健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
健康保険法 令和7年第10問 A
保険者は、震災、風水害、火災その他これらに類する災害により、住宅、家財又はその他の財産について著しい損害を受けた被保険者であって、保険医療機関又は保険薬局に一部負担金を支払うことが困難であると認められるものに対し、一部負担金を減額することや一部負担金の支払を免除すること、保険医療機関又は保険薬局に対する支払に代えて一部負担金を直接に徴収することとし、その徴収を猶予することができるが、一部負担金等の徴収猶予については当該被保険者の申請により、6か月以内の期間を限って行うものとされている。
法第75条の2第1項 / 健康保険及び船員保険における一部負担金等の徴収猶予及び減免の取扱いについて(平成18年9月14日保保発0914001号)
根拠条文・通達を確認します。
(一部負担金の額の特例)
第七十五条の二 保険者は、災害その他の厚生労働省令で定める特別の事情がある被保険者であって、保険医療機関又は保険薬局に第七十四条第一項の規定による一部負担金を支払うことが困難であると認められるものに対し、次の措置を採ることができる。
一 一部負担金を減額すること。
二 一部負担金の支払を免除すること。
三 保険医療機関又は保険薬局に対する支払に代えて、一部負担金を直接に徴収することとし、その徴収を猶予すること。健康保険法
第1 健康保険関係
1 一部負担金等の徴収猶予
(略)当該被保険者の申請により、6ヶ月以内の期間を限って(略)自己負担額の徴収を猶予するものとすることができること。健康保険及び船員保険における一部負担金等の徴収猶予及び減免の取扱いについて(平成18年9月14日保保発0914001号)
本肢は「一部負担金の額の特例」に関する問題です。
上記根拠条文にあるとおり、保険者は、被保険者が、震災、風水害、火災等の災害により、住宅、家財等について著しい損害を受け、一部負担金を支払うことが困難であると認められるものに対し、次の措置を採ることができます。
1. 一部負担金を減額すること。
2. 一部負担金の支払を免除すること。
3. 保険医療機関又は保険薬局に対する支払に代えて、一部負担金を直接に徴収することとし、その徴収を猶予すること。
また、一部負担金の徴収の猶予は、6か月以内の期間に限るとされています。
本肢は○です。
健康保険法 令和7年第10問 B
同一の月に同一の保険医療機関において、入院中に脳神経外科で手術し、退院後に外来で脳神経内科を受診した場合、高額療養費の算定上、同一の保険医療機関で受けた療養とみなされる。
高額療養費支給事務の取扱いについて(昭和48年10月17日庁保険発18号保険発95号)
根拠通達を確認します。
1 支給要件に関する事項
高額療養費の支給要件については、健康保険法施行令第七十四条および船員保険法施行令第三条の二に規定されたが、その具体的な取扱いは、次によつて行なうものであること。
(1) 現物給付にかかる高額療養費の取扱い
現物給付扱いとされている家族療養費にかかる高額療養費については、診療報酬請求明細書または調剤報酬請求明細書(以下「レセプト」という。)各一件に基づき、支給を行なうものであること。すなわち、レセプトの作成は、次の単位によつて作成されるものであることから、高額療養費についても、その単位に応じて作成されたレセプトごとにそれぞれ支給要件に該当するか否かを判定するものであること。
(1) 病院(総合病院にあつては、各診療科)、診療所、薬局別となる。ただし、総合病院であつても、入院患者が他の診療科の診療を受けたときは、各科のレセプトを編綴する等により一件として取扱うこととされている。
(2) 医科と歯科を併せ有する医療機関にあつては、医科、歯科別となる。
(3) 同一医療機関であつても、入院診療分と通院診療分とは、それぞれ区別される。高額療養費支給事務の取扱いについて(昭和48年10月17日庁保険発18号保険発95号)
本肢は「高額療養費の支給要件」に関する問題です。
上記根拠通達の通り、高額療養費支給事務の取扱いについては、以下のルールがあります。
(1) 病院、診療所、薬局別となる。
(2) 医科と歯科を併せ有する医療機関にあっては、医科、歯科別となる。
(3) 同一医療機関であっても、入院診療分と通院診療分とは、それぞれ区別される。
問題文のケースでは、同一医療機関での入院+外来となっていますが、上記の(3)に該当します。
そのため、高額療養費の算定上、同一の保険医療機関で受けた療養とはされません。
本肢は×となり、本問の正解となります。
健康保険法 令和7年第10問 C
不妊治療の経済的負担の軽減を図るため、近年高額の医療費がかかる不妊治療に要する費用に対する助成や支援が拡充され、令和4年度からは一般不妊治療や生殖補助医療が新たに保険適用されたところであるが、医療上必要があると認められない、患者の都合による精子の凍結又は融解を行った場合には健康保険法における選定療養の対象とされる。
令和6年3月27日厚生労働省告示
本肢は「選定療養」に関する問題です。
本肢は、問題文のとおり正しい内容となります。
・不妊治療の経済的負担の軽減を図るため、近年高額の医療費がかかる不妊治療に要する費用に対する助成や支援が拡充され、令和4年度からは一般不妊治療や生殖補助医療が新たに保険適用されています。
・医療上必要があると認められない、患者の都合による精子の凍結又は融解を行った場合には健康保険法における選定療養の対象とされます。
本肢は○です。
健康保険法 令和7年第10問 D
被保険者(年収300万円)と同居している母(58歳、障害者ではない。)は、年額100万円の遺族年金を受給しながらパートタイム労働者として勤務しているが、健康保険の被保険者にはなっていない。このとき、母のパートタイム労働者としての給与の年間収入額が120万円であった場合、母は当該被保険者の被扶養者になることができない。
収入がある者についての被扶養者の認定について(平成5年3月5日保発15号庁保発4号)
根拠通達を確認します。
1 被扶養者としての届出に係る者(以下「認定対象者」という。)が被保険者と同一世帯に属している場合
(1) 認定対象者の年間収入が一三〇万円未満(認定対象者が六〇歳以上の者である場合又は概ね厚生年金保険法による障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者である場合にあっては一八〇万円未満)であって、かつ、被保険者の年間収入の二分の一未満である場合は、原則として被扶養者に該当するものとすること。
(2) 前記(1)の条件に該当しない場合であっても、当該認定対象者の年間収入が一三〇万円未満(認定対象者が六〇歳以上の者である場合又は概ね厚生年金保険法による障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者である場合にあっては一八〇万円未満)であって、かつ、被保険者の年間収入を上廻らない場合には、当該世帯の生計の状況を総合的に勘案して、当該被保険者がその世帯の生計維持の中心的役割を果たしていると認められるときは、被扶養者に該当するものとして差し支えないこと。収入がある者についての被扶養者の認定について(平成5年3月5日保発15号庁保発4号)
本肢は「被扶養者認定」に関する問題です。
対象者が同一世帯に属している場合の扶養認定の条件は下記の通りです。
①認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満。また、認定対象者(被保険者の配偶者を除く。)が19歳以上23歳未満である場合は150万円未満。)
かつ
②被保険者の年間収入の2分の1未満である場合
問題文のケースでは、母の年間収入の合計額は、遺族年金:100万円+母のパートタイム労働者としての給与の年間収入額:120万円=合計220万円となり、年間収入基準の130万円を超えているため、母は当該被保険者の被扶養者になることはできません。
本肢は○です。
健康保険法 令和7年第10問 E
被保険者(年収500万円)と別居している単身世帯の父(68歳、障害者ではない。)が、日本国内に住所を有するものであって、年額130万円の老齢年金を受給しながら被保険者から年額150万円の援助を受けている場合には、父は当該被保険者の被扶養者になることができる。なお、父は老齢年金以外の収入はないものとする。
収入がある者についての被扶養者の認定について(平成5年3月5日保発15号庁保発4号)
根拠通達を確認します。
2 認定対象者が被保険者と同一世帯に属していない場合
認定対象者の年間収入が、一三〇万円未満(認定対象者が六〇歳以上の者である場合又は概ね厚生年金保険法による障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者である場合にあっては一八〇万円未満)であって、かつ、被保険者からの援助に依る収入額より少ない場合には、原則として被扶養者に該当するものとすること。収入がある者についての被扶養者の認定について(平成5年3月5日保発15号庁保発4号)
本肢は「被扶養者認定」に関する問題です。
対象者が同一世帯に属していない場合の扶養認定の条件は下記の通りです。
①認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満。また、認定対象者(被保険者の配偶者を除く。)が19歳以上23歳未満である場合は150万円未満。)
かつ
②被保険者からの援助による収入額より少ない場合
問題文のケースでは、
①父の年間収入は130万円→60歳以上のため基準額の180万円よりも少ない
②父の年間収入は130万円→被保険者からの援助150万円よりも少ない
以上から、被扶養者となります。
本肢は○です。


