社会保険労務士試験【労働者災害補償保険法】<令和5年第4問>

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労災年金と厚生年金・国民年金との間の併給調整に関する次のアからオの記述のうち、正しいものはいくつあるか。なお、昭和60年改正前の厚生年金保険法、船員保険法又は国民年金法の規定による年金給付が支給される場合については、考慮しない。また、調整率を乗じて得た額が、調整前の労災年金額から支給される厚生年金等の額を減じた残りの額を下回る場合も考慮しない。
A 一つ
B 二つ
C 三つ
D 四つ
E 五つ

労働者災害補償保険法 令和5年第4問 A

同一の事由により障害補償年金と障害厚生年金及び障害基礎年金を受給する場合、障害補償年金の支給額は、0.73の調整率を乗じて得た額となる。

解答の根拠

法別表1第1号 / 令第2条

根拠条文を確認します。

別表第一
一 同一の事由(略)により、障害補償年金若しくは傷病補償年金又は遺族補償年金と厚生年金保険法の規定による障害厚生年金及び国民年金法の規定による障害基礎年金(略)又は厚生年金保険法の規定による遺族厚生年金及び国民年金法の規定による遺族基礎年金若しくは寡婦年金とが支給される場合にあつては、下欄の額に、次のイからハまでに掲げる年金たる保険給付の区分に応じ、それぞれイからハまでに掲げるところにより算定して得た率を下らない範囲内で政令で定める率を乗じて得た額(その額が政令で定める額を下回る場合には、当該政令で定める額)
イ 障害補償年金 前々保険年度(略)において障害補償年金を受けていた者であつて、同一の事由により厚生年金保険法の規定による障害厚生年金及び国民年金法の規定による障害基礎年金が支給されていたすべてのものに係る前々保険年度における障害補償年金の支給額(略)の平均額からこれらの者が受けていた前々保険年度における厚生年金保険法の規定による障害厚生年金の支給額と国民年金法の規定による障害基礎年金の支給額との合計額の平均額に百分の五十を乗じて得た額を減じた額を当該障害補償年金の支給額の平均額で除して得た率
ロ 遺族補償年金 イ中「障害補償年金」とあるのは「遺族補償年金」と、「障害厚生年金」とあるのは「遺族厚生年金」と、「障害基礎年金」とあるのは「遺族基礎年金又は寡婦年金」として、イの規定の例により算定して得た率
ハ 傷病補償年金 イ中「障害補償年金」とあるのは、「傷病補償年金」として、イの規定の例により算定して得た率

労働者災害補償保険法

(法別表第一第一号の政令で定める率)
第二条 法別表第一第一号(略)の政令で定める率は、次の表の上欄に掲げる年金たる保険給付の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に定める率とする。

障害補償年金、複数事業労働者障害年金及び障害年金〇・七三
遺族補償年金、複数事業労働者遺族年金及び遺族年金〇・八〇
傷病補償年金、複数事業労働者傷病年金及び傷病年金〇・七三
労働者災害補償保険法施行令

本肢は、「併給調整」に関する問題です。

併給調整は労災や年金科目で必須のテーマです。

考え方(1+1=2とはせず、調整する)は同じですのでしっかり理解するとして、あとは率な調整ど細かい部分をおさえていきましょう。

本肢は「障害補償年金 障害厚生年金・障害基礎年金」のケースです。

上記根拠条文のとおり、調整率は「0.73」となっています。

本肢は○です。

労働者災害補償保険法 令和5年第4問 B

障害基礎年金のみを既に受給している者が新たに障害補償年金を受け取る場合、障害補償年金の支給額は、0.83の調整率を乗じて得た額となる。

解答の根拠

法別表1第3号

根拠条文を確認します。

別表第一
三 同一の事由により、障害補償年金若しくは傷病補償年金又は遺族補償年金と国民年金法の規定による障害基礎年金又は遺族基礎年金若しくは寡婦年金とが支給される場合(略)にあつては、下欄の額に、年金たる保険給付の区分に応じ、第一号の政令で定める率に準じて政令で定める率を乗じて得た額(その額が政令で定める額を下回る場合には、当該政令で定める額)

労働者災害補償保険法

本肢は、「併給調整」に関する問題です。

本肢は、「障害基礎年金+障害補償年金」のケースです。

ただし、気を付けていただきたいのが、肢Aには「同一の事由により」とありましたが、本肢にはその記載がありません。

つまり、明言はされていませんが「別の事由」となります。

上記根拠のとおり、併給調整がされるのは「同一の事由」の場合ですので、本肢のケースは「併給調整なし」となります。

本肢は×です。

労働者災害補償保険法 令和5年第4問 C

障害基礎年金のみを受給している者が遺族補償年金を受け取る場合、遺族補償年金の支給額は、0.88の調整率を乗じて得た額となる。

解答の根拠

法別表1第3号

本肢は、「併給調整」に関する問題です。

根拠条文は、肢Bと同じです。

本肢も論点は肢Bと同じく「同一の事由ではない」ということで併給調整はされません。

本肢は「障害」と「遺族」と事由が明らかに異なりますので、「調整はしないでしょう」と気づいた方が多いかもしれませんね。

本肢は×です。

労働者災害補償保険法 令和5年第4問 D

同一の事由により遺族補償年金と遺族厚生年金及び遺族基礎年金を受給する場合、遺族補償年金の支給額は、0.80の調整率を乗じて得た額となる。

解答の根拠

法別表1第1号 / 令第2条

本肢は、「併給調整」に関する問題です。

根拠条文は、肢Aと同じです。

今回は「遺族補償年金 + 遺族厚生年金・遺族厚生基礎年金」のケースですが、肢Aの根拠条文(ピンクマーカー部分)に、調整率は「0.80」とあります。

本肢は○です。

労働者災害補償保険法 令和5年第4問 E

遺族基礎年金のみを受給している者が障害補償年金を受け取る場合、障害補償年金の支給額は、0.88の調整率を乗じて得た額となる。

解答の根拠

法別表1第3号

本肢は、「併給調整」に関する問題です。

根拠条文は、肢B・Cと同じです。

本肢も論点は肢B・Cと同じく、「遺族」と「障害」とありますので、「同一の事由ではない」ということで併給調整はされません。

本肢は×です。

以上から、正しい選択肢はAとDとなり、正解は「B 二つ」ます。

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