国民年金の適用に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
国民年金法 令和6年第4問 A
技能実習の在留資格で日本に在留する外国人は、実習実施者が厚生年金保険の適用事業所の場合、講習期間及び実習期間は厚生年金保険の対象となるため、国民年金には加入する必要がない。
法第7条第1項
根拠条文を確認します。
(被保険者の資格)
第七条 次の各号のいずれかに該当する者は、国民年金の被保険者とする。
一 日本国内に住所を有する二十歳以上六十歳未満の者であつて次号及び第三号のいずれにも該当しないもの(厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)に基づく老齢を支給事由とする年金たる保険給付その他の老齢又は退職を支給事由とする給付であつて政令で定めるもの(以下「厚生年金保険法に基づく老齢給付等」という。)を受けることができる者その他この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く。以下「第一号被保険者」という。)国民年金法
本肢は、「被保険者資格」に関する問題です。
外国人技能実習生は、問題文にある「講習期間」と「実習期間」で対応が異なります。
・講習期間…国民年金
・実習期間…厚生年金 or 国民年金(実施実習者が厚生年金の適用事業所か否かで決まる)
したがって「講習期間」についての記載が誤りとなります。
本肢は×です。
国民年金法 令和6年第4問 B
日本から外国に留学する20歳以上65歳未満の日本国籍を有する留学生は、留学前に居住していた市町村(特別区を含む。)の窓口に、海外への転出届を提出して住民票を消除している場合であっても、国民年金の被保険者になることができる。
法附則第5条第1項第3号
根拠条文を確認します。
(任意加入被保険者)
第五条 次の各号のいずれかに該当する者(第二号被保険者及び第三号被保険者を除く。)は、第七条第一項の規定にかかわらず、厚生労働大臣に申し出て、被保険者となることができる。
一 日本国内に住所を有する二十歳以上六十歳未満の者であつて、厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができるもの(この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く。)
二 日本国内に住所を有する六十歳以上六十五歳未満の者(この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く。)
三 日本国籍を有する者その他政令で定める者であつて、日本国内に住所を有しない二十歳以上六十五歳未満のもの国民年金法附則
本肢は、「任意加入被保険者」に関する問題です。
問題文にある「留学生」は、上記根拠条文の「三 日本国籍を有する者その他政令で定める者であつて、日本国内に住所を有しない二十歳以上六十五歳未満のもの」に該当します。
特に、住民票を消除している場合は除く…等の例外はなく、厚生労働大臣に申し出て「任意加入被保険者」となることができます。
本肢は○となり、本問の正解となります。
国民年金法 令和6年第4問 C
留学の在留資格で中長期在留者として日本に在留する20歳以上60歳未満の留学生は、住民基本台帳法第30条の46の規定による届出をした年月日に第1号被保険者の資格を取得する。
法d愛8条第1項第2号
根拠条文を確認します。
(資格取得の時期)
第八条 前条の規定による被保険者は、同条第一項第二号及び第三号のいずれにも該当しない者については第一号から第三号までのいずれかに該当するに至つた日に、二十歳未満の者又は六十歳以上の者については第四号に該当するに至つた日に、その他の者については同号又は第五号のいずれかに該当するに至つた日に、それぞれ被保険者の資格を取得する。
二 日本国内に住所を有するに至つたとき。国民年金法
本肢は、「資格取得の時期」に関する問題です。
問題文のケースの資格取得の時期は、「届出をした日」ではなく、「日本国内に住所を有するに至ったとき」とされています。
本肢は×です。
国民年金法 令和6年第4問 D
第3号被保険者が配偶者を伴わずに単身で日本から外国に留学すると、日本国内居住要件を満たさなくなるため、第3号被保険者の資格を喪失する。
法第7条第1項第3号 / 則第1条の3第1号
根拠条文を確認します。
(被保険者の資格)
第七条 次の各号のいずれかに該当する者は、国民年金の被保険者とする。
三 第二号被保険者の配偶者(日本国内に住所を有する者又は外国において留学をする学生その他の日本国内に住所を有しないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者として厚生労働省令で定める者に限る。)であつて主として第二号被保険者の収入により生計を維持するもの(第二号被保険者である者その他この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除く。以下「被扶養配偶者」という。)のうち二十歳以上六十歳未満のもの(以下「第三号被保険者」という。)国民年金法
(法第七条第一項第三号に規定する日本国内に住所を有しないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者として厚生労働省令で定める者)
第一条の三 法第七条第一項第三号の厚生労働省令で定める者は、次に掲げる者とする。
一 外国において留学をする学生国民年金法施行規則
本肢は、「被保険者資格」に関する問題です。
第3号被保険者となるのは、原則として「第2号被保険者の配偶者」です。
この規定には上記根拠条文にあるとおりかっこ書きの補足があり、「日本国内に生活の基礎があると認められる者として厚生労働省令で定める者に限る」と定められています。
その、「厚生労働省令で定める者」の一つに、「外国において留学をする学生」があります。
したがって、問題文のケースでは、第3号被保険者の資格は喪失しません。
本肢は×です。
国民年金法 令和6年第4問 E
第2号被保険者は、原則として70歳に到達して厚生年金保険の被保険者の資格を喪失した時に第2号被保険者の資格を喪失するため、当該第2号被保険者の配偶者である第3号被保険者は、それに連動してその資格を喪失することになる。
法第9条第1項第5号
根拠条文を確認します。
(資格喪失の時期)
第九条 第七条の規定による被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至つた日の翌日(第二号に該当するに至つた日に更に第七条第一項第二号若しくは第三号に該当するに至つたとき又は第三号から第五号までのいずれかに該当するに至つたとき(第四号については、厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができる者となつたときに限る。)は、その日)に、被保険者の資格を喪失する。
五 厚生年金保険の被保険者の資格を喪失したとき(第七条第一項各号のいずれかに該当するときを除く。)。
本肢は、「資格喪失時期」に関する問題です。
問題文のようなケースで、第3号被保険者の要件を満たさなくなった場合は、資格喪失をするのではなく「種別の変更」に該当して第1号被保険者となります。
本肢は×です。