労働保険の保険料の徴収等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
雇用保険法/徴収法 令和5年第8問 A
不動産業を継続して営んできた事業主が令和5年7月10日までに確定保険料申告書を提出しなかった場合、所轄都道府県労働局歳入徴収官が労働保険料の額を決定し、これを当該事業主に通知するとともに労働保険徴収法第27条に基づく督促が行われる。
法第27条第1項
根拠条文を確認します。
(督促及び滞納処分)
第二十七条 労働保険料その他この法律の規定による徴収金を納付しない者があるときは、政府は、期限を指定して督促しなければならない。労働保険の保険料の徴収等に関する法律
本肢は、「督促及び滞納処分」に関する問題です。
問題文では、確定保険料申告書を提出しなかった場合、「決定された労働保険料の通知+督促」と2つが同時に行われると記載されています。
しかし、実際は、
①まず、労働保険料を決定し通知
②その通知された納期限までに納付がない場合に、督促をする
と2段階になっています。
本肢は×です。
雇用保険法/徴収法 令和5年第8問 B
小売業を継続して営んできた事業主が令和4年10月31日限りで事業を廃止した場合、確定保険料申告書を同年12月10日までに所轄都道府県労働局歳入徴収官あてに提出しなければならない。
法第19条第1項
根拠条文を確認します。
(確定保険料)
第十九条 事業主は、保険年度ごとに、次に掲げる労働保険料の額その他厚生労働省令で定める事項を記載した申告書を、次の保険年度の六月一日から四十日以内(保険年度の中途に保険関係が消滅したものについては、当該保険関係が消滅した日(保険年度の中途に労災保険法第三十四条第一項の承認が取り消された事業に係る第一種特別加入保険料及び保険年度の中途に労災保険法第三十六条第一項の承認が取り消された事業に係る第三種特別加入保険料に関しては、それぞれ当該承認が取り消された日。第三項において同じ。)から五十日以内)に提出しなければならない。労働保険の保険料の徴収等に関する法律
本肢は、「確定保険料」に関する問題です。
継続事業が、保険年度途中に廃止された場合の申告期限は、上記根拠条文のとおり「当該保険関係が消滅した日から50日以内に提出しなければならない」とされています。
したがって、設問の場合、確定保険料申告書を同年12月20日までに所轄都道府県労働局歳入徴収官あてに提出しなければならない。
本肢は×です。
雇用保険法/徴収法 令和5年第8問 C
令和4年6月1日に労働保険の保険関係が成立し、継続して交通運輸事業を営んできた事業主は、概算保険料の申告及び納付手続と確定保険料の申告及び納付手続とを令和5年度の保険年度において同一の用紙により一括して行うことができる。
ー
本肢は、「概算保険料・確定保険料の申告」に関する問題です。
前年度の確定保険料の申告・納付と、当年度の概算保険料の申告・納付は、別々に行うのではなく、一つの申告用紙でセットで行います。
既に実務で「労働保険料の年度更新」を経験されている方にとっては、サービス問題ですね。
本肢は○となり、本問の正解となります。
雇用保険法/徴収法 令和5年第8問 D
令和4年4月1日に労働保険の保険関係が成立して以降金融業を継続して営んでおり、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託している事業主は、令和5年度の保険年度の納付すべき概算保険料の額が10万円であるとき、その延納の申請を行うことはできない。
則第27条第1項
根拠条文を確認します。
(事業主が申告した概算保険料の延納の方法)
第二十七条 有期事業以外の事業であつて法第十五条第一項の規定により納付すべき概算保険料の額が四十万円(労災保険に係る保険関係又は雇用保険に係る保険関係のみが成立している事業については、二十万円)以上のもの又は当該事業に係る労働保険事務の処理が労働保険事務組合に委託されているもの(当該保険年度において十月一日以降に保険関係が成立したものを除く。)についての事業主は、同項の申告書を提出する際に法第十八条に規定する延納の申請をした場合には、その概算保険料を、四月一日から七月三十一日まで、八月一日から十一月三十日まで及び十二月一日から翌年三月三十一日までの各期(当該保険年度において、四月一日から五月三十一日までに保険関係が成立した事業については保険関係成立の日から七月三十一日までを、六月一日から九月三十日までに保険関係が成立した事業については保険関係成立の日から十一月三十日までを最初の期とする。)に分けて納付することができる。労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則
本肢は、「概算保険料の延納」に関する問題です。
継続事業の事業主が、概算保険料を延納できる条件は…
・概算保険料額が40万円以上(労災・雇用、どちらか一方のみ成立している場合は20万円以上)
・労働保険事務の処理を労働保険事務組合に委託している
いずれかを満たすことが必要です。
問題文のケースは、概算保険料の額は10万円ですが、労働保険事務組合に委託している事業主ですので、延納は可能です。
本肢は×です。
雇用保険法/徴収法 令和5年第8問 E
令和4年5月1日から令和6年2月28日までの期間で道路工事を行う事業について、事業主が納付すべき概算保険料の額が120万円であったとき、延納の申請により第1期に納付すべき概算保険料の額は24万円とされる。
則第28条第1項
根拠条文を確認します。
第二十八条 有期事業であつて法第十五条第二項の規定により納付すべき概算保険料の額が七十五万円以上のもの又は当該事業に係る労働保険事務の処理が労働保険事務組合に委託されているもの(事業の全期間が六月以内のものを除く。)についての事業主は、同項の申告書を提出する際に法第十八条に規定する延納の申請をした場合には、その概算保険料を、その事業の全期間を通じて、毎年四月一日から七月三十一日まで、八月一日から十一月三十日まで及び十二月一日から翌年三月三十一日までの各期(期の中途に保険関係が成立した事業については、保険関係成立の日からその日の属する期の末日までの期間が二月を超えるときは保険関係成立の日からその日の属する期の末日までを、二月以内のときは保険関係成立の日からその日の属する期の次の期の末日までを最初の期とする。)に分けて納付することができる。
本肢は「有期事業の延納」に関する問題です。
問題文のケースは、
(1)令和4年5月1日~令和4年7月31日
(2)令和4年8月1日~令和4年11月30日
(3)令和4年12月1日~令和5年3月31日
(4)令和5年4月1日~令和5年7月31日
(5)令和5年8月1日~令和5年11月30日
(6)令和5年12月1日~令和6年2月28日
と、合計6回の期に分けて延納が可能です。
したがって、第1期に納付すべき概算保険料の額は、
120万円 ÷ 6回 = 20万円/回
となります。
本肢は×です。