国民年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
国民年金法 令和4年第1問 A
国民年金法第109条の2の2に規定する学生納付特例事務法人は、その教育施設の学生等である被保険者の委託を受けて、当該被保険者に係る学生納付特例申請及び保険料の納付に関する事務を行うことができる。
法第109条の2の2第1項
根拠条文を確認します。
(学生納付特例の事務手続に関する特例)
第百九条の二の二 国及び地方公共団体並びに国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)第二条第一項に規定する国立大学法人、地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第六十八条第一項に規定する公立大学法人及び私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第三条に規定する学校法人その他の政令で定める法人であつて、厚生労働大臣がこれらの法人からの申請に基づき、第九十条の三第一項の申請(以下この条において「学生納付特例申請」という。)に関する事務を適正かつ確実に実施することができると認められるものとして指定するもの(以下この条において「学生納付特例事務法人」という。)は、その設置する学校教育法第八十三条に規定する大学その他の政令で定める教育施設において当該教育施設の学生等である被保険者(以下この条において「学生等被保険者」という。)の委託を受けて、学生等被保険者に係る学生納付特例申請をすることができる。
本肢は、「学生納付特例事務法人」に関する問題です。
上記根拠条文のとおり学生納付特例事務法人は、学生等被保険者の委託を受けて、学生等被保険者に係る学生納付特例申請をすることができる、とされています。
しかし、問題文に記載のある、「保険料の納付に関する事務」については、条文中に記載がありませんので、することができません。
なお、日本年金機構のHPで、この「学生納付特例事務法人」の一覧が公開されていますので、ご興味がある方はぜひご一読ください。
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/gakutokutaisyouko.html#cmsCD447
本肢は×です。
国民年金法 令和4年第1問 B
厚生労働大臣に対する国民年金原簿の訂正の請求に関し、第2号被保険者であった期間のうち国家公務員共済組合、地方公務員共済組合の組合員又は私立学校教職員共済制度の加入者であった期間については、国民年金原簿の訂正の請求に関する規定は適用されない。
法第14条の2 / 法附則第7条の5第1項
根拠条文を確認します。
(訂正の請求)
国民年金法
第十四条の二 被保険者又は被保険者であつた者は、国民年金原簿に記録された自己に係る特定国民年金原簿記録(被保険者の資格の取得及び喪失、種別の変更、保険料の納付状況その他厚生労働省令で定める事項の内容をいう。以下この項において同じ。)が事実でない、又は国民年金原簿に自己に係る特定国民年金原簿記録が記録されていないと思料するときは、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に対し、国民年金原簿の訂正の請求をすることができる。
(国民年金原簿の特例等)
国民年金法附則
第七条の五 第十四条及び第十四条の二の規定の適用については、当分の間、第十四条中「被保険者」とあるのは、「被保険者(第二号被保険者のうち第二号厚生年金被保険者、第三号厚生年金被保険者又は第四号厚生年金被保険者であるものを除く。次条において同じ。)」とする。
本肢は、「国民年金原簿の訂正の請求」に関する問題です。
上記根拠条文(附則第7条の5)に記載があるとおり、法第14条の2(訂正の請求)は「被保険者(第2号被保険者のうち第2号厚生年金被保険者、第3号厚生年金被保険者又は第4号厚生年金被保険者であるものを除く。)」とする」と定められています。
つまり、問題文にある「国民年金原簿の訂正の請求」に関し、第2号被保険者であった期間のうち国家公務員共済組合、地方公務員共済組合の組合員又は私立学校教職員共済制度の加入者であった期間については、当該規定は適用されないこととなります。
本肢は○となり、本問の正解となります。
国民年金法 令和4年第1問 C
第3号被保険者は、その配偶者である第1号厚生年金被保険者が転職したことによりその資格を喪失した後、引き続き第4号厚生年金被保険者の資格を取得したときは、当該事実があった日から14日以内に種別変更の届出を日本年金機構に対して行わなければならない。
則第6条の3
根拠条文を確認します。
(第三号被保険者の配偶者に関する届出)
国民年金法施行規則
第六条の三 第三号被保険者は、その配偶者が厚生年金保険の被保険者の資格を喪失した後引き続き厚生年金保険の被保険者の資格を取得したとき(略)は、当該事実があつた日から十四日以内に、次に掲げる事項を記載した届書又はこれらの事項を記録した光ディスクを機構に提出しなければならない。
一 氏名、性別、生年月日及び住所
二 配偶者の氏名及び生年月日
三 配偶者が厚生年金保険の被保険者の資格を喪失した年月日及びその資格を取得した年月日
四 個人番号又は基礎年金番号
五 配偶者の個人番号又は基礎年金番号
六 第一条の三各号のいずれかに該当する者にあつては、その旨
本肢は、「届出」に関する問題です。
ここで「種別」に関する届け出を2つ整理しておきます。
①種別変更の届出 … 種別を変更する(例:第2号被保険者⇒第1号被保険者への変更)
②種別確認の届出 … 種別を変更しない(例:第3号被保険者⇒第3号被保険者のまま)
これを踏まえて問題文を確認すると、
問題文のケースは、配偶者が厚生年金被保険者の被保険者種別は変わっていますが、当人(第3号被保険者)は第3号被保険者のままで変わらないので、種別「変更」の届出ではなく、種別「確認」の届出が必要となります。
本肢は×です。
国民年金法 令和4年第1問 D
第1号被保険者は、厚生労働大臣が住民基本台帳法第30条の9の規定により当該第1号被保険者に係る機構保存本人確認情報の提供を受けることができる者であっても、当該被保険者の氏名及び住所を変更したときは、当該事実があった日から14日以内に、届書を市町村長(特別区にあっては、区長とする。)に提出しなければならない。
則第7条第1項 / 則第8条第1項
根拠条文を確認します。
(氏名変更の届出)
第七条 法第十二条第一項の規定による被保険者(第二号被保険者及び厚生労働大臣が住民基本台帳法第三十条の九の規定により機構保存本人確認情報の提供を受けることができる者を除く。)の氏名の変更の届出は、当該事実があつた日から十四日以内に、次に掲げる事項を記載した届書を市町村長に提出することによつて行わなければならない。
(以下略)(住所変更の届出)
国民年金法施行規則
第八条 法第十二条第一項の規定による被保険者(第二号被保険者及び厚生労働大臣が住民基本台帳法第三十条の九の規定により機構保存本人確認情報の提供を受けることができる者を除く。)の住所の変更の届出は、当該事実があつた日から十四日以内に、次に掲げる事項を記載した届書を市町村長に提出することによつて行わなければならない。この場合において、当該届書に基礎年金番号を記載するときは、当該届書に基礎年金番号通知書その他の基礎年金番号を明らかにすることができる書類を添えなければならない。
(以下略)
本肢は、「氏名及び住所の変更の届出」に関する問題です。
上記根拠条文のとおり、第1号被保険者の氏名及び住所の変更の届出は、当該事実があった日から14日以内に、所定の事項を記載した届書を市町村長に提出することによって行うこと、とされています。
しかし、上記根拠条文のかっこ書きにあるとおり、例外が認められています。
その例外とは、「厚生労働大臣が住民基本台帳法第30条の9の規定により機構保存本人確認情報の提供を受けることができる者」です。
このケースの場合は、届出をしてもらわなくても行政の方で必要な情報が確認できるので、届出は不要…とされているわけですね。
本肢は×です。
国民年金法 令和4年第1問 E
国民年金法施行規則第23条第1項の規定によると、老齢基礎年金の受給権者の所在が6か月以上明らかでないときは、受給権者の属する世帯の世帯主その他その世帯に属する者は、速やかに、所定の事項を記載した届書を日本年金機構に提出しなければならないとされている。
則第23条第1項
根拠条文を確認します。
(所在不明の届出等)
国民年金法施行規則
第二十三条 老齢基礎年金の受給権者の属する世帯の世帯主その他その世帯に属する者は、当該受給権者の所在が一月以上明らかでないときは、速やかに、次の各号に掲げる事項を記載した届書を機構に提出しなければならない。
(以下略)
本肢は「所在不明の届出」に関する問題です。
この問題は、単純な条文のすり替え問題ですね。
さすがに、行方不明になってから半年経って届出は遅いのではないか、という感覚が働くと良いと思います。
本肢は×です。