雇用保険適用事業所に係る届出に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、本問における事業主は、労働保険事務組合に雇用保険事務を委託しない者である。
雇用保険法 令和7年第2問 A
事業の種類を変更した事業所の事業主は、その変更があった事項及び変更の年月日を記載した届書を、その変更があった日の翌日から起算して10日以内に、その事業所の所在地を管轄する公共職業安定所長に提出しなければならない。
則第142条第1項
根拠条文を確認します。
第百四十二条 事業主は、その氏名若しくは住所又は前条第一項第一号若しくは第二号に掲げる事項に変更があつたときは、その変更があつた事項及び変更の年月日を記載した届書に登記事項証明書、賃金台帳、労働者名簿その他の当該各号に掲げる事項に変更があつたことを証明することができる書類を添えて、その変更があつた日の翌日から起算して十日以内に、その事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に提出しなければならない。
雇用保険法施行規則
本肢は「届出に関する問題です。
事業に関して、事業主の氏名や問題文にある事業の種類などを変更した場合は、
・変更があつた日の翌日から起算して十日以内に
・所在地を管轄する公共職業安定所の長に
届出をしなければらないとされています。
本肢は○です。
雇用保険法 令和7年第2問 B
会社の合併を理由として事業所を廃止する事業主は、当該事業所の所在地を管轄する公共職業安定所長に対し、当該事業所の合併に係る契約書等必要な書類を添付して事業所廃止届を提出しなければならない。
雇用保険に関する業務取扱要領22301
根拠となる要領を確認します。
22301(1)事業所廃止届の提出等
(ハ) 当該廃止に係る事業所の廃止理由が会社の合併又は事業の譲渡に伴うものである場合には、当該事業所の合併に係る契約書、事業譲渡に係る契約書、財産目録、売買契約書、新旧事業主の事業実態等がわかる証明書(以下の様式による)のいずれか必要なものを添付させる。雇用保険に関する業務取扱要領
本肢は「事業所廃止届の提出等」に関する問題です。
会社の合併を理由として事業所を廃止する場合には届出をしなければなりませんが、その事業所廃止届には
・合併に係る契約書
・事業譲渡に係る契約書
・財産目録
・売買契約書
・新旧事業主の事業実態等がわかる証明書
のいずれかを添付する必要があります。
本肢は○です。
雇用保険法 令和7年第2問 C
製造販売の事業を行う事業所から製造部門が分離され、それぞれ独立した事業所となって事業所が2つに分割された場合、分割された事業所のうち従たる事業所について、その事業所の所在地を管轄する公共職業安定所長に、事業所の設置を届け出なければならない。
雇用保険に関する業務取扱要領22101
根拠となる要領を確認します。
22101(1)事業所が分割又は統合された場合の事務処理
ホ 事業所の分割又は統合が行われた場合における事業所の設置又は廃止の届出は、従たる事業所について行い、主たる事業所については、行う必要がない。雇用保険に関する業務取扱要領
本肢は「事業所が分割された場合の事務処理」に関する問題です。
一つの事業所が二つに分割された場合は、従たる事業所のみ設置届を行うこととされています。
主たる事業所は、分割前の状態をそのまま維持するイメージですね。
本肢は○です。
雇用保険法 令和7年第2問 D
事業主が行わなければならない事項を行わせる代理人を選任していた事業主が、当該事業所を廃止したことに伴い当該代理人を解任したときは、当該廃止した事業所の所在地を管轄する公共職業安定所長に対して雇用保険代理人解任届を提出しなければならない。
雇用保険に関する業務取扱要領22402
根拠となる要領を確認します。
22402(2)雇用保険代理人解任届に関する事務
イ 事業主は、選任した代理人を解任したときは、雇用保険代理人選任届提出の場合に準じて雇用保険代理人解任届を提出しなければならない。 なお、代理人の解任がその事業所の廃止に伴うものであるときは、改めて代理人解任届を提出する必要はない。ただし、事業所廃止届を提出すべきことは当然である。雇用保険に関する業務取扱要領
本肢は「雇用保険代理人解任届に関する事務」に関する問題です。
事業主が行わなければならない事項を行わせる代理人を選任していた事業主が、当該代理人を解任したときは、解任届を提出するのが原則です。
しかし、その解任が事業所の廃止に伴うものであるときは、解任届を提出する必要はありません。
事業所を廃止する届を出せば、代理人を解任することは当然のため、その当然のことについてあえて別の届出をする必要はない、ということになります。
本肢は×となり、本問の正解となります。
雇用保険法 令和7年第2問 E
事業主は、雇用保険事業所非該当承認を受けていた施設が事業拡大により一の事業所と認められるに至った場合、当該事業所の所在地を管轄する公共職業安定所長に事業所設置届を提出しなければならない。
雇用保険に関する業務取扱要領22054
根拠となる要領を確認します。
22054(4)事業所非該当の施設が一の事業所と認められるに至った場合の事務処理
事業主は、事業所の組織の変更等により従来事業所非該当の施設として取り扱われていたものを以後一の事業所として取り扱おうとするときは、当該事業所について事業所設置届を提出しなければならない。雇用保険に関する業務取扱要領
本肢は「事業所非該当の施設が一の事業所と認められるに至った場合の事務処理」に関する問題です。
問題文にあるように、事業拡大など組織の変更などで、もともと事業所非該当→該当となる場合は、もちろん届出が必要です。
本肢は○です。


