社会保険労務士試験【厚生年金保険法】<令和6年第8問>

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厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

厚生年金保険法 令和6年第8問 A

脱退一時金の支給額は、被保険者であった期間の平均標準報酬額に支給率を乗じた額である。この支給率は、最終月(最後に被保険者の資格を喪失した日の属する月の前月)の属する年の前年10月(最終月が1月から8月までの場合は、前々年10月)の保険料率に2分の1を乗じて得た率に、被保険者であった期間に応じて政令で定める数を乗じて得た率である。なお、当該政令で定める数の最大値は60である。

解答の根拠

令12条の2

根拠条文を確認します。

(日本国籍を有しない者に対する脱退一時金の支給)
第二十九条
 前項の支給率は、最終月(最後に被保険者の資格を喪失した日の属する月の前月をいう。以下この項において同じ。)の属する年の前年十月の保険料率(最終月が一月から八月までの場合にあつては、前々年十月の保険料率)に二分の一を乗じて得た率に、被保険者であつた期間に応じて政令で定める数を乗じて得た率とし、その率に小数点以下一位未満の端数があるときは、これを四捨五入する。

厚生年金保険法附則

法附則第二十九条第四項に規定する政令で定める数
第十二条の二 法附則第二十九条第四項に規定する政令で定める数は、次の表の上欄に掲げる被保険者であつた期間に係る被保険者期間の区分に応じて、それぞれ同表の下欄に定める数とする。
六月以上一二月未満  六
一二月以上一八月未満 一二
一八月以上二四月未満 一八
二四月以上三〇月未満 二四
三〇月以上三六月未満 三〇
三六月以上四二月未満 三六
四二月以上四八月未満 四二
四八月以上五四月未満 四八
五四月以上六〇月未満 五四
六〇月以上      六〇

厚生年金保険法施行令

本肢は、「脱退一時金」に関する問題です。

まず脱退一時金の計算式を確認しておきましょう。

【脱退一時金の額】
平均標準報酬額 × 支給率(保険料率 × 1/2 × 被保険者であった期間に応じて政令で定める数…上記の施行令第12条の2)

そして、問題文にある通り、政令で定める数の最大値は60である。

本肢は○です。

厚生年金保険法 令和6年第8問 B

遺族厚生年金に加算される中高齢寡婦加算の金額は、国民年金法第38条に規定する遺族基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときはこれを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときはこれを100円に切り上げるものとする。)である。また、中高齢寡婦加算は、65歳以上の者に支給されることはない。

解答の根拠

法第62条第1項

根拠条文を確認します。

第六十二条 遺族厚生年金(第五十八条第一項第四号に該当することにより支給されるものであつて、その額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が二百四十未満であるものを除く。)の受給権者である妻であつてその権利を取得した当時四十歳以上六十五歳未満であつたもの又は四十歳に達した当時当該被保険者若しくは被保険者であつた者の子で国民年金法第三十七条の二第一項に規定する要件に該当するもの(当該被保険者又は被保険者であつた者の死亡後に同法第三十九条第三項第二号から第八号までのいずれかに該当したことがあるものを除く。)と生計を同じくしていたものが六十五歳未満であるときは、第六十条第一項第一号の遺族厚生年金の額に同法第三十八条に規定する遺族基礎年金の額に四分の三を乗じて得た額その額に五十円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五十円以上百円未満の端数が生じたときは、これを百円に切り上げるものとする。)を加算する。

厚生年金保険法

本肢は、「中高齢寡婦加算」に関する問題です。

中高齢寡婦加算は、40歳以上65歳未満の期間において、遺族厚生年金の額に遺族基礎年金の額の4分の3に相当する額が加算されます。

そして端数処理は、
・50円未満の端数が生じたとき…切り捨て
・50円以上100円未満の端数が生じたとき…100円に切り上げ

となります。

本肢は○です。

厚生年金保険法 令和6年第8問 C

加給年金額が加算されている老齢厚生年金の受給権者であっても、在職老齢年金の仕組みにより、自身の老齢厚生年金の一部の支給が停止される場合、加給年金額は支給停止となる。

解答の根拠

法第46条第1項

根拠条文を確認します。

(支給停止)
第四十六条 老齢厚生年金の受給権者が被保険者(略)である日(略)、国会議員若しくは地方公共団体の議会の議員(略)である日又は七十歳以上の使用される者(略)である日が属する月において、その者の標準報酬月額とその月以前の一年間の標準賞与額の総額を十二で除して得た額とを合算して得た額(略、以下「総報酬月額相当額」という。)及び老齢厚生年金の額(略)を十二で除して得た額(以下この項において「基本月額」という。)との合計額が支給停止調整額を超えるときは、その月の分の当該老齢厚生年金について、総報酬月額相当額と基本月額との合計額から支給停止調整額を控除して得た額の二分の一に相当する額に十二を乗じて得た額(以下この項において「支給停止基準額」という。)に相当する部分の支給を停止する。ただし、支給停止基準額が老齢厚生年金の額以上であるときは、老齢厚生年金の全部(同条第四項に規定する加算額を除く。)の支給を停止するものとする。

厚生年金保険法

本肢は、「加給年金額と在職老齢年金の関係」に関する問題です。

老齢厚生年金が一部支給停止される場合でも、加給年金は全額支給されます

加給年金が支給停止されるのは、老齢厚生年金が全部支給停止されているときです。

本肢は×となり、本問の正解となります。

厚生年金保険法 令和6年第8問 D

未支給の保険給付の支給を請求できる遺族として、死亡した受給権者とその死亡の当時生計を同じくしていた妹と祖父がいる場合、祖父が先順位者になる。

解答の根拠

令第3条の2

根拠条文を確認します。

(未支給の保険給付を受けるべき者の順位)
第三条の二 法第三十七条第四項に規定する未支給の保険給付を受けるべき者の順位は、死亡した者の配偶者、子(死亡した者が遺族厚生年金の受給権者である夫であつた場合における被保険者又は被保険者であつた者の子であつてその者の死亡によつて遺族厚生年金の支給の停止が解除されたものを含む。)、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹及びこれらの者以外の三親等内の親族の順序とする。

厚生年金保険法施行令

本肢は、「未支給の保険給付を受けるべき者の順位」に関する問題です。

いわゆる「はい・し・ふ・そん・そ・けい」ですね。

本肢は○です。

厚生年金保険法 令和6年第8問 E

離婚の届出がなされ、戸籍簿上も離婚の処理がなされているものの、離婚後も事実上婚姻関係と同様の事情にある者については、その者の状態が事実婚関係の認定の要件に該当すれば、これを事実婚関係にある者として認定する。

解答の根拠

生計維持関係等の認定基準及び認定の取扱いについて(平成23年3月23日年発0323第1号)

根拠条文を確認します。

5 事実婚関係
(1) 認定の要件
事実婚関係にある者とは、いわゆる内縁関係にある者をいうのであり、内縁関係とは、婚姻の届出を欠くが、社会通念上、夫婦としての共同生活と認められる事実関係をいい、次の要件を備えることを要するものであること。
① 当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係を成立させようとする合意があること。
② 当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係が存在すること。

生計維持関係等の認定基準及び認定の取扱いについて(平成23年3月23日年発0323第1号)

本肢は、「事実婚関係の認定」に関する問題です。

届出の有無や、戸籍の状況によらず、「社会通念上の事実関係」という観点で夫婦関係を認定します。

本肢は○です。

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