令和3年度雇用均等基本調査(企業調査)(厚生労働省)

本肢は、「令和3年度雇用均等基本調査」に関する問題です。

最近は、新卒採用=男女ともに採用、というイメージが一般的だと思いますので、多くの方が「○」と判断できたのではないかと思います。

でも、いまだに「男性のみ採用」という企業が4割も存在しているのは驚きです。

本肢は○です。

労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和5年第1問 C

労働者の職種、資格や転勤の有無によっていくつかのコースを設定して、コースごとに異なる雇用管理を行う、いわゆるコース別雇用管理制度が「あり」とする企業割合は、企業規模5,000人以上では約8割を占めている。

解答の根拠

令和3年度雇用均等基本調査(企業調査)(厚生労働省)

根拠となる調査を確認します。

3 コース別雇用管理制度について
労働者の職種、資格や転勤の有無によっていくつかのコースを設定して、コースごとに異なる雇用管理を行う、いわゆるコース別雇用管理制度が「あり」とする企業割合は、企業規模10 人以上では6.6%(平成29年度6.5%)、企業規模30人以上では10.9%(同11.2%)となっており、平成29年度調査に比べ企業規模10人以上では0.1ポイント上昇し、企業規模30 人以上では0.3ポイント低下した。 規模別にみると、1,000~4,999人では38.2%(平成29年度43.5%)、300~999人では25.4%(同32.6%%)、30~99人では7.2%(同8.0%)と前回調査に比べ低下しているものの、5,000 人以上では57.4%(同52.8%)、100~299人では15.2%(同12.2%)、10~29人では4.0%(同3.8%)と上昇している。

令和3年度雇用均等基本調査(企業調査)(厚生労働省)

本肢は、「令和3年度雇用均等基本調査」に関する問題です。

肢Aに関係しますが、入社時に「総合職・一般職」というように区別して採用・雇用管理を行うことを「コース別雇用管理制度」と言います。

こちらもトレンドとして、「なくなったわけではないが、一時期に比べて採用する企業は減ってきている」とおさえておきましょう。

さすがに8割は多すぎます。

本肢は×となり、本問の正解となります。

労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和5年第1問 D

課長相当職以上の女性管理職(役員を含む。)を有する企業割合は約5割、係長相当職以上の女性管理職(役員を含む。)を有する企業割合は約6割を占めている。

解答の根拠

令和3年度雇用均等基本調査(企業調査)(厚生労働省)

根拠となる調査を確認します。

4 管理職について
(1) 女性管理職を有する企業割合
課長相当職以上の女性管理職(役員を含む。以下同じ。)を有する企業割合は53.2%(令和2年度52.8%)、係長相当職以上の女性管理職を有する企業割合は61.1%(同61.1%)で、また、女性管理職を有する企業割合を役職別にみると、部長相当職ありの企業は12.1%(同13.1%)、課長相当職は20.1%(同20.8%)、係長相当職は21.0%(同22.6%)となっている。

令和3年度雇用均等基本調査(企業調査)(厚生労働省)

本肢は、「令和3年度雇用均等基本調査」に関する問題です。

女性活躍推進法や労働者の仕事観の変化などをもとに、女性管理職も徐々に増えてきています。

こちらも細かい数字ではなく、
・女性管理職を有する企業割合…半分(5割)
・係長相当職以上の女性管理職を有する企業割合…6割

とざっくりとした感覚を押さえておきましょう。

本肢は○です。

労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和5年第1問 E

不妊治療と仕事との両立のために利用できる制度を設けている企業について、制度の内容別に内訳をみると、「時間単位で取得可能な年次有給休暇制度」の割合が最も高く、次いで「特別休暇制度(多目的であり、不妊治療にも利用可能なもの)」、「短時間勤務制度」となっている。

解答の根拠

令和3年度雇用均等基本調査(企業調査)(厚生労働省)

根拠となる調査を確認します。

6 不妊治療と仕事との両立支援制度について
不妊治療と仕事との両立のために利用できる制度を設けている企業割合は34.2%であった。制度の内容別に内訳を見ると、「時間単位で取得可能な年次有給休暇制度」が53.8%と最も高く、次いで「特別休暇制度(多目的であり、不妊治療にも利用可能なもの)」が35.7%、「短時間勤務制度」が34.6%、「時差出勤制度」が30.8%、「所定外労働の制限の制度」が29.1%となっている。

令和3年度雇用均等基本調査(企業調査)(厚生労働省)

本肢は「令和3年度雇用均等基本調査」に関する問題です。

不妊治療に理解を示す企業もどんどん増えてきています。

いろいろなサポートの制度が考えられますが、既存の有休を分割して取得できるようにする、というのは、プラスで休暇を与えるような「特別休暇制度」や、労働力が減少してしまう「短時間勤務制度」に比べて、企業にとっても比較的導入しやすいため、採用している割合が多いのではないかと考えます。

本肢は×となり、本問の正解となります。

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