社会保険労務士試験【雇用保険法/徴収法】<令和5年第10問>

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労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

雇用保険法/徴収法 令和5年第10問 A

労働保険徴収法における「賃金」のうち、食事、被服及び住居の利益の評価に関し必要な事項は、所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長が定めることとされている。

解答の根拠

法第2条第3項 / 則第3条

根拠条文を確認します。

(定義)
第二条
3 賃金のうち通貨以外のもので支払われるものの評価に関し必要な事項は、厚生労働大臣が定める。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律

(通貨以外のもので支払われる賃金の範囲及び評価)
第三条 法第二条第二項の賃金に算入すべき通貨以外のもので支払われる賃金の範囲は、食事、被服及び住居の利益のほか、所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長の定めるところによる。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則

本肢は、「通貨以外のもので支払われる賃金」に関する問題です。

通貨以外のもので支払われる賃金については、上記2つの条文が関係します。

①法第2条第3項…評価に関し必要な事項⇒厚労大臣が定める

②則第3条…範囲⇒労基署長・職安所長が定める

問題文は、①「評価に関し必要な事項」を②労基署長・職安所長が定める、とごちゃ混ぜにしています。

本肢は×です。

雇用保険法/徴収法 令和5年第10問 B

国の行う立木の伐採の事業であって、賃金総額を正確に算定することが困難なものについては、特例により算定した額を当該事業に係る賃金総額とすることが認められている。

解答の根拠

労働者災害補償保険法第3条第2項

根拠条文を確認します。

第三条 この法律においては、労働者を使用する事業を適用事業とする。
2 前項の規定にかかわらず、国の直営事業及び官公署の事業(労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)別表第一に掲げる事業を除く。)については、この法律は、適用しない。

労働者災害補償保険法

本肢は、「立木の伐採の事業」に関する問題です。

問題文を読んで「おお!キタキタ!立木の伐採の事業は、賃金総額を正確に算定することが困難なものだから○だ!」…となってしまいがちな問題です。

落ち着いて問題文を読むと、冒頭に「国の行う」という一言に気づきます。

「国の行う立木の伐採の事業」には、労災保険に係る保険関係がそもそも成立しない…ということに気づけるかどうかが勝負の分かれ目ですね。

本肢は×です。

雇用保険法/徴収法 令和5年第10問 C

雇用保険率は、雇用保険法の規定による保険給付及び社会復帰促進等事業に要する費用の予想額に照らし、将来にわたって、雇用保険の事業に係る財政の均衡を保つことができるものでなければならないものとされる。

解答の根拠

法第12条第2項・第7項

根拠条文を確認します。

(一般保険料に係る保険料率)
第十二条
2 労災保険率は、労災保険法の規定による保険給付及び社会復帰促進等事業に要する費用の予想額に照らし、将来にわたつて、労災保険の事業に係る財政の均衡を保つことができるものでなければならないものとし…(以下略)

7 厚生労働大臣は、第五項の規定により雇用保険率を変更するに当たつては、雇用保険法第四条第一項に規定する被保険者(第三十一条及び第三十二条において「被保険者」という。)の雇用及び失業の状況その他の事情を考慮し、雇用保険の事業に係る失業等給付の支給に支障が生じないようにするために必要な額の積立金を保有しつつ、雇用保険の事業に係る財政の均衡を保つことができるよう、配慮するものとする。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律

本肢は、「一般保険料に係る保険料率」に関する問題です。

一般保険料に係る保険料率については、上記2つの条文が関係します。

①法第12条第2項…労災保険法⇒財政の均衡を保つ

②法第12条第7項…雇用保険率⇒給付の支給に影響が生じない+財政の均衡を保つように配慮

①・②ともにほとんど似たような内容ですが、①は均衡重視、②は均衡は配慮にとどまり、重視するのは給付…と読み取れます。

問題文は、②の雇用保険料について、①の説明をしており、ごちゃ混ぜにしています。

本肢は×です。

雇用保険法/徴収法 令和5年第10問 D

厚生労働大臣は、労働保険徴収法第12条第5項の場合において、必要があると認めるときは、労働政策審議会の意見を聴いて、各保険年度の1年間単位で雇用保険率を同項に定める率の範囲内において変更することができるが、1年間より短い期間で変更することはできない。

解答の根拠

法12条第5項

根拠条文を確認します。

(一般保険料に係る保険料率)
第十二条
5 厚生労働大臣は、毎会計年度において、徴収保険料額並びに雇用保険法第六十六条第一項、第二項及び第五項の規定による国庫の負担額(略)、同条第六項の規定による国庫の負担額(略)並びに同法第六十七条の規定による国庫の負担額の合計額と同法の規定による失業等給付の額並びに同法第六十四条の規定による助成及び職業訓練受講給付金の支給の額との合計額(以下この項において「失業等給付額等」という。)との差額を当該会計年度末における労働保険特別会計の雇用勘定の積立金(第七項において「積立金」という。)に加減した額から同法第十条第五項に規定する教育訓練給付の額(以下この項において「教育訓練給付額」という。)及び同条第六項に規定する雇用継続給付の額(以下この項において「雇用継続給付額」という。)を減じた額が、当該会計年度における失業等給付額等から教育訓練給付額及び雇用継続給付額を減じた額の二倍に相当する額を超え、又は当該失業等給付額等から教育訓練給付額及び雇用継続給付額を減じた額に相当する額を下るに至つた場合において、必要があると認めるときは、労働政策審議会の意見を聴いて、一年以内の期間を定め、雇用保険率を千分の十一・五から千分の十九・五まで(前項ただし書に規定する事業(同項第三号に掲げる事業を除く。)については千分の十三・五から千分の二十一・五まで、同号に掲げる事業については千分の十四・五から千分の二十二・五まで)の範囲内において変更することができる。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律

本肢は、「一般保険料に係る保険料率」に関する問題です。

問題文では「1年間より短い期間で変更することはできない」とされています。

しかし、上記根拠条文によれば「一年以内の期間を定め~変更することができる。」とされていますので、1年以内=1年より短い期間で変更することも可能です。

本肢は×です。

雇用保険法/徴収法 令和5年第10問 E

一般の事業について、雇用保険率が1,000分の15.5であり、二事業率が1,000分の3.5のとき、事業主負担は1,000分の9.5、被保険者負担は1,000分の6となる。

解答の根拠

法第12条第4項・第6項

根拠条文を確認します。

(一般保険料に係る保険料率)
第十二条
4 雇用保険率は、千分の十五・五とする。(以下略)

労働保険の保険料の徴収等に関する法律

本肢は「一般保険料に係る保険料率」に関する問題です。

保険料率は、毎年必ず数値を確認しましょう。

特に、本肢は覚えていれば確実に○と判断できる肢であり、多くの受験生が落とさない基本問題ですので、確実に取る必要があります。

○令和6年度の雇用保険率
・一般の事業…1,000分の15.5
・二事業率…1,000分の3.5
・被保険者負担…1,000分の6
・事業主負担…1,000分の9.5(上記二事業率の1,000分の3.5を含む)

本肢は○となり、本問の正解となります。

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