高齢者医療確保法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和4年第7問 A
後期高齢者医療広域連合(以下本問において「広域連合」という。)の区域内に住所を有する75歳以上の者及び広域連合の区域内に住所を有する65歳以上75歳未満の者であって、厚生労働省令で定めるところにより、政令で定める程度の障害の状態にある旨の当該広域連合の認定を受けたもののいずれかに該当する者は、広域連合が行う後期高齢者医療の被保険者とする。
高齢者医療確保法第50条
根拠条文を確認します。
(被保険者)
高齢者の医療の確保に関する法律
第五十条 次の各号のいずれかに該当する者は、後期高齢者医療広域連合が行う後期高齢者医療の被保険者とする。
一 後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する七十五歳以上の者
二 後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する六十五歳以上七十五歳未満の者であつて、厚生労働省令で定めるところにより、政令で定める程度の障害の状態にある旨の当該後期高齢者医療広域連合の認定を受けたもの
本肢は、「被保険者」に関する問題です。
高齢者医療確保法はメイン法律ではありませんが、基本的な事項は過去問演習を通じてしっかりとおさえておきましょう。
●後期高齢者医療の被保険者の定義
1. 後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する75歳以上の者
2. 後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する65歳以上75歳未満の者であって、厚生労働省令で定めるところにより、政令で定める程度の障害の状態にある旨の当該後期高齢者医療広域連合の認定を受けたもの
ということで、問題文は法律上の定義そのままで、正しい内容です。
本肢は○です。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和4年第7問 B
被保険者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該被保険者の資格の取得及び喪失に関する事項その他必要な事項を後期高齢者医療広域連合に届け出なければならないが、当該被保険者の属する世帯の世帯主は、当該被保険者に代わって届出をすることができない。
高齢者医療確保法第54条第1項・第2項
根拠条文を確認します。
(届出等)
高齢者の医療の確保に関する法律
第五十四条 被保険者は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者の資格の取得及び喪失に関する事項その他必要な事項を後期高齢者医療広域連合に届け出なければならない。
2 被保険者の属する世帯の世帯主は、その世帯に属する被保険者に代わつて、当該被保険者に係る前項の規定による届出をすることができる。
本肢は、「届出等」に関する問題です。
ここまで細かい知識を押さえている方は少ないかもしれません。
しかし、「世帯主が代表者として世帯の被保険者に関する届け出ができないことはないでしょう」と思ってほしいところです。
そのような違和感に気づけば、他の選択肢とあわせて相対的に「×かもな」と絞れると思います。
本肢は×となり、本問の正解となります。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和4年第7問 C
後期高齢者医療広域連合は、後期高齢者医療広域連合の条例の定めるところにより、傷病手当金の支給その他の後期高齢者医療給付を行うことができる。
高齢者医療確保法第86条第2項
根拠条文を確認します。
第八十六条 後期高齢者医療広域連合は、被保険者の死亡に関しては、条例の定めるところにより、葬祭費の支給又は葬祭の給付を行うものとする。ただし、特別の理由があるときは、その全部又は一部を行わないことができる。
高齢者の医療の確保に関する法律
2 後期高齢者医療広域連合は、前項の給付のほか、後期高齢者医療広域連合の条例の定めるところにより、傷病手当金の支給その他の後期高齢者医療給付を行うことができる。
本肢は、「後期高齢者医療給付」に関する問題です。
こちらは条文そのままの問題ですね。
条例に定めることで、傷病手当金・その他の後期高齢者医療給付を行うことができる、とされています。
本肢は○です。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和4年第7問 D
市町村(特別区を含む。以下本問において同じ。)は、普通徴収の方法によって徴収する保険料の徴収の事務については、収入の確保及び被保険者の便益の増進に寄与すると認める場合に限り、政令で定めるところにより、私人に委託することができる。
高齢者医療確保法第114条
根拠条文を確認します。
(保険料の徴収の委託)
高齢者の医療の確保に関する法律
第百十四条 市町村は、普通徴収の方法によつて徴収する保険料の徴収の事務については、収入の確保及び被保険者の便益の増進に寄与すると認める場合に限り、政令で定めるところにより、私人に委託することができる。
本肢は、「保険料の徴収の委託」に関する問題です。
こちらも条文そのままの問題です。
実務をイメージしていただければ、なんでもかんでも市町村(に勤める公務員)が事務を行うことは不可能だと思います。
私人…とありますが、要は民間(企業)にいわゆる外部委託ができますよ、と言っているわけですね。
公務員の皆さんも大変ですから、このような条文が設けられているのかもしれません。
本肢は○です。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和4年第7問 E
後期高齢者医療給付に関する処分(被保険者証の交付の請求又は返還に関する処分を含む。)又は保険料その他高齢者医療確保法第4章の規定による徴収金(市町村及び後期高齢者医療広域連合が徴収するものに限る。)に関する処分に不服がある者は、後期高齢者医療審査会に審査請求をすることができる。
高齢者医療確保法第128条第1項
根拠条文を確認します。
(審査請求)
高齢者の医療の確保に関する法律
第百二十八条 後期高齢者医療給付に関する処分(被保険者証の交付の請求又は返還に関する処分を含む。)又は保険料その他この章の規定による徴収金(市町村及び後期高齢者医療広域連合が徴収するものに限る。)に関する処分に不服がある者は、後期高齢者医療審査会に審査請求をすることができる。
本肢は「審査請求」に関する問題です。
こちらも条文そのままの問題ですね。
行政が行うこと、処理することが100%正しい…とは言えません。
人間がしていることですので、誤り・勘違いもあります。
そのような場合に備えて、「審査請求」という「間違っていないかどうか確認してよ」とお願いができる救済ルートが設けられているわけですね。
本肢は○です。