社会保険労務士試験【厚生年金保険法】<令和4年第5問>

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老齢厚生年金の支給繰上げ、支給繰下げに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

厚生年金保険法 令和4年第5問 A

老齢厚生年金の支給繰上げの請求は、老齢基礎年金の支給繰上げの請求を行うことができる者にあっては、その請求を同時に行わなければならない。

解答の根拠

法附則第7条の3第2項

根拠条文を確認します。

(老齢厚生年金の支給の繰上げ)
第七条の三
 前項の請求は、国民年金法附則第九条の二第一項又は第九条の二の二第一項に規定する支給繰上げの請求を行うことができる者にあつては、これらの請求と同時に行わなければならない。

厚生年金保険法附則

本肢は、「老齢厚生年金の支給の繰上げ」に関する問題です。

これは基本中の基本の問題なので、落としたくはないですね。

上記根拠条文にあるとおり、セットで請求をする必要があります。

本肢は○です。

厚生年金保険法 令和4年第5問 B

昭和38年4月1日生まれの男性が老齢厚生年金の支給繰上げの請求を行い、60歳0か月から老齢厚生年金の受給を開始する場合、その者に支給する老齢厚生年金の額の計算に用いる減額率は24パーセントとなる。

解答の根拠

法附則第7条の3第4項 / 令第6条の3

根拠条文を確認します。

(老齢厚生年金の支給の繰上げ)
第七条の三
 前項の規定による老齢厚生年金の額は、第四十三条第一項の規定にかかわらず、同項の規定により計算した額から政令で定める額を減じた額とする。

厚生年金保険法附則

法附則第七条の三第四項に規定する政令で定める額
第六条の三 法附則第七条の三第四項に規定する政令で定める額は、同条第一項の請求をした日(以下この条において「請求日」という。)の属する月の前月までの厚生年金保険の被保険者期間(以下この条において「請求日前被保険者期間」という。)を基礎として法第四十三条第一項の規定によつて計算した額(昭和六十年改正法附則第五十九条第二項の規定が適用される場合にあつては、請求日前被保険者期間を基礎として計算した同項に規定する加算額を加算した額)に減額率(千分の四に請求日の属する月から六十五歳に達する日の属する月の前月までの月数を乗じて得た率をいう。)を乗じて得た額とする。

厚生年金保険法施行令

本肢は、「老齢厚生年金の支給の繰上げ」に関する問題です。

老齢厚生年金の支給繰上げは、早く受給を始めることができる引き換えとして、一定の減額がされます。

その減額率は、上記根拠条文のとおり「1,000分の4に請求日の属する月から65歳に達する日の属する月の前月までの月数を乗じて得た率」とされています。

1ヶ月早くもらうと、0.4%減額される…ということになります。

これを問題文のケースに当てはめます。

60歳0か月ということは、5年(60ヶ月)早めることになりますので、
60ヶ月 × 0.4% = 24%
となります。

本肢は○です。

厚生年金保険法 令和4年第5問 C

68歳0か月で老齢厚生年金の支給繰下げの申出を行った者に対する老齢厚生年金の支給は、当該申出を行った月の翌月から開始される。

解答の根拠

法第44条の3第3項

根拠条文を確認します。

(支給の繰下げ)
第四十四条の三
 第一項の申出(第五項の規定により第一項の申出があつたものとみなされた場合における当該申出を含む。次項において同じ。)をした者に対する老齢厚生年金の支給は、第三十六条第一項の規定にかかわらず、当該申出のあつた月の翌月から始めるものとする。

厚生年金保険法

本肢は、「老齢厚生年金の支給の繰下げ」に関する問題です。

上記根拠条文のとおり、老齢厚生年金の支給の繰下げの申出をした者に対する老齢厚生年金の支給は、当該申出のあった月の翌月から始めるものとされています。

整理すると…
・通常(法第36条第1項)…年金を支給すべき事由が生じた月の翌月から支給
・繰り下げ(法第44条の3第3項)…申し出があった月の翌月から支給

となります。

本肢は○です。

厚生年金保険法 令和4年第5問 D

老齢厚生年金の支給繰下げの申出を行った場合でも、経過的加算として老齢厚生年金に加算された部分は、当該老齢厚生年金の支給繰下げの申出に応じた増額の対象とはならない。

解答の根拠

法第44条の3第4項 / 令第3条の5の2

根拠条文を確認します。

(支給の繰下げ)
第四十四条の三
 第一項の申出をした者に支給する老齢厚生年金の額は、第四十三条第一項及び第四十四条の規定にかかわらず、これらの規定により計算した額に、老齢厚生年金の受給権を取得した日の属する月の前月までの被保険者期間を基礎として第四十三条第一項の規定の例により計算した額及び第四十六条第一項の規定の例により計算したその支給を停止するものとされた額を勘案して政令で定める額を加算した額とする。

厚生年金保険法

(支給の繰下げの際に加算する額)
第三条の五の二 法第四十四条の三第四項(略)に規定する政令で定める額は、老齢厚生年金の受給権を取得した日の属する月(以下この項において「受給権取得月」という。)の前月までの被保険者期間(以下この条において「受給権取得月前被保険者期間」という。)を基礎として法第四十三条第一項の規定によつて計算した額に平均支給率を乗じて得た額(昭和六十年改正法附則第五十九条第二項の規定が適用される場合にあつては、当該乗じて得た額に受給権取得月前被保険者期間を基礎として計算した同項に規定する加算額を加算した額)に増額率(千分の七に受給権取得月から法第四十四条の三第一項の申出(同条第五項の規定により同条第一項の申出があつたものとみなされた場合における当該申出を含む。)をした日(次項において「申出日」という。)の属する月の前月までの月数(当該月数が百二十を超えるときは、百二十)を乗じて得た率をいう。)を乗じて得た額とする。

厚生年金保険法施行令

本肢は、「老齢厚生年金の支給の繰下げ」に関する問題です。

老齢厚生年金の支給繰り下げを行った場合、いわゆる「経過的加算額」も一緒に増額となるか否か。

この点、上記根拠条文(長く読みづらいですが)のとおり、「繰下げ対象額に、経過的加算額を加算して得られた額に増額率を乗じて得られる額」とされていますので、セットで増額されることになります。

本肢は×となり、本問の正解となります。

厚生年金保険法 令和4年第5問 E

令和4年4月以降、老齢厚生年金の支給繰下げの申出を行うことができる年齢の上限が70歳から75歳に引き上げられた。ただし、その対象は、同年3月31日時点で、70歳未満の者あるいは老齢厚生年金の受給権発生日が平成29年4月1日以降の者に限られる。

解答の根拠

法第44条の3 / 令2法附則8条

根拠条文を確認します。

(支給の繰下げ)
第四十四条の三 老齢厚生年金の受給権を有する者であつてその受給権を取得した日から起算して一年を経過した日(以下この条において「一年を経過した日」という。)前に当該老齢厚生年金を請求していなかつたものは、実施機関に当該老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができる。ただし、その者が当該老齢厚生年金の受給権を取得したときに、他の年金たる給付(他の年金たる保険給付又は国民年金法による年金たる給付(老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金を除く。)をいう。以下この条において同じ。)の受給権者であつたとき、又は当該老齢厚生年金の受給権を取得した日から一年を経過した日までの間において他の年金たる給付の受給権者となつたときは、この限りでない。

厚生年金保険法

(老齢厚生年金の支給の繰下げに関する経過措置)
第八条 第四条の規定による改正後の厚生年金保険法第四十四条の三の規定は、施行日の前日において、老齢厚生年金の受給権を取得した日から起算して五年を経過していない者について適用する

厚生年金保険法令和2年附則

本肢は「老齢厚生年金の支給の繰下げ」に関する問題です。

問題文にあるとおり、令和4年4月以降、老齢厚生年金の支給繰下げの申出を行うことができる年齢の上限が70歳から75歳に引き上げられました。

落ち着いて考えてみれば当たり前のことですが、この年齢引き上げの対象となるのは、
・引き上げの時点で70歳未満の者
・引き上げの時点で老齢厚生年金の受給権を取得した日から起算して5年を経過していない=受給権発生日が平成29年4月1日以降の者=70~74歳の者

となります。

75歳以上の者が75歳に引き上げ…というのはおかしいですからね。

本肢は○です。

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