社会保険労務士試験【国民年金法】<令和3年第6問>

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厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

国民年金法 令和3年第6問 A

共済組合等が行った障害基礎年金に係る障害の程度の診査に関する処分に不服がある者は、当該共済組合等に係る共済各法(国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法及び私立学校教職員共済法)に定める審査機関に対して当該処分の審査請求をすることはできるが、社会保険審査官に対して審査請求をすることはできない。

解答の根拠

法第101条第1項・第6項

根拠条文を確認します。

(不服申立て)
第百一条 被保険者の資格に関する処分、給付に関する処分(共済組合等が行つた障害基礎年金に係る障害の程度の診査に関する処分を除く。)又は保険料その他この法律の規定による徴収金に関する処分に不服がある者は、社会保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服がある者は、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる。ただし、第十四条の四第一項又は第二項の規定による決定については、この限りでない。
(略)
 共済組合等が行つた障害基礎年金に係る障害の程度の診査に関する処分に不服がある者は、当該共済組合等に係る共済各法(国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)、地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)及び私立学校教職員共済法をいう。以下この項において同じ。)の定めるところにより、当該共済各法に定める審査機関に審査請求をすることができる。
(略)

国民年金法

本肢は、「障害基礎年金関連の不服申立て」に関する問題です。

まず、「被保険者の資格に関する処分、給付に関する処分、保険料その他この法律の規定による徴収金に関する処分に不服がある者」は、原則として第1項にあるとおり
・社会保険審査に対して審査請求
↓その決定に不服がある場合
・社会保険審査に対して再審査請求
となっています。

ただし、第1項のかっこに「(共済組合等が行つた障害基礎年金に係る障害の程度の診査に関する処分を除く。)」とあり、このポイントが例外として第6項に定めてあります。

その内容は、「共済組合等が行った障害基礎年金の障害の程度の審査に関する処分に不服がある者は、共済各法に定める審査機関に審査請求をすることができる」となっており、審査請求先が異なっているわけですね。

したがって、問題文のケースでは、社会保険審査官に対して審査請求をすることはできないこととなります。

本肢は○です。

国民年金法 令和3年第6問 B

配偶者が遺族基礎年金の受給権を取得した当時胎児であった子が生まれたときは、その子は、配偶者がその権利を取得した当時遺族基礎年金の遺族の範囲に該当し、かつ、死亡した被保険者又は被保険者であった者と生計を同じくした子とみなされるため、遺族基礎年金の額は被保険者又は被保険者であった者の死亡した日の属する月の翌月にさかのぼって改定される。

解答の根拠

法第39条第2項

根拠条文を確認します。

第三十九条
 配偶者が遺族基礎年金の受給権を取得した当時胎児であつた子が生まれたときは、前項の規定の適用については、その子は、配偶者がその権利を取得した当時第三十七条の二第一項に規定する要件に該当し、かつ、その者と生計を同じくした子とみなし、その生まれた日の属する月の翌月から、遺族基礎年金の額を改定する

国民年金法

本肢は、「遺族基礎年金」に関する問題です。

配偶者が遺族基礎年金の受給権を取得したときに、胎児であつた子が生まれたときは、遺族基礎年金に影響はあるのでしょうか。

結論としては、上記根拠条文のとおり、「誕生日の属する月の翌月から遺族基礎年金の額を改定する」となります。

問題文では「被保険者の死亡日までさかのぼって改定する」となっていますが、そこまでの対応はしないわけですね。

本肢は×となり、本問の正解となります。

国民年金法 令和3年第6問 C

死亡一時金の給付を受ける権利の裁定の請求の受理及び当該請求に係る事実についての審査に関する事務は、市町村長(特別区の区長を含む。)が行う。また当該請求を行うべき市町村(特別区を含む。以下本問において同じ。)は、当該請求者の住所地の市町村である。

解答の根拠

法第3条第3項 / 則第62条 / 令第1条の2第3号ヘ

根拠条文を確認します。

(管掌)
第三条
 国民年金事業の事務の一部は、政令の定めるところにより、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)が行うこととすることができる。

国民年金法

(経由)
第六十二条 令第一条の二第三号ヘに規定する給付の請求を行うべき市町村は、当該請求者の住所地の市町村とする。

国民年金法施行規則

(市町村が処理する事務)
第一条の二
 法第十六条に規定する給付を受ける権利の裁定(次に掲げる給付を受ける権利の裁定に限る。)の請求の受理及びその請求に係る事実についての審査に関する事務
イ~ホ(略)
 死亡一時金
(略)

国民年金法施行令

本肢は、「死亡一時金の事務」に関する問題です。

まず、国民年金法の事務は、上記根拠条文の法第3条第3項にあるとおり「市町村長が行う」こととされています。

また、死亡一時金の給付の請求については、上記根拠条文をたどってみますと…
・施行規則第62条…令第1条の2第3号へに規定する給付の請求を行う➡当該請求者の住民地の市町村
令第1条の2第3号へ…死亡一時金
という構成になっています。

したがって、結論としては問題文の内容が正しい、となります。

本肢は○です。

国民年金法 令和3年第6問 D

被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が出生したことによる遺族基礎年金についての裁定請求は、遺族基礎年金の受給権者が同時に当該遺族基礎年金と同一の支給事由に基づく遺族厚生年金の受給権を有する場合においては、厚生年金保険法第33条の規定による当該遺族厚生年金の裁定の請求に併せて行わなければならない。

解答の根拠

則第40条第5項

根拠条文を確認します。

(裁定の請求の特例)
第四十条
 第一項の裁定の請求は、遺族基礎年金の受給権者が同時に当該遺族基礎年金と同一の支給事由に基づく遺族厚生年金の受給権を有する場合においては、厚生年金保険法第三十三条の規定による当該遺族厚生年金の裁定の請求に併せて行わなければならない。この場合において、第一項の請求書に記載することとされた事項及び第三項の規定により第一項の請求書に添えなければならないこととされた書類のうち当該遺族厚生年金の裁定請求書に記載し、又は添えたものについては、第一項及び第三項の規定にかかわらず、第一項の請求書に記載し、又は添えることを要しないものとする。

国民年金法施行規則

本肢は、「裁定の請求の特例」に関する問題です。

問題文のケースのように、同一の支給事由に基づく遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給権が同時に発生した場合に、どのように請求をするのか、という点が論点になります。

結論としては、上記根拠条文にあるとおり「一緒に請求しましょう」となります。

事務手続きはなるべく簡素化・効率化する…という視点に立てば、このようになりますね。

本肢は○です。

国民年金法 令和3年第6問 E

保険料の一部免除の規定によりその一部の額につき納付することを要しないものとされた保険料につき、その残余の額が納付又は徴収された期間、例えば半額免除の規定が適用され免除されない残りの部分(半額)の額が納付又は徴収された期間は、保険料納付済期間ではなく保険料半額免除期間となる。

解答の根拠

法第5条第1項・第5項

根拠条文を確認します。

第五条 この法律において、「保険料納付済期間」とは、第七条第一項第一号に規定する被保険者としての被保険者期間のうち納付された保険料(第九十六条の規定により徴収された保険料を含み、第九十条の二第一項から第三項までの規定によりその一部の額につき納付することを要しないものとされた保険料につきその残余の額が納付又は徴収されたものを除く。以下同じ。)に係るもの及び第八十八条の二の規定により納付することを要しないものとされた保険料に係るもの、第七条第一項第二号に規定する被保険者としての被保険者期間並びに同項第三号に規定する被保険者としての被保険者期間を合算した期間をいう。
2~4(略)
 この法律において、「保険料半額免除期間」とは、第七条第一項第一号に規定する被保険者としての被保険者期間であつて第九十条の二第二項の規定によりその半額につき納付することを要しないものとされた保険料(納付することを要しないものとされた半額以外の半額につき納付されたものに限る。)に係るもののうち、第九十四条第四項の規定により納付されたものとみなされる保険料に係る被保険者期間を除いたものを合算した期間をいう。

国民年金法

本肢は「保険料納付済期間の定義」に関する問題です。

上記根拠条文にあるとおり、法第5条第1項に「保険料納付済期間」が定義されています。

それによると、かっこ書きに「第90条の2第1項から第3項までの規定によりその一部の額につき納付することを要しないものとされた保険料につきその残余の額が納付又は徴収されたものを除く」とされています。

この「第90条の2第1項から第3項」というのは、
・第1項…4分の3免除
・第2項…半額免除
・第3項…4分の1免除

を指しています。

上記の中で、問題文では「例えば半額免除…」と続きますが、まずはこれらの一部免除は「保険料納付済期間」からは除かれている、とおさえておいてください。

では、一部免除の期間は、何の期間されるのか…。

問題文には「半額免除」とありますので、半額免除の期間が何の期間としてされるのかを確認しましょう。

上記根拠条文、同条の第5項に「保険料半額免除期間」の定義があり、この期間に該当することになりますね(そのままじゃん!という感じですが)

本肢は○です。

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