我が国の労働力に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、本問は、「労働力調査(基本集計)2021 年平均結果(総務省統計局)」を参照しており、当該調査による用語及び統計等を利用している。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和4年第1問 A
2021年の就業者数を産業別にみると、2020年に比べ最も減少したのは「宿泊業、飲食サービス業」であった。
労働力調査(基本集計)2021年平均結果
根拠となる調査を確認します。
第1 就業状態の動向
労働力調査(基本集計)2021年平均結果
2 就業者
(6)就業者が最も減少した産業は「宿泊業,飲食サービス業」で 22 万人の減少
就業者を産業別にみると,「宿泊業,飲食サービス業」は 2021 年平均で 369 万人と,前年に
比べ 22 万人の減少,「建設業」は 482 万人と 10 万人の減少,「生活関連サービス業,娯楽業」は 225 万人と 10 万人の減少などとなった。
一方,「医療,福祉」は 884 万人と 22 万人の増加となった。
本肢は、「労働力調査」に関する問題です。
まず初めに、この手の問題(統計・調査をベースにした問題)は、全部暗記することはできませんし、受験生であらゆる調査結果が頭に入っている…という人は絶対にいませんので、安心してください。
個人的な対策としては、
・過去問練習の際に触れられている調査については、一読してみる(暗記ではない)
・その中で、自分の常識や知識と違っていた意外な点(へぇ~そうだんだ)というポイントは特に注意して読んでおく
となります。
2つめのポイントは、私が良く使う「The常識力」に必要となります。
調査関連の問題の多くは「The常識力」…つまり、皆さんの常識で対応できると思っています。
しかし、中には自分の中の常識とはずれているものありますので、それらを押さえておけば安心…ということになります。
例えば、本肢をベースに解き方・観点を確認してみましょう。
2020年~2021年という時代や、飲食・宿泊業と聞いて、何かピンとくるものはありませんでしょうか…?
そうです!コロナが原因で、飲食業や宿泊業が大ダメージを受けたことに気づけば、「確かに就業者数が激減したのかもな…」となりますよね。
これが「The常識力」です。
本肢は○です。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和4年第1問 B
2021年の年齢階級別完全失業率をみると、15~24歳層が他の年齢層に比べて、最も高くなっている。
労働力調査(基本集計)2021年平均結果
根拠となる調査を確認します。
表11 年齢階級別完全失業率の推移
労働力調査(基本集計)2021年平均結果
本肢は、「労働力調査」に関する問題です。
これは悩んだ方も多いかもしれません。
なので、前提知識として、上記調査結果のとおり、2021年に限らず「常に15~24歳の完全失業率がほかの年代にくらべて高い」ということを、今回を機におさえておきましょう。
本肢は○です。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和4年第1問 C
2021年の労働力人口に占める65歳以上の割合は、10パーセントを超えている。
労働力調査(基本集計)2021年平均結果
根拠となる調査を確認します。
表1 年齢階級別労働力人口の推移
労働力調査(基本集計)2021年平均結果
本肢は、「労働力調査」に関する問題です。
これも「The常識力」で、「高齢化社会って言われているもんな…65歳以上の労働力人口も1割以上はいるんじゃないかな…」となるといいですね。
実際に計算してみますと、「929人÷6860人=13.5%」になり、10%を超えていることがわかります。
2014年あたりから10%を突破し、一貫して増えているようですね。
本肢は○です。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和4年第1問 D
従業上の地位別就業者数の推移をみると、「自営業主・家族従業者」の数は2011年以来、減少傾向にある。
労働力調査(基本集計)2021年平均結果
根拠となる調査を確認します。
図4 雇用者数と自営業主・家族従業者数の推移
労働力調査(基本集計)2021年平均結果
本肢は、「労働力調査」に関する問題です。
本肢の「The常識力」で、「自営業ってけっこうきついよね…商店街の八百屋さんや魚屋さんも、スーパーが近くにできて店をたたみ、シャッター通りになっているところも多そうだ…」となるといいですね。
実際に、上記グラフの通り、ずっと右肩下がりで減少している様子がわかります。
本肢は○です。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和4年第1問 E
役員を除く雇用者全体に占める「正規の職員・従業員」の割合は、2015年以来、一貫して減少傾向にある。
労働力調査(基本集計)2021年平均結果
根拠となる調査を確認します。
雇用形態,年齢階級別役員を除く雇用者の推移(割合)
労働力調査(基本集計)2021年平均結果
本肢は「労働力調査」に関する問題です。
本肢は判断に迷った方が多いのではないでしょうか。
問題全体としての解き方は、肢A~Dを○と判断し、消去法でEが誤り…となると良いと思います。
上記のとおり、
・2016(62.5)→2017(62.8)
・2019(61.8)→2020(62.9)
と「一貫して減少している」とは言えない調査結果となっています。
本肢は×となり、本問の正解となります。