被保険者の届出に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
雇用保険法 令和4年第3問 A
事業主は、その雇用する被保険者を当該事業主の1の事業所から他の事業所に転勤させた場合、両事業所が同じ公共職業安定所の管轄内にあっても、当該事実のあった日の翌日から起算して10日以内に雇用保険被保険者転勤届を提出しなければならない。
法第13条
根拠条文を確認します。
(被保険者の転勤の届出)
雇用保険法施行規則
第十三条 事業主は、その雇用する被保険者を当該事業主の一の事業所から他の事業所に転勤させたときは、当該事実のあつた日の翌日から起算して十日以内に雇用保険被保険者転勤届(様式第十号。以下「転勤届」という。)を転勤後の事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に提出しなければならない。
本肢は、「被保険者の転勤の届出」に関する問題です。
こちらは上記根拠条文そのままですので、基礎知識としてしっかりとおさえておきましょう。
ちなみに、総務や人事の手続きをしている方で、「あれ?社内で異動をさせて事業所が変わっても、転勤届なんて提出したことがないな…」と思い、本肢を×としてしまった方、いないでしょうか。
そのようなケースは、働く場所…例えば本社から支社に異動したなど…は変わっていますが、「事業所(多くは「本社」に所属する社員としているケースが多い)」としては変更が生じていませんよね。
本肢のケースは、同じ事業主でも別法人など「事業所が異なる」ケースの話となりますので、そのような変動が生じた場合に必要な手続きとなります。
本肢は○です。
雇用保険法 令和4年第3問 B
事業主は、事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に提出する所定の資格取得届を、年金事務所を経由して提出することができる。
則第6条第2項
根拠条文を確認します。
(被保険者となつたことの届出)
雇用保険法施行規則
第六条
2 前項の規定によりその事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に提出する資格取得届(様式第二号によるものに限る。)は、年金事務所を経由して提出することができる。
本肢は、「被保険者となったことの届出」に関する問題です。
原則としては、雇用保険法関係の届出は、「公共職業安定所」の長に提出します。
しかし、上記根拠条文のとおり、年金事務所を経由して提出することができる届出もありますので、テキストや問題演習で出てきたら、その都度おさえておきましょう。
本肢は○です。
雇用保険法 令和4年第3問 C
事業主は、その雇用する労働者が当該事業主の行う適用事業に係る被保険者でなくなったことについて、当該事実のあった日の属する月の翌月10日までに、雇用保険被保険者資格喪失届に必要に応じ所定の書類を添えて、その事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に提出しなければならない。
法第7条 / 則第7条第1項
根拠条文を確認します。
(被保険者でなくなつたことの届出)
雇用保険法施行規則
第七条 事業主は、法第七条の規定により、その雇用する労働者が当該事業主の行う適用事業に係る被保険者でなくなつたことについて、当該事実のあつた日の翌日から起算して十日以内に、雇用保険被保険者資格喪失届(様式第四号又は様式第四号の二。以下「資格喪失届」という。)に労働契約に係る契約書、労働者名簿、賃金台帳、登記事項証明書その他の当該適用事業に係る被保険者でなくなつたことの事実及びその事実のあつた年月日を証明することができる書類を添えてその事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に提出しなければならない。この場合において、当該適用事業に係る被保険者でなくなつたことの原因が離職であるときは、当該資格喪失届に、次の各号に掲げる者の区分に応じ、当該各号に定める書類を添えなければならない。
(略)
本肢は、「被保険者でなくなつたことの届出」に関する問題です。
本肢も基本的事項ですので、しっかりとおさえておきましょう。
・~の10日以内
・~の日が属する日の翌月10日まで
このひっかけは忘れたころにやってきます。
注意して問題文を読んでいないと、スルーして気づかない可能性もありますので、このような「提出期限問題」が出た場合には、鉛筆・シャーペンでゴリゴリと○をつけて、自分の意識にはっきりと認識させるようにしましょう。
本肢は×となり、本問の正解となります。
雇用保険法 令和4年第3問 D
事業年度開始の時における資本金の額が1億円を超える法人は、その雇用する労働者が当該事業主の行う適用事業に係る被保険者となったことについて、資格取得届に記載すべき事項を、電気通信回線の故障、災害その他の理由がない限り電子情報処理組織を使用して提出するものとされている。
則第6条第9項
根拠条文を確認します。
(被保険者となつたことの届出)
雇用保険法施行規則
第六条
9 第一項の届出は、特定法人(事業年度(法人税法(昭和四十年法律第三十四号)第十三条及び第十四条に規定する事業年度をいう。)開始の時における資本金の額、出資金の額若しくは銀行等保有株式取得機構がその会員から銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律(平成十三年法律第百三十一号)第四十一条第一項及び第三項の規定により納付された同条第一項の当初拠出金の額及び同条第三項の売却時拠出金の額の合計額が一億円を超える法人、保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第五項に規定する相互会社、投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第二条第十二項に規定する投資法人又は資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第二条第三項に規定する特定目的会社をいう。以下同じ。)にあつては、資格取得届の提出に代えて資格取得届に記載すべき事項を電子情報処理組織(政府の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下この項において同じ。)と特定法人の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。第百四十五条を除き、以下同じ。)を使用して提出することにより行うものとする。ただし、電気通信回線の故障、災害その他の理由により電子情報処理組織を使用することが困難であると認められる場合で、かつ、電子情報処理組織を使用しないで当該届出を行うことができると認められる場合は、この限りでない。
本肢は、「被保険者となつたことの届出」に関する問題です。
事業年度開始の時における資本金の額が1億円を超える法人等は、上記根拠条文のとおり「特定法人」と呼ばれます。
この「特定法人」の資格取得届の提出に関しては、資格取得届に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用して提出することにより行うものとするとされています。
規模が大きいのでデータで申請してほしいな…という感じでしょうかね。
もちろん、但書で、いろいろな事情でそれが難しい場合の例外についても定められていますので、あわせておさえておきましょう。
本肢は○です。
雇用保険法 令和4年第3問 E
事業主は、59歳以上の労働者が当該事業主の行う適用事業に係る被保険者でなくなるとき、当該労働者が雇用保険被保険者離職票の交付を希望しないときでも資格喪失届を提出する際に雇用保険被保険者離職証明書を添えなければならない。
則第7条第3項
根拠条文を確認します。
(被保険者でなくなつたことの届出)
雇用保険法施行規則
第七条
3 事業主は、第一項の規定により当該資格喪失届を提出する際に当該被保険者が雇用保険被保険者離職票(様式第六号。以下「離職票」という。)の交付を希望しないときは、同項後段の規定にかかわらず、離職証明書を添えないことができる。ただし、離職の日において五十九歳以上である被保険者については、この限りでない。
本肢は「被保険者でなくなつたことの届出」に関する問題です。
離職証明書の添付については、下記のように整理できますので、ぜひ確認してください。
●離職証明書の添付
①離職票の交付を希望するか否か
→希望する…添付必要
→希望しない…②年齢が
→59歳未満…添付不要
→59歳以上…添付必要
したがって、本肢のケースは、「希望しないが、59歳以上 → 添付必要」となります。
本肢は○です。