社会保険労務士試験【労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識】<令和4年第2問>

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我が国の令和 3 年における労働時間制度に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、本問は、「令和 3 年就労条件総合調査(厚生労働省)」を参照しており、当該調査による用語及び統計等を利用している。

労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和4年第問 A

特別休暇制度の有無を企業規模計でみると、特別休暇制度のある企業の割合は約6割となっており、これを特別休暇制度の種類(複数回答)別にみると、「夏季休暇」が最も多くなっている。

解答の根拠

令和3年就労条件総合調査

根拠となる調査を確認します。

1 労働時間制度
(5) 特別休暇制度
夏季休暇、病気休暇等の特別休暇制度がある企業割合は 59.9%(令和2年調査 58.9%)となっており、これを特別休暇制度の種類(複数回答)別にみると、「夏季休暇」42.0%(同41.3%)、「病気休暇」23.8%(同 23.3%)、「リフレッシュ休暇」13.9%(同 13.1%)、「ボランティア休暇」4.5%(同 4.6%)、「教育訓練休暇」3.2%(同 4.3%)、「左記以外の1週間以上の長期の休暇」16.0%(同 16.0%)となっている

令和3年就労条件総合調査

本肢は、「就労条件総合調査」に関する問題です。

まず、本肢のテーマである「特別休暇」について、その内容・定義を確認しておきましょう。

本調査の当該調査結果の注釈として「「特別休暇」とは、法定休暇(年次有給休暇、産前・産後休暇、育児休業、介護休業、子の看護のための休暇等)以外に付与される休暇で、就業規則等で制度(慣行も含む。)として認められている休暇をいう。」との記載があります。

つまり、法律で企業に付与が義務付けられている休暇ではなく、企業独自の法定を上回る休暇のことを指しているわけですね。

では、それを踏まえて調査結果を確認すると、上記根拠として引用した部分にあるとおり、「夏季休暇、病気休暇等の特別休暇制度がある企業割合は59.9%となっており」とありますので、まず問題文の前半部分は正しいことがわかります。

そして「夏季休暇:42.0%」と、その他の特別休暇に比べて割合が高いこともわかりますので、後半部分も正しいことがわかります。

本肢は○です。

労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和4年第問 B

変形労働時間制の有無を企業規模計でみると、変形労働時間制を採用している企業の割合は約6割であり、これを変形労働時間制の種類(複数回答)別にみると、「1年単位の変形労働時間制」が「1か月単位の変形労働時間制」よりも多くなっている。

解答の根拠

令和3年就労条件総合調査

根拠となる調査を確認します。

1 労働時間制度
(6) 変形労働時間制
変形労働時間制を採用している企業割合は 59.6%(令和2年調査 59.6%)となっている。これを企業規模別にみると、「1,000 人以上」が 76.4%、「300~999 人」が 69.5%、「100~299 人」が 63.1%、「30~99 人」が 56.9%となっており、また、変形労働時間制の種類(複数回答)別にみると、「1年単位の変形労働時間制」が 31.4%、「1か月単位の変形労働時間制」が 25.0%、「フレックスタイム制」が 6.5%となっている。

令和3年就労条件総合調査

本肢は、「就労条件総合調査」に関する問題です。

根拠として引用した部分を確認すると、「変形労働時間制を採用している企業割合は59.6%」とありますので、まず前半部分は正しい記述です。

結構多いな…というのが私の感想ですが、皆さんはいかがでしょうか。

次に、その変形労働時間制の個々の採用割合を確認すると、
・1年単位の変形労働時間制:31.4%
・1か月単位の変形労働時間制:25.0%
・フレックスタイム制:6.5%

となっています。

したがって、問題文の後半部分にあるとおり「「1年単位の変形労働時間制」が「1か月単位の変形労働時間制」よりも多くなっている。」という調査結果であることがわかりますね。

本肢は○です。

労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和4年第問 C

主な週休制の形態を企業規模計でみると、完全週休2日制が6割を超えるようになった。

解答の根拠

令和3年就労条件総合調査

根拠となる調査を確認します。

1 労働時間制度
(2) 週休制
主な週休制の形態をみると、「何らかの週休2日制」を採用している企業割合は 83.5%(令和2年調査 82.5%)となっており、このうち「完全週休2日制」を採用している企業割合は 48.4%(同 44.9%)となっている。「完全週休2日制」を採用している企業を企業規模別にみると、「1,000 人以上」が 66.7%、「300~999 人」が 60.0%、「100~299 人」が 53.7%、「30~99 人」が 45.0%となっている。

令和3年就労条件総合調査

本肢は、「就労条件総合調査」に関する問題です。

本肢は、上記根拠として引用した部分にあるとおり、「「完全週休2日制」を採用している企業割合は48.4%」となっており、5割を切っている状態ですので、誤りとなります。

なお、完全週休二日制の定義ですが…
・完全週休二日制…1年間のすべての週で必ず2日間お休みがある制度
・週休二日制…月1回以上週休2日の週があるが、その他の週は1日以上のお休みがある制度

となり、「完全」がつくかつかないかでかなり意味合いが変わりますのでご注意ください。

本肢は×となり、本問の正解となります。

労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和4年第問 D

勤務間インターバル制度の導入状況を企業規模計でみると、「導入している」は1割に達していない。

解答の根拠

令和3年就労条件総合調査

根拠となる調査を確認します。

1 労働時間制度
(8) 勤務間インターバル制度
勤務間インターバル制度の導入状況別の企業割合をみると、「導入している」が 4.6%(令和2年調査 4.2%)、「導入を予定又は検討している」が 13.8%(同 15.9%)、「導入予定はなく、検討もしていない」が 80.2%(同 78.3%)となっている。

令和3年就労条件総合調査

本肢は、「就労条件総合調査」に関する問題です。

勤務間インターバルとは、「インターバル」つまり、ある日の終業から翌日の始業までに一定のインターバル(間隔)をあけること」を意味します。

夜遅く帰宅して、また翌日は朝早くおきて出社する…という状態が続けば、疲労はたまる一方ですよね。

そのため、企業によっては、「インターバル:11時間」というように設定し、例えば、ある日の終業時間が23時であったら、次の日の始業は10時以降にしましょう…という感じでルール化しています。

では、調査結果としてこのようなインターバルを設けている企業はどのくらいあるのかというと、上記根拠として引用した部分にあるとおり「「導入している」が4.6%」となっています。

導入もしていないし検討もしていない企業が8割を超えているので、なかなか浸透していくのが難しい様子がうかがえますね…。

本肢は○です。

労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和4年第問 E

労働者1人平均の年次有給休暇の取得率を企業規模別にみると、規模が大きくなるほど取得率が高くなっている。

解答の根拠

令和3年就労条件総合調査

根拠となる調査を確認します。

1 労働時間制度
(4) 年次有給休暇

令和3年就労条件総合調査

本肢は「就労条件総合調査」に関する問題です。

調査結果としては、上記根拠として引用した部分の通り、社員規模が大きくなるにつれて、取得率が高くなることがわかります。

では、この調査結果を知らなかったら、本問は解けないのでしょうか。

ここで「The常識力」を使ってみましょう。

有休は社員規模が大きい企業ほど取りやすいかどうか…と考えたときに「社員が多い=誰かが休んだときにカバーできる人が多い/社員が少ない=仕事が属人的になる・誰かが休んだ時にカバーできる人が少ない」と想像すると、やはり社員規模が大きいほど取得率が高そうだな、と考えられそうですね。

本肢は○です。

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