国民年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
国民年金法 令和4年第8問 A
20歳未満の厚生年金保険の被保険者は国民年金の第2号被保険者となるが、当分の間、当該被保険者期間は保険料納付済期間として算入され、老齢基礎年金の額に反映される。
昭60法附則第8条第4項
根拠条文を確認します。
(国民年金の被保険者期間等の特例)
国民年金法昭60法附則
第八条
4 当分の間、第二号被保険者としての国民年金の被保険者期間に係る保険料納付済期間を有する者の二十歳に達した日の属する月前の期間及び六十歳に達した日の属する月以後の期間に係る当該保険料納付済期間は、国民年金法第二十六条及び第二十七条並びに同法附則第九条第一項、第九条の二第一項及び第九条の二の二第一項の規定の適用については、同法第五条第一項の規定にかかわらず、保険料納付済期間に算入せず、同法附則第九条第一項の規定の適用については、合算対象期間に算入する。
本肢は、「国民年金の被保険者期間等の特例」に関する問題です。
厚生年金保険の第2号被保険者の20歳前の期間は、20歳からが被保険者とされている国民年金においてどのように取り扱われるのでしょうか。
もちろんこの期間を「保険料納付済期間」として処理すると、最大40年間の国民年金の被保険者期間をオーバーしてしまう可能性があります。
そのため、「合算対象期間」として取り扱い、老齢基礎年金の額には反映しないようにしています。
本肢は×です。
国民年金法 令和4年第8問 B
国民年金法による保険料の納付を猶予された期間については、当該期間に係る保険料が追納されなければ老齢基礎年金の額には反映されないが、学生納付特例の期間については、保険料が追納されなくても、当該期間は老齢基礎年金の額に反映される。
法第26条
根拠条文を確認します。
(支給要件)
国民年金法
第二十六条 老齢基礎年金は、保険料納付済期間又は保険料免除期間(第九十条の三第一項の規定により納付することを要しないものとされた保険料に係るものを除く。)を有する者が六十五歳に達したときに、その者に支給する。ただし、その者の保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が十年に満たないときは、この限りでない。
本肢は、「学生納付特例」に関する問題です。
保険料免除期間は…
・受給資格期間⇒カウントする
・年金額⇒カウントしない
とされており、これは学生納付特例についても同様です。
本肢は×です。
国民年金法 令和4年第8問 C
基礎年金拠出金の額の算定基礎となる第1号被保険者数は、保険料納付済期間、保険料全額免除期間、保険料4分の3免除期間、保険料半額免除期間及び保険料4分の1免除期間を有する者の総数とされている。
法第94条の3第2項 / 令第11条の3
根拠条文を確認します。
第九十四条の三
国民年金法
2 前項の場合において被保険者の総数並びに政府及び実施機関に係る被保険者の総数は、第一号被保険者、第二号被保険者及び第三号被保険者の適用の態様の均衡を考慮して、これらの被保険者のうち政令で定める者を基礎として計算するものとする。
(法第九十四条の三第二項の政令で定める者)
国民年金法施行令
第十一条の三 法第九十四条の三第二項に規定する政令で定める者は、第一号被保険者にあつては保険料納付済期間、保険料四分の一免除期間、保険料半額免除期間又は保険料四分の三免除期間を有する者、第二号被保険者にあつては二十歳以上六十歳未満の者、第三号被保険者にあつてはすべての者とする。
本肢は、「基礎年金拠出金」に関する問題です。
基礎年金拠出金の額の算定基礎となる被保険者数は、下記の者をカウントします。
・第1号被保険者…保険料納付済期間・保険料の4分の1免除期間・保険料半額免除期間・保険料4分の3免除期間を有する者
・第2号被保険者…20歳以上60歳未満の者
・第3号被保険者…全員
したがって、第1号被保険者に関して、「保険料全額免除期間」を有する第1号被保険者はカウントされません。
本肢は×です。
国民年金法 令和4年第8問 D
大学卒業後、23歳から民間企業に勤務し65歳までの合計42年間、第1号厚生年金被保険者としての被保険者期間を有する者(昭和32年4月10日生まれ)が65歳から受給できる老齢基礎年金の額は満額となる。なお、当該被保険者は、上記以外の被保険者期間を有していないものとする。
昭60法附則第8条第4項
根拠条文を確認します。
(国民年金の被保険者期間等の特例)
国民年金法昭60法附則
第八条
4 当分の間、第二号被保険者としての国民年金の被保険者期間に係る保険料納付済期間を有する者の二十歳に達した日の属する月前の期間及び六十歳に達した日の属する月以後の期間に係る当該保険料納付済期間は、国民年金法第二十六条及び第二十七条並びに同法附則第九条第一項、第九条の二第一項及び第九条の二の二第一項の規定の適用については、同法第五条第一項の規定にかかわらず、保険料納付済期間に算入せず、同法附則第九条第一項の規定の適用については、合算対象期間に算入する。
本肢は、「国民年金の被保険者期間等の特例」に関する問題です。
肢Aにおいて、20歳前のケースを検討しました。
本肢では「60歳以降」のケースになります。
考え方は同じで、60歳以降の厚生年金保険の被保険者期間も「保険料納付済期間」として処理すると、最大40年間の国民年金の被保険者期間をオーバーしてしまう可能性があります。
これは、23歳から被保険者となったことで結果として40年とならなかった場合でも、同様です。
したがって、問題文のケースでは、60歳から65歳までの5年間は、「合算対象期間」として処理されるため、老齢基礎年金は満額となりません。
本肢は×です。
国民年金法 令和4年第8問 E
第1号被保険者又は第3号被保険者が60歳に達したとき(第2号被保険者に該当するときを除く。)は、60歳に達した日に被保険者の資格を喪失する。また、第1号被保険者又は第3号被保険者が死亡したときは、死亡した日の翌日に被保険者の資格を喪失する。
法第9条第1項第1号・第3号
根拠条文を確認します。
(資格喪失の時期)
国民年金法
第九条 第七条の規定による被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至つた日の翌日(第二号に該当するに至つた日に更に第七条第一項第二号若しくは第三号に該当するに至つたとき又は第三号から第五号までのいずれかに該当するに至つたとき(第四号については、厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができる者となつたときに限る。)は、その日)に、被保険者の資格を喪失する。
一 死亡したとき。
二 (略)
三 六十歳に達したとき(第七条第一項第二号に該当するときを除く。)。
本肢は「資格喪失の時期」に関する問題です。
混同しやすいですが…
・60歳到達時…その日
・死亡時…翌日
に資格喪失します。
注意して覚えておきましょう。
本肢は○となり、本問の正解となります。